第129話 「酔っぱらいヒロインたち」
僕が与えられた屋敷の家具なども、貴族の格に相応しいもの。
このソファーを手に入れられたとは、少ないけど嬉しい点の一つだな。
現在は部屋に仲間一同集まり、あまり明るいとは言えない酒盛りをしていた。
「やってられるかぁ~~~~~!?!?!?!?!?」
飲み始めたら大声で叫び始めたコックロ。
その頬は赤らんでおり、セクシーな魅力が出ていて目に毒だ。
日中はチギュドーを初めに、散々に嫌味を言われた僕ら。
そのストレス発散にと、はとこの女騎士に飲みに誘われたのだ。
珍しく彼女は飲んだくれて管を捲いている。
「クソッ!? あの口のまわる奴め!? チギュドーは本当に嫌な奴だ! だから薄っすら他の貴族にも見下されているんだ!!!」
コックロは酒を飲みながら、愚痴を漏らしている。
学園にいた頃は楽しそうにしていたが、随分と荒れているな。
あのようなことを言われれば、無理もない。
彼女も何もかも忘れたい時くらいあるのだろう。
「いつもいつも私ばかり、ネチネチと嫌味を言ってくるんだ!!! 私が外様で発言力が無いからと、日頃からアイツがサンシータに見下されていた鬱憤を晴らしてきていたんだよ!!!」
「それは……最低だ」
あのチギュドー男爵という男は、汚職貴族が粛清されたことが原因となり。
今となってはヴェンリノーブル侯爵から、かなり重用されているとのこと。
別に仕事ができるわけではないが、文官が足りなすぎるらしい。
多くの貴族が、部下である貴族を中々粛清できないのは、これもある。
でも処断しなければ面目が立たないから、苦渋の決断だったのだろう。
ヴェンリノーブル侯爵も本当に大変だ。
最近では露骨に体調が悪そうだし。
あんな激務は絶対にやりたくない。
「お前も苦労していたんだなコックロ。そんな職場でよく頑張っていた」
「エルマージほどじゃないさ。パラフィリオとかいうキチガイが犯罪行為しているのを、必死に傍で何年も止めていたんだろう? エルフという種族の精神力は、尋常ではないと感嘆するよ」
「あぁ……放っておけば性犯罪被害者が増える、もう無間地獄とも思える苦行だったよ」
遠い目をするエルマージ。
少しだけパーティに参加していた僕にとっても性的トラウマだ。
寿命の長いエルフの彼女でさえ、辟易としていたのだ。
あんな変態の介護なんてしていたら、一日で音をあげる人ばかりだろう。
ここには追放された者たちばかりがいる。
だからこそ気持ちを共有できた。
「オーエラも大変だったね。私なんか全然軽いものニャ」
「あのお局は本当に碌でもありませんでしたが……あのナルシマザコン野郎の教師やるよりは、全然マシだったかと」
「ショワジ組以上の職場があるとは思いませんでした。ミーニャさんも相当な経験をされましたよ」
「いやいやターゲットにされていたニンメイちゃんが、一番気の毒でしたニャ」
本当にこのパーティメンバーは、余りにも理不尽な目ばかりに遭っているな……
でも誰が最下位争いをするかなんて、不毛すぎることだ。
未来志向で少しでも幸せな明日をつかみ取りに行かなくては。
「ここにいる皆は不幸な目にあってきた人ばかりだ。でもだからこそ協力し合える真の仲間だと思う。今日は飲んで、明日からまた頑張ろう」
「その通りです! 今晩は飲み明かしましょう!!!」
「そうだねオーエラさん。美味しいお酒を楽しもうか」
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