表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

113/241

第113話 「カース王国王女との歓談」




「オッサツイホ侯爵家の嫡流であるあなたが、それに現当主アクレイさんの従兄であるあなたは、それが一番ふさわしい地位ですよ。あるべき人間があるべき立場に就く、なんらおかしいことではありません」



「ですが今更こんな年の男が、貴族社会に馴染めるとは思えません。すでに恥晒しとして有名でしたし、むしろ王国にとって不利益かと」



 子ども時代の僕を知っている者なら、侮蔑されることだろう。

 僕の強さなど一過性の物で、いずれ老いて衰えるものだ。


 それにイメージというのは大事で、侮られる僕を貴族に起用しても、セインセス様の名前を傷つけるだけだろう。

 由緒正しい家に生まれて、王道というべき出世街道を歩んでいたナルシオすら煙たがられていたというのに。

 僕なんかにどうしろというのか。






「あなたという戦力は国家1と称して差し支えないものとなりました。国家としては首輪を締めたいのですよ。それをあなたから承諾してくれるというのなら、その方が双方ともに都合がいいのです」



「私は隠居するつもりです。今まで多くの事件と悪意に巻き込まれ過ぎて、余生は静かに送りたくなりました。地位も名誉もいりませんので、何事もない平和な生活を送りたいだけなのです」



「決心は固いようですね。ですが我々も諦めるわけにはいきません。ナルシオを凌駕するような戦力を遊ばせておくのは、政治的にも軍事的にも爆弾となるからです」



 もし僕が他国に流れてしまえばと、王国は恐れているのだろう。

 僕もそれくらいの政治感覚はある。


 でも待ち受けるのは飼い殺しだ。

 恐らく貴族たちに反感を買わせて、僕を王族に近づけさせるように誘導して。

 セインセス様に依存させる腹積もりだろう。




 そんな心休まらない生活を送るわけにはいかない。

 嫉妬というのは恐ろしいんだ。

 これ以上目立って恨みを買えば、僕だけではなく周囲にも迷惑がかかる。




「どうかお許しを賜れれば。私はあの世界には、どうしても関わりたくはないのです」



「心苦しいですが、今回はここまでにいたしましょう。あなたに提示できる報酬を用意し、再度お誘いいたします」



 決心は固いようだ。

 まぁ彼らの立場なら、そういうのはもっともな話だ。


 だが受け入れるわけにはいかない。

 僕が迫害されない保証など、用意できないだろう。

 彼女は何を取引材料にするのか、それは楽しみだが。






「改めてあなたに感謝と謝罪を。あなたのおかげで民は救われております。そして謝罪を。あなたの献身に報いることができない、我々の至らなさを深くお詫び申し上げます」




「いえ。誰かが困っていたなら、助けるのは当然です。僕の力が役に立ったならば、それだけで嬉しいです」




「マノワール様は本当に心優しい方ですね。その力がなくとも、お友達に成って頂きたいものです」




「僭越ながら私は既に、セインセス様を友人だと感じておりましたよ」




 そう言うと、セインセス様は驚いたように目を見開き。

 数秒、言葉を失くして。

 静かに美しく微笑んだ。










面白い、または続きが読みたいと思った方は、


広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価


またはレビュー、ブックマークしていただけると、モチベーションに繋がりますので執筆の励みになります!!!!!!!!!!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


一日一回投票いただけると励みになります!(クリックだけでOK)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど。いまはオッサツイホ侯爵家の当主はアクレイさんなんですね! あの方が……笑 あ、笑ってはいけませんね笑 でも、それなら確かにマノワールさんも貴族に戻りやすいかも? と思いました…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ