第102話 「一時退却 職業への理解」
「ダメだ! みんな逃げるぞ!」
「わかった! 皆煙玉は持っているな!」
「今だ! 一斉に使えば、相当に視界をくらませることができる!」
それを見た刹那、誰もが理解した。
勝てそうにないと。
そもそも関わるだけ無駄だと。
僕たちは逃走用の煙玉を、ありったけ使う。
辺り一面を煙が覆い、退却経路を作り上げる。
「卑怯だぞぉぉぉぉぉ!!!!! マノワール何処だ!? 出てこい! 僕とママの愛の力で、悪いやつを倒す!!!!!」
「ダメだ時間がない!? 早く退避を!」
天使の羽を羽ばたかせ、突風を起こす、
だんだんと煙が拡散し、視界が晴れてきた。
だが僕たちはそれまでに、校舎裏に逃げ込めた。
そこからもどんどん距離を離していく。
皆はあまりの出来事と全力疾走で、息が上がっていた。
英雄とされるだけはある。
ナルシオは余りにも強すぎた。
一度逃走を図り、完全敗北を回避せねば。
「マノワールさんが負けるなんて」
「学園長室に退避しましょう! このことは報告しなければ、マズいことになります」
「そうですね。私が最後尾を見張りますので、皆さん早く」
オーエラさんの提案で、僕達は退却先を決定する。
ニンメイちゃんも危険な役目を買って出てくれた。
あの男に一番に接するかもしれない位置にいてもらうのは、心が痛む。
そういって目的の場所へとたどり着く。
ノックをして、返答を待つと、すぐに入室の許可が下りた。
「マノワールさんですな。どうぞお入りください」
「学園長。校舎を壊してしまい、申し訳ございませんでした」
「おお。ご無事でしたか。ナルシオ君はいつも破壊しておるのです。偶にあることですので、お気になさらず」
何らかの方法で、部屋外の僕らを観察していたのかもしれない。
調度品のように魔道具が、所狭しと並べられている学園長室。
それらを横目にしながら、謝罪する。
しかし僕たちに追及はされなかったようだ。
彼はそのように言うが、眼鏡の奥の視線は鋭い。
完全に怒っているな。
「しかしあなたでも彼の暴走を止めきれませんか。魔法クラスの生徒減少もどうしたものか……先日のミーニャ先生の一件で、大人しくなってくれるかと思いましたが」
「純粋に実力差で負けておりました。こんなことは初めてで、自分でも困惑するばかりです」
僕はいきなり強くなった。
短期間中に強くなりすぎた弊害として、ある深刻な問題点が存在しているのだ。
格上に苦戦することが、ほとんどなかったのだ。
あったとしてもそれは、仲間を護る事とか、あまりにも敵が多いとか。
一対一の対等な条件で、ここまで追い詰められたなんて。
「見たところですが……あなたは職業への理解が足りていないのでは? 戦闘を観察させて頂きましたがもう少し有効な手札を揃え、対抗策を採れる余地があると見受けました」
「職業への理解? どういうことでしょうか?」
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