第111話 「仲間たちの声援 母の言葉 尊き勝利」
広大なる学園広場に、それらすべてを覆うような巨大要塞が顕現する。
土中の鉄分を周囲から集め、内部も分厚く頑健なる岩盤が幾重にも積み重ねられた自宅。
もはや民家とは言えないような、戦争手段の具現化。
その中に入った僕は、これを操り敵に立ち向かう。
「チイィッ……悪あがきを! 僕はママを取り戻すんだ!!!」
「これで勝って見せる!!! 仲間たちと未来に進む!!! お前すら僕は変えて、正しい道へと進ませて見せる!!!!!」
絶対防御とも思える程の、重厚長大な外壁。
警備するためとは過剰と言えるほどの攻撃力で、この要塞は岩石砲弾を射出し始めた。
秒間数発にも及ぶ、隕石が落ちたような衝撃が外界へと繰り出される。
Bランク冒険者すら、数十人単位で即死させられると確信できる性能。
だが―――――
「―――――速すぎる」
あと一押しなのに、狙いが定まらない。
ナルシオも余裕があるわけじゃない。
だがここで効いてくるのは、戦闘経験値とセンスの差。
相手はこちらの攻撃を読むように、飛び回って攪乱しているのだ。
巧みに動き回るナルシオは、効率的に要塞を破壊してゆく。
しかし軽やかに飛翔するナルシオに、僕は有効な攻撃を与えられない。
「負けてしまうのか……? 大事な戦いなんだ。目を覚まさせるために」
「ははははは!!! 口ほどにもない奴だ!!!!!」
もはや勝ちを確信したように嘲笑う、戦闘の天才マザコン男。
しかし刻一刻と差は開いてゆく。
「お前如きがママの愛を語るな!!! ママのことは僕が一番わかっているんだ!!! だから僕が一番正しいんだ!!!!!」
狂気的信仰。
彼の力の源泉は捻じ曲がった精神による、思い込みの激しさにあるのだ。
そんな想いに勝てるのか。
でも僕には別種類のパワーがあったんだ。
こんなクズなオッサンだけど、支えてくれる仲間たちが僕に無限の力をくれる。
「頑張れマノワール!」
「負けないでくれ」
「勝ってください」
「信じている」
「無事に帰ってきて」
「僕は―――――――」
みんなの声援が集まる。
決して僕は凄い人なんかじゃない。
やっぱり凡人で、才能がある人間には遠く及ばない。
そうだ。僕たちには仲間がいる。
かけがえのない絆が、今までも、これからも無限大とも思える力をくれる。
みんなの掌が、自宅を操作する僕の手に添えられた気がした。
「―――――――僕には導いてくれる仲間がいる!!! 一人で身勝手に自分の世界に閉じこもる、お前には負けない!!!!!」
「マノワールさん。さっきのセリフかっこいい……お姿が見えないことが残念……ポっ……♡」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁママがマノワールなんかを応援じでる゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
ナルシオは何故か僕が攻撃する前に、断末魔の叫び声をあげた。
顔中の穴から血をいきなり噴き出した。
「なんだ……? スタミナ切れか? だが好機! これでトドメだナルシオ!!!」
突然悶え苦しんだ金髪のマザコン美少年。
チャンスか?
「目を覚ませぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!! スティープルソーーーーードッッッ!!!!!!!!!!」
極大の剣を創造し、ありったけの力を込めて要塞ごと振り下ろした。
隕石が落ちたかのようなインパクトが、地面を抉り破壊し尽くした。
爆風が晴れるとナルシオは、痙攣しながら血を噴き出している。
継戦能力を失ったようだ。
僕も片膝をついて、荒い息を吐いた。
もう体力も魔力も残っていない。
「しょ……勝者マノワール殿!!!!!」
「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」
校舎から、いや学園中から爆発したような大歓声が挙げられる。
いつの間にこんなに集まっていたのか。
僕のことを応援していてくれたみたいだ。
この勝利は自分だけの力じゃない。
自分がやったことだから、理解できた。
「お兄ちゃん!」
「みんなの声が聞こえたんだ。みんなの手が僕の手に添えられた気がした。みんなの声が僕に力をくれたんだ。きっとみんなと出会ってなければ、きっと負けていたのは僕だ」
「マノワールさん」
思わず涙ぐむ。
皆も感情を共有してくれているらしい。
一緒に泣いてくれるパーティメンバー。
得難い出会いが、僕を強くさせてくれたんだ。
一人孤独に戦ったんじゃない。
みんなの力が、僕に勝利をくれたんだ。
僕たちは真の仲間だ。
「みんな。僕と仲間になってくれてありがとう。いつも力を貰ってるんだ。だからきっと、どんなに怖くとも戦える」
「マノワールさんのバカ。無茶して……臭い台詞なんて言わないでください。あなたが傷つくと、いつも苦しくて」
「はは……いつも心配をかけてごめんねニンメイちゃん」
一番長く一緒に居たニンメイちゃんは、僕が無理している姿を一番見ていた。
彼女には心労をかけてしまっている事だろう。
でも性分なんだ。
もっと悲しむ顔を見たくない。
だから僕は頑張れて、どんな怖い事にも立ち向かえるんだ。
「マノワール様。ありがとうございました。あの子を、ナルシオを叱ってくださって……」
「いえお母さま。あなたの愛が目覚めさせたのでしょう。それは全てあなたの人生が積み上げてきたコトの結果です。私の力ではございません。私は親ではありませんが、あなたを親の一人として尊敬いたします」
「マノワール様ぁ♡ やだぁ年甲斐もなく胸が高鳴ってしまいますぅ♡」
「かひゅっ」
大きく血を吐いて、倒れ込んでいたナルシオ。
噴水のように血を口から出して、干からびてしまった。
「これもしかしてトドメだったのでは?」
「マノワールさん天然で酷いですね」
「勝ったのも、お母さんがマノワールさん応援してたから……?」
「えぇっ!? 戦後は本当に何もしてないんだけどぉ!?!?!?」
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