第108話 「ニンメイ2番目のママ大作戦」
ついにこの日がやってきた。
学園生活を阻む人間を排除するため。
何よりも敵自身のためにも、僕は勝たなければならない。
「おぎゃぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!! ニンメイちゃん♡ 僕のママになってぇ~~~♡」
ヤバいのが居た。
おしゃぶりを口に咥え、幼児服を着た背の高い金髪美少年。
見覚えがあるはずの異常者だが、さらに危険度を増しているようだ。
「誰があなたなんかのママになんて、なってあげるものですか! ふざけるのも大概にしてください子ども部屋ネオテニーマザコン男!!!」
「バブバブバブバブぅーーーーーっっっ!!!!! やっぱり僕のことを想って叱ってくれているんだぁ♡♡♡ だって僕はこんなにカッコイイんだから、まったくもって当然だね! 皆も僕のママになりたいんだろうけど、ママの座はニンメイちゃんとママで決まりなんだもんっ♪」
無敵かコイツ。
しかしニンメイちゃんは僕との修行よりも、学校生活を優先させていた。
彼女は忍者として前衛もある程度こなせると言っても、付け焼刃の技術だしまだ成長途中だったからだ。
きっとその時にこの男の毒牙にかかったのだろう。
僕のことを心配させまいと、この黒髪ショートカットの女の子は我慢していたんだ。
許せなくて、悔しくて、絶対にこんな暴挙を止めないといけないと思った。
「女の子たちにモテモテすぎて、あれ以上口説いたら少子化で世界が滅びてしまう、罪な僕のことを止めて叱ってくれた。あの時バブみを感じたんだぁ♡ ママしかそんなこと僕にしてくれなかったんだ。これはママの証だよぉ♡♡♡」
「マジ死んでほしいニャ~マノワールさんに撫でてもらって、嫌悪感を早く忘れるニャ~」
「人として恥ずかしくないのですかね? 男としての魅力を感じません。顔だけの屑」
「かける言葉もない。ゴミを相手にするアホはいないということだ」
「これ以下の存在は、この世界に存在しないだろう」
「こんなものを存在することを許すなんて、マノワールさんは慈悲深いお方です」
女性陣五人は、辛辣すぎる言葉をナルシオに投げかける。
だが彼には全く効いていない様子。
もはや自分の世界に閉じこもってしまったのだろう。
そして自分勝手に、他人を母親に仕立て上げようとする浅ましさ。
嫌悪感しか湧いてこない。
口説いてくる方が圧倒的にマシなまである。
「僕のぉ……二番目のぉ……ママにぃ……してあげるぅ……からねぇ……」
身震いするほどに戦慄する。
男の僕さえ背筋に悪寒が這い登るようなプレッシャーが、目の前の異常者から発された。
生理的嫌悪からだけ来る忌避感だけではなく、力という脅威を感じて臆しているのだ。
心臓を鷲掴みにされたように竦みあがっているのは、この少年が間違いなく今までで断トツで最強の存在だからだ。
「ナルシオ。バカな真似はやめろ。幼児期からの脱却を促すためにも、君に決闘を申し込む」
「顔を見ないと思っていたら、まだ逃げていなかったのかいマノワール! 心意気だけは買ってあげるよ。わざわざ負けにくるのは愚かとしか言いようがないけどねぇ!!! ズビズビズビズビィッッッ!!!!!」
挑発的にナルシオは、僕をコケにする。
だが喋っているうちに咥えていたおしゃぶりが吹き飛び、唾液が多量に漏れ出ている。
絶望的に気色悪くて目を逸らした。
マザコンの弱点はついぞわからなかった。
でも僕は格段に強くなった。
あらゆる面で以前の僕から進化したのだ。
「マノワール! ニンメイちゃんを騙すのはやめろ! 彼女は目覚めないといけない!!! ニンメイちゃんの最も幸せな真の在り方に、僕が気づかせてあげるんだ!!!」
「拒否する。絶対に彼女をお前などに傷つけさせない。僕が守って近づけさせない」
「ママは僕が取り返すんだ! ダブルママ体制で、僕の職業は、真の進化を迎える! そこで永遠に僕たち母子が心穏やかに赤ちゃんプレイする、理想郷は完成されるんだ!!!!! 誰にも邪魔はさせない!?!?!?!?!?」
「きっしょ……」
思わずガチ嫌悪する。
傍から聞いていても、狂人の発想としか思えない。
聞いているだけ無駄だ。
そう考えて構えた時、何者かが叫びながら近づいてきた。
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