お師匠様流特訓法
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします
「もう少しこの油を入れてみてはどうでしょう?」
「それだと洗浄力は上がるが、洗い上がりがイマイチじゃないか?」
師匠と私は色んなガラス容器の前であーでもないこーでもないと意見を交換しあっている。
もちろんマリアも片隅で見守ってくれている。
私たちは今何をしているのかというと、シャンプーとリンスを作っているのだ。
この前師匠に何か作ってみたいものはないかと聞かれ、この世界のシャンプーの洗い上がりに不満があった私は生前を思い出し作ってみようと思いたったのだ。
小学生の頃の夏休みの自由研究『自家製シャンプーとリンス作り』がこんな時に役に立つとは。
リンスはすでに完成して、シャンプーもあとは洗い上がりの配合の調整のみ。
「師匠、3番がいいんじゃないですか?」
「そうだな、これがさっぱりだけどごわつかない妥協点だな」
師匠から合格点がもらえたところで、
「かんせーい!!」
半年かけて作ったシャンプー、リンスが完成だ。
ローズ香る洗い上がりさっぱり、リンスでツヤツヤサラサラになるであろうスペシャルなお品が出来上がった。
ちなみに石鹸も最初に制作済みだ。
師匠の授業は3部に分かれていて、週3日のうち1日はモノづくり、その他の日は魔法の講義、実技だ。
師匠の教え方は丁寧でわかりやすく、使える魔法も増え威力も格段に上がった。
でも私は特にこのモノづくりが大好きで、魔法でオイルを精製したり攪拌したりしながら作り上げていくのはとても楽しかった。
「せっかくだから容器も自分で作ったらどうだ?」
「この前やった火魔法と水魔法の応用でこのガラスの粉を好きな形にしてみなさい」
「はい、やってみます」
せっかくだから高級感溢れる素敵なビンがいいな〜。
大きめの香水ビンのような容器を思い浮かべて火魔法の熱を込めていく、周りを少しずつ水魔法で冷ましながら徐々に形を練り上げる。
そうだ、フタもいるよね。
「できました!」
我ながら上手くできたんじゃない?
王家に献上してもおかしくないお品に仕上がりました…は言い過ぎか。
「さっそくシャンプーで髪を洗ってみたいな。マリア入浴の準備をお願いできる?」
片隅にいるマリアに頼むと、うっとりと出来上がったビンを眺めていたマリアがハッとした様子で近づいてきた。
「入浴の用意はすぐととのいますが、初めて作った物をお嬢様で試すわけにはいきません」
「お嬢様のおぐしにもしものことがあっては大変ですから」
確かに私もウィンライト家の令嬢だ。
大丈夫だとは思うが、絶対に何もないとは言い切れない。
「それではわしが試そう」
そういう師匠の頭には髪がほとんどない。
「でもお師匠様、言いにくいのですがお師匠様の頭では髪が…」
私がそう言うと、師匠がニヤリと縮れた白いあごひげを撫でた。
「毛ならあるだろう」
確かにあごひげをシャンプーしてもいいかも。
30分後…そこにはサラサラストレートなあごひげのお師匠様がいた。
窓からの風になびくそのヒゲはツヤツヤと輝いている。
「凄いです。お師匠様。完璧です」
「やったなアンジェ!次は何を作ろうか」
サラサラのお師匠様は最高の笑顔で言った。
私より楽しそうだなこの人。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。




