第16話 「マノワールたちが追放された裏事情」
「これはお久しぶり……でもないですね。それにしても何故ここにジュクレンコさんが?」
「私もやめて、転職活動中です。ここには転職情報などを集めに来てました。あの職場からは他にも何人も辞めましたよ」
そうなってしまったか。
目端の利く人間は、見切りをつけたという事だ。
彼は誰にでも丁寧な好人物で、僕のことも気にかけてくれる方だった。
「出張から帰った時には驚きました。マノワールさんをクビにしたことに呆れ果てて、できる奴らはみんな転職。やる気ないクズだらけになって、職場崩壊してるみたいです。当たり前ですけどね」
そんなことになっていたとは。
呪詛を吐くようにして、ジュクレンコさんは元職場を貶す。
この人も妻子がいる身で転職活動とは、難儀な話だ、
あの追放騒動は、誰にとってもいい話ではなかったらしい。
「おかげでこの年で転職活動する羽目になって、もう散々だ。若い奴らの鼻っ柱を折っておかないで、増長させたのはショワジ親方の責任です。私たちがマノワールさんの待遇改善について、何度言っても聞かないくせに。なんで馬鹿どもの言葉を真に受けて、マノワールさんをクビなんかに……」
「あの会社はどう考えても、マノワールさんのおかげで、辛うじて保っていたようなものじゃないですか! ベテランの方々までいなくなったら、もう終わりですよ!」
「その通りだよ。なんて僕たちは間が悪かったのか」
ニンメイちゃんは涙ながらに訴えかけ、ジュクレンコさんは同調する。
あろうことか親方は出先に居た熟練工たちにも黙って、僕のことをクビにしたらしい。
僕は間が悪いオッサンだったという訳か。
世の無情にため息が漏れる。
「今日はギルドの依頼を確認しに来て、これから知り合いの会社に面接に行くんです。魔物に破壊された家が多いから、建設需要があるのは幸いでしょうか。お嫌でなければ、またゆっくりお話しできれば」
「こちらこそ是非。面接頑張ってください。うまくいきますように」
「ありがとうございます。それでは失礼」
疲れた様子で赴く、ジュクレンコさん。
面接か。俺も早く準備しなければ。
建設需要は大きいらしい。
魔物の被害がそれだけ大きいという事だろう。
「募集が多そうでよかった。ニンメイちゃんのお金が溜まり次第に探しに行こうか」
「はい! わたし、マノワールに付いていきます! あんなリーダーに付いて行っても未来はありませんから」
今になって冷静に考えると、全くその通りだ。
そして帰り道に着いた時だった。
ニンメイちゃんが危険なことを口にしたのは。
「わたし、退職証明書を取りに行きますね。マノワールさんは行きづらいでしょうから」
「ダメだよ一人で! 今あいつらは絶対に気が立っている」
女の子が男たちのところに行くなんて、なんて無謀なんだ。
大人として見ていてあげなければ。
「ニンメイちゃんのことは僕が絶対に守る。だから頼ってくれないと悲しいよ」
「は……はいぃ……♡」
何故か僕に視線を固定して、熱視線を送って来るニンメイちゃん。
もしかして顔に何かついていたかな?
魔物を倒してきたところだし、汚れが付着しているのが彼女は気になるのだろう。
そうやって元職場に着いた時だった。
身勝手な言葉を言ってきたのは。
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