第106話 「謎の僕っ子、マノワールに必死の懇願」
「ありがたい申し出です。しかしよろしいので? あなたにどうやって対価を払えば」
「お兄様が心配することはないよ! ボクからの善意だと思って受け取ってくれたまえ!」
悪役令嬢仮面はついに口調を恐らく素に戻して、まるで慈善活動のようなことをしてくれるようだ。
でも後衛としてでも戦闘訓練という危ないことに付き合ってもらうわけだし、女性にはなんだか申し訳ないな……
「だがもしお礼をしたいというのなら! 恵まれない妹キャラに愛の手を! 妹キャラ復権に協力してくれ! 全力で!!!!! 君にもいるはずだ! 悲しき別れをしてしまった真のヒロインが!!!」
「そうかい。わかった。コックロに優しくするね! 確かに妹分を大事にしていなかったかもしれない。君のおかげで大事なことに気づくことができたよ」
「ちっっっが――――――う!?!?!? もう一人妹分がいただろう! 何を考えているんだ忘れてしまったのかいあの時不幸な別れ方をしてしまった世界一可愛らしくて美しい悲劇のヒロイン幼い頃には結婚の約束までしたでも世間の厳しさと不幸な誤解から果たせなかった彼女はそれをずっと悔やみ恋愛ごとを遠ざけていつしかアラサー貴族当主となってしまった今でもお兄様のことが大好きだけど今更どの面下げて会いに行くのか拒絶されるんじゃないかと絶望しながらも監視していてでも女性と仲良くなる姿が耐えられなくて報われない思いを胸にしまって一生独身で生きていこうと決めて家の後継者に養子までとったけどやっとお兄様が冒険者として活躍している活躍を聞いてまだ色んな意味で生活が落ち着いていないと思ってホッとしてやっぱり運命の人だったのだと自覚して愛しの人が困っていると聞いて仕事を急いで終わらせてここまでやってきた妹キャラのことを即刻神妙に断固として思い出すんだ!!!!!!!!!!」
「え? なんて……?」
地団太を踏む成人女性と思しき、コスプレイヤー。
早口で喚き散らしたのは、認識不能なまでの言葉の羅列。
てっきり彼女には自身の妹と何かあって、それで僕にコックロを大事にするようにと思ったんだけど……
余りよく聞き取れなかったけど、それとは違うのかな?
コックロと知り合いかと思ったんだけど、この調子じゃ違うのかも。
だとしたらどんな思惑があってのことなんだろう?
「もういいーーーーー!?!?!? もういいもういいもういいもういい!!!!! 早速始めるよ!? お兄様なんてもう知らないからね! 手加減なんてしてあげない! ふーーーんだ!!!!!」
「あ……はい」
いい年した女性が拗ねていて、僕はどうすればいいのかわからない。
腕を振り回していると、揺れ動きまくる豊かな胸元が零れ落ちそうで心配だ。
実際どのくらいの年齢なのだろうかという事は置いておいて、彼女に協力してもらわないといけない。
「悪役令嬢仮面さん。あなたの胸をお借りします」
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