第122話 「グレートマザーオキャルン」
体から植物を生やし、うねうねと動かす。
僕は思わず全力で遠くに飛びのいた。
戦い慣れしているエルマージとコックロは即座に臨戦態勢をとった。
「なっ!? 魔物!」
「あぁ~気を悪くさせてしまったなら申し訳ございません~戦う気はまったくないので、剣を収めて頂ければ~」
ぺこりと深く頭を下げる、緑の髪をした魔物の少女。
その姿は申し訳なさそうで、かつ無防備だ。
しかし二人は警戒を解かない。
悲しそうに少し距離を開けたオキャルンさん。
心は痛むが、仲間の安全のために慎重に接さないといけない。
「いずれバレると思って正体を現しましたが、悪手だったようですね~……この場は退散したらよいでしょうか~? どうすれば認めて頂けますか~?」
「えっ!? 危なくないんですか!? っていうか子どもたちは!?」
「わたしは強いので~申し訳ございませんが、子どもたちは既にこちらに連れてきております~」
彼女が指さした荒野の向こうを、目を凝らして見つめる。
ステータスが強化された僕の視力ならば、数キロ離れていても捉えることができる。
かなり向こうに、植物で出来た家のようなものが立ち並んでいた。
「あの集落は……!? いったい何人いるんだ!?」
「何か見えたのですかマノワールさん?」
「ああ。説明すれば、植物で出来たログハウスのようなものが何百も立ち並んでいる。老若男女問わずいる……オキャルンさん。子どもたちといっておられましたが」
「赤ちゃんたちを拾い続けて、今では8000人ほどおります~皆赤子のようなものです~わたしは1000を超える年ですから~人間ならばお婆ちゃんですね~」
ニンメイちゃんの問いに、事も無げに答えるオキャルンさん。
1000歳とは、凄い大先輩だったのか。
スケールが違うな。
少し大きな町くらい居るじゃないか。
そりゃ100歳も超えていないのは若造なのか。
「それだけ昔からこのような事をしていたのですか。それにしてもなぜ今になってから、このようなことを?」
「はい~魔王様と魔王幹部の間には今、政変が起きかけているのです~それで魔王様に保護されていた人間たちは皆、町から追い出されてしまいました~よって死の危険が大きかったので、わたしが人間たちのところに送り返そうとしたのです~」
「政変とは穏やかじゃないな。だから最近、魔物の侵攻が増えているのか?」
エルマージの鋭い指摘に、僕も思い至った。
今まで起きていた異変は、まさかこれが原因なのでは?
「はい~魔王幹部は勝手にダンジョンなどを作り~そこを起点に人類侵攻を企てております~あまり詳しくないですが、さらなる企みもしているかと~」
「ニンメイやミーニャたちと攻略したダンジョンも、関わっていたという事か!?」
「あの時に魔物が溢れだしましたが、何か理由があったのですね」
「今までできたダンジョンも、人類親交のための布石だったってのも、恐ろしい事実ですニャ」
ダンジョンボスと戦った魔物たちは、魔王幹部の仕業だった。
長年の人類社会における謎には、このような事実があったのだ。
「先日魔王幹部が侵攻したのもそれですね~なんでも人間と共謀している勢力もあるとか~先日過激派の魔王幹部が一人倒されて、勢いは少し衰えましたが、それでも派閥は大きく~魔王様でも抑えきれない感じです~」
「人間まで裏切者がいるだと? まさか……」
「あのミノタウロスの侵攻も、その一環だったということですか……」
疑念を持ったのか、コックロが呟く。
対してオーエラさんは納得いったようだった。
牛頭の怪物が来た理由は、それだったのか。
そうだ。ヴェンリノーブル侯爵に報告しよう。
こんな恐ろしい事実を伝えなければ。
「わたしのように人間に似た魔物は結構いますから、もっと人間社会に潜り込んでいてもおかしくないですよ~そんなわけで魔王様も国を割るくらいなら、人間と戦争をするしかないとお考えです~」
「つまり……大戦争……!?」
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