第115話 「学園から追放されるマノワールたち」
「負け犬はお前だろうが! そんなんじゃ母親からも失望されて、本格的に見捨てられるぞ!!!」
「グッ……ハァハァ……!」
その眼孔は復讐心と憎悪に彩られ、僕達を見据えている。
おそらくは激情に駆られた、攻撃行動をとろうとしたように見えた。
そしてお母さまを引き合いに出すと、ナルシオの動きは止まる。
心臓を抑えて半ば過呼吸になりながら、苦し気に呻いた。
どうやら彼女はここにいないし、この件についても知らないみたいだ。
「クソッ!? お前と話しているだけで敗北感と屈辱感が湧いてきて、頭の中がぐちゃぐちゃに搔き回されるようだ!!!」
「自業自得の癖に何を人のせいにしているんだ! すまない皆。もう遅かったみたいだ。こうなる可能性を見抜けなかった、僕の失態だ」
「いや。マノワールのせいじゃない」
「学ぶべきことは学び終えました。わたしも戦闘技術を体系的にある程度学べましたので、満足ですよ」
「皆……ごめん……」
一番申し訳ないのは、仲間たちに負担を押し付けてしまったこと。
僕が勝手にナルシオを救えるとばかり思いこんで、このような大失態を招いてしまった。
僕は人を見る目がないんだ。
だから罪なき人たちを、一番守らなければならない仲間を危険に晒してしまった。
学問での道を奪ってしまったことは、一生償いきれない。
仲間たちは気丈にも僕を励ましてくれているが、なんて詫びたらいいんだ。
「気になさらないでくださいマノワール君♪ 同級生として楽しかったです」
「教師として接することができたのも、得難い経験でしたニャ! 半年に満たない期間でしたが、人を育てた時間は私の宝物ですにゃ」
「皆……」
情けなさ過ぎて涙声になる。
みんな本当はここに居続けたいはず。
声を震わせながら校門を出た。
間が悪いからだけじゃなかった。
なんて僕はダメなオッサンなのだろう。
「ハーハッハッハッハ!!!!! なんて惨めな男なんだ!!!」
周囲からは冷ややかな視線が。このナルシオに集められた。
その中には男女問わず、憎悪までみられる。
余程にこの男が憎く、マノワールとその仲間たちが好きだったのだろう。
コックロやエルマージたちの人徳は素晴らしいもので、この数か月という短期間でも同級生たちの心を掴んでいた。
教師の同僚たちもナルシオを止められるミーニャを慕っており、彼に厳しい視線を送っている。
そんな他人の想いを踏みにじってきたナルシオだから、忍び寄る影に気が付かなかったのだろう。
次に狩られる側となることに、いつまでも幼稚なこの男は気が付かなかったのだ。
「ナルシオ殿。鉱山を譲って頂けるとのことで、交渉は済んでおりますな。それでは契約履行を願います」
「私は領地の一部とのことでしたな」
面白い、または続きが読みたいと思った方は、
広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価
またはレビュー、ブックマークしていただけると、モチベーションに繋がりますので執筆の励みになります!!!!!!!!!!




