第136話 「激闘、強職業陽キャ集団」
その瞬間、陽キャたちの周りに少し小柄な、あまり色男とは言いにくい顔立ちの者たちが現れた。
僕のことや町にいる気弱そうな男を指さして、ケラケラ笑っている。
「あいつらは……キョロ充! キョロ充はサポート系職業で、陽キャの周りに生息しておこぼれを狙う奴らだ。陽キャのステを底上げする能力に長けている」
集落の村娘たちを守っていたエルマージたちも、それに気づいたようだ。
一体何が始まるというんだ。
そして彼らは担いでいる箱のようなものを下ろして、等間隔に地面の上に設置した。
それを弄繰り回すと、ある変化が起こった。
「あれはキョロ充たちのEDMだ! マズい! 陽キャたちのテンションが上がっていくぞ!」
「「「「「「「「バイブス上がってきたぁーーーーー!!!!!!」」」」」」」」
腹の底に響く重低音。
ウーファーをつけたからか、腹の底まで低音が鳴り響いて騒音のようだ。
僕たちの耳に、鼓膜をつんざくような電子音が送られてくる。
僕たちが怯んだ隙を見計らって、彼らはある行動を始めた。
彼らはあるものに搭乗したのだ。
「「「「「「「「「いい波来てるよぉ~~~!!! ウェー――――イ!!!!!」」」」」」」」」」
「アース! ぐぅっ……!?」
サーフボードに乗った陽キャたちが、大挙して押し寄せてくる。
津波のように押し寄せる陽キャを、僕は土魔法で防ぐ。
だがあまりの物量に限界が近い。
「「「「「「「「「肉焼けたよエルマージちゃん!!! こっち来て食べよう!!!」」」」」」」」
「あんな量でバーベキューされたら、火力と煙で集落が大変なことに!?!?!? だが体が肉の焼ける匂いに釣られて、身体が吸い寄せられ……!?」
あんなにバーベキューされたら、火傷で済まなそうだ。
迷惑行為どころではない、家屋すら危険にさらす危険行為。
それに後始末も残っている。
止めないとすぐに不法投棄されてしまうだろう。
誘引作戦という訳か。
「「「「「「「「「オラついた服キメて決まりっしょ!!!!!」」」」」」」」」
「あいつらの特殊なファッションによって、職業特性から防御力が上がっているんだ! だから火のダメージは軽減されている!」
煌びやかなファッションに身を包んだ陽キャたちは、自信満々でそのスタイルを強調した。
確かに健康的に日焼けして鍛え上げられた体には、それらが様になっている。
そしてバーベキュー慣れしているから、耐性もあるはずだ。
バーベキュー……なんて美味しそうなんだ……
卑劣な奴らだ。
かつ彼らの結束力は強い。
職業陽キャは、他の陽キャとの相乗効果でさらにステータスが上昇する。
それがこの物量で襲い来るのだから、苦戦することは免れない。
「それでも近所迷惑とは断固として戦う。領主に相応しくはない僕だけど、皆の平和的生活は僕が守るんだ!!!」
腐っても僕は人生経験があるオッサン。
バーベキューは会社の懇親会などで経験してきた。
だがその動きは鈍ってしまう。なんて美味しそうなんだ。
エルマージたちも同様だ。
僕なんかよりも強靭な精神力で絶えているが、女性はバーベキュー経験が少ない傾向にある。
食欲という本能には抗えないのだ。
「いい加減にあきらめて帰るニャ!」
「数が多い! 一人一人は脅威というほどではないが、いくら倒してもキリがない!?」
ミーニャとコックロは戦闘職のプロらしく、どんどん無力化しようとする。
しかし陽キャたちのチームワークは侮れるものではない。
「代わる代わる攻撃を受けて、ダメージを分散している。そして焼き肉を食べて、回復するという訳か。なんというチームワークだ……!」
的確に分析するコックロ。
戦闘慣れしている彼女でも、隙を見いだせない布陣。
陽キャたちは楽し気に肉を食べて、談笑している、
余裕まで見せるとは、モテるために全力で努力できる人種なのだ。
「敵ながら何という隙のない布陣なんだ! これが陽キャ……!」
高ランクパーティの一員だったエルマージが、震撼する程のコンビネーション。
だが殺すわけにはいかない。
人道的問題だけじゃない、絶対に殺し漏れが生まれる。
少しでも排除に失敗すれば凶悪な暴徒となり、この領を脅かすだろう。
そうなれば魔物との戦いどころではない。
どうにか無力化しなければならないんだ。
この難題、どうすればいい!?
「どうやって倒せばいいんだ!?!?!?」
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