第100話 「マザコン英雄、本性を現す」
「……私に何の用だ」
「うわマジで教育不可能ニャ~終わってるニャぁ~」
情勢を見守っていたコックロの元に、学生の英雄は跪いて口説き始めた。
ここで諦めたのもそうだが、まさか想定の斜め下を行くとは。
ミーニャもドン引きしながら、それを見ている。
女性と話すのが苦手な僕でも、どれだけヤバい事かわかるのに。
「名剣のように美しく鋭い視線のレディ。あなたの美しい唇から、返答を聞かせてほしい」
「好みの若い女が捕まえられなかったから、私のところに来たのか? まさか私が年増だからって、妥協しようと考えているのか? いや無理だ。流石の私も年増であるからと、お前如きで妥協できない」
「ぼぼぼぼぼきゅをバカにしゅるなぁぁぁ~~~~!?!?!?」
一番辛辣な言葉が出た。
でもそうされるのが当然なくらい、非常に失礼過ぎる。
最初目当ての女性にナンパして、その目の前で次に狙い定めるとか、反感を買って当然すぎる。
マジでヤバいなコイツ……
鼻の頭を膨張させて、怒りを呈しているナルシオ。
頬を膨らませ、顔中に皴ができる程に表情筋を歪めていた。
非情に不細工で、あのイケメンな顔立ちは面影もない。
「ぼきゅは英雄ナルシスなんだぞ!?!?!? 魔物との戦争で英雄とされ、成績が学年1位! 自分の爵位と領地すら手に入れた、大天才なんだぞ! ママも褒めてくれたんだ!!!」
「不細工な顔にゃぁ~~~100年の恋も一瞬で醒めるニャ」
「ママと同じ顔を! ママをバカにしゅるなぁ~~~~~!?!?!?」
「バカにしているのはあなたです。本当に気持ち悪いので、ママの元に消えてくださいマザコン野郎」
「男としての魅力を感じません。品性下劣な畜生にも劣る、顔だけの屑」
「生きていることが恥ずかしくないのか? お前と私で釣り合いがとれると思いあがるな。下種が」
辛辣に女性陣たちは口々に罵る。
仲間をバカにされたこともあって、口撃は鋭い。
ニンメイちゃんも嫌悪感剥き出しで、ナルシオを見下している。
初対面でここまで嫌われるのは最早才能だぞ。
「学園生の女の子に相手にされないからって、転校生狙いかニャ? 自分の欠点も自覚せず矯正しようとしない、捻じ曲がった根性を治さない限り、お前に春は訪れないにゃ~」
「ナルシスとか言うキモ男は、本当に悪名高いらしい。初日から同級生が教えてくれたぞ? お前みたいな異常者には、絶対に近づくなとか」
「クラスでも避けられてるみたいですね? だからイキって自己肯定しなければならないのでしょうが。でも失敗してますし、」
恵まれた能力をドブに捨てる、人格の異常性。
顔も家柄も能力もいいのだから、少しくらいはモテると思ったのだが。
それすらないというのは、相当にトんでる人物という事だ。
しかしこう傍から見ていても、聞きしに勝るな……
「マ゛マ゛ぁ゛ーーーーーっっっ!?!?!?!?!?」
汚い表情で赤子のように泣き叫ぶナルシオ。
いい年をした男が甲高い声で、母の名を読んでいた。
もちろん仲間一同揃ってドン引きしていた。
「こいつらがぼきゅを虐めるにょぉ~~~!?!?!? 全部全部マノワールが仕組んだからだ! きっと騙しているんだ! 許せないじょ!!!」
「……」
「……うわ」
女性陣はドン引きである。
立ち上がって、そそくさと離れていった。
皆を後方に送ってしばらくしてから、僕もそれに倣う。
流石にここまで頭がおかしいと、関わらないようにするしかない。
だから誰もが遠巻きにしていたんだな。
中庭にいた生徒たちも逃げてゆく。
瞬間、直感する。
これは癇癪を起こすという合図だと。
「マノワールぅぅぅぅぅ!!!!! 決闘だ!!! お前を倒して、ぼきゅが女の子たちを手に入れるんだもんっ!!!!!」
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