第114話 「ナルシ男の現状」
生死の境を彷徨い、一か月危篤状態に陥っていたらしきナルシオ。
いまだ治療途中なのだろう。
ガリガリに瘦せ細った彼は、亡者のような見た目になっている。
あれから数か月が経ち、彼も回復してきたようだ。
そしてある行動に移ったのだ。
それが教室で再会してしまった、この状況である。
「ママをぼきゅから奪った泥棒ぉ~~~~~!?!?!?」
床に転がってじたばたと藻掻く、滑稽な人物。
回復したナルシオは母を求めて暴れていた。
結局彼の性根は治らなかったらしい。
むしろ恨みを募らせて、頑なになってしまったようだ。
「今更新しい父親なんか許さないんだからなぁ~~~!? ママはずっとぼきゅのものなんだもんっ! 子連れ再婚が子どもの成育にに大きなストレスを与え、健全な成長を阻害する可能性を知らないのか~!?!?!?」
「何の話だ……? ナルシオ君のお母さまが再婚したとして、もう君は自立できるだろう。君やその兄弟が幼いならまだしも、こうやって親の援助なしでも問題なく寮生活を営めているんだ。親の新たな門出を祝福するのが、家族としてするべきことなのではないかな」
「他人の家庭に口出しをするな間男の分際で介入するな子どもの成長を最優先に考えろぉ~~~!?!?!?」
ダメだ。話が通じない。
まだ若いとはいえ、ここまで手が付けられないとなるとお手上げだ。
唾を撒き散らしながら、金髪イケメンのはずの少年は罵る。
女学生を中心に完全に彼の味方はいないというのに、よくもまぁ恥知らずな言動をできるものだ。
「僕のすべての力を使ってお前は追放させてやる!? ぼきゅがママを守るんだもんっ! ミーニャ先生! いやミーニャ! お前も同罪だ! マノワールに加担した者は、全員この学園から追放だ!!!」
「ミーニャさん達まで巻き込むなっ!?!?!? どれだけ低俗な人間なんだお前は!? 母親から自立しない分際で、一丁前に性欲を出してくるの本当にキモかったんだよお前! 人間の赤子のふりをした化け物みたいで、マジで終わってるんだよ!!!」
「マノワールさん怒ってくれるのは嬉しいけど、火力高すぎニャ……それに英雄とはいえ学生が、教師を追放できるわけな―――――――」
学園追放を目論むナルシオ。
他人の人生を何だと思っているんだ。
一度口説いていたはずのミーニャさんまで、辞めさせようとしているとは理解すらできない。
どれだけ男としても情けない輩なんだ。
許せなさ過ぎて、こぶしを握り締める。
誰に対しても暴力は振るいたくはないが、彼女が静止していなかったら殴りかかっていたかもしれない。
「―――――――学園理事の方々! 承認して下さい」
「なっ……!? まさか」
ナルシオの後ろには、10人ほどの貴族たちが立ち並ぶ。
その誰もが風格があり、高位貴族に見えた。
いやこの学園を動かせる、紛れもない高位貴族たちなのだ。
そして台の上に乗せた書類に、押印する。
それがナルシオの前に置かれると、彼はそれを僕たちに見せた。
「ハハハハハ!!!!! お前たちは全員これで終わりだ! この国の貴族たちはお前が学園にいることを拒否したようだぞ!」
「なっ!? 他人の学習機会を奪うとは、何という邪悪なんだお前は! 人権侵害だとわかっているのか!? 見下げ果てた教育虐待者だお前は永遠に家族の愛など手に入れられないぞ!?!?!?」
あれだけ母と慕っていたニンメイちゃんまで、退学させるようだ。
ダメだ。救いようがない。
彼の魂は奈落の底へと堕ちてしまったのだ。
「ママを騙した罰だ!!!!!! ハーッハッハッハッハッハ!!!!!」
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