表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇談 -東京祓い屋探偵事件簿ー  作者: ニコ・トスカーニ
15/42

奇談 参考資料 ―オカルトと科学―

いつもお読みいただきありがとうございます。

執筆のために色々調べ物をしたのですが、ひょっとしたら本編以上に興味を惹かれる内容かも。

というわけで参考資料・補足解説です。

ここに挙げた参考資料はとても魅力的なものですので、興味があればぜひ。

■リャナンシー


 アイルランドの伝承に出てくる妖精。

 男性に憑りつき、精気を吸い取る代わりに芸術の才能を与える。

 アイルランドの詩人が短命なのはリャナンシーに憑りつかれているからだという伝承があるそうです。


 日本人でリャナンシー知っている方は少数派だと思いますが、ヤマザキコレ先生の『魔法使いの嫁』

に出てきたので知名度も少し上がったかもしれません。

 ちなみに『美しい人 優しい人』は思い切り『魔法使いの嫁』から影響を受けています。


■ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ


 アイルランドは伝統音楽が非常に盛んな国でその伝統が廃れたことも途絶えたこともありません。

 長年イギリスの統治下にあったわけだから凄いことです。

 アイルランドではおおよそ人の住む場所であればどこにでもパブ(酒場 public houseの略)がありますが、パブに行くと地元の腕自慢が毎晩のように演奏を披露しています。


 ヴァン・モリソン、U2、シニード・オコナーなどアイルランドはポップミュージックでも多くの人材を輩出していますが彼らは全員伝統音楽を経験しています。

 ヴァン・モリソンは伝統音楽界の長老バンドであるチーフタンズと共演してアルバムも作っています。


 ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ(Down By The Salley Gardens)はアイルランド音楽のメジャーナンバーで作者不詳の伝承曲です。

 有名になったのはアイルランドの国民的詩人でノーベル文学賞を受けているウィリアム・バトラー・イェイツの詩集に含まれていたことから。

 実際はアイルランドの老婆が歌っていた歌の断片に基づくものでイェイツの創作ではありません。

ちなみにこんな内容です。


柳の庭を下ったところで愛する人と逢ったんだ

彼女は白雪のような足で柳の庭を抜けて行った

彼女は僕に言った

恋は木の葉が茂るみたいに気楽に

でも若くて愚かだった僕は肯けなかった


川のほとりの原っぱに愛する人と立っていて

彼女は白雪のような手を僕の肩に掛けた

彼女は僕に言った

人生は堰に草の茂るみたいに気楽に

でも若くて愚かだった僕は今涙で一杯だ


詩的ですねぇ。


■降霊術とハリー・フーディーニ


 降霊術とはその字面通り、霊を降ろす儀式の事です。

 特に19世紀のアメリカで流行しました。

 発明家として世界的に知られるトーマス・エジソンも降霊会のヘビーユーザーでした。

エジソンは神智学の大家ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー(エレナ・ブラヴァツキーとも)の降霊会にもよく出入りしていたらしいです。


 その19世紀のアメリカで活躍したのが奇術師(マジシャン)のハリー・フーディーニです。

 フーディーニはマジシャンとして活躍する傍ら多くの霊能力者のインチキを暴いていました。

 その動機はフーディーニが懐疑論者だったから……ではなく、最愛の母ともう一度会いたかったから。

 そう。彼は本物の霊能力者を探していたんです。

 (結局、見つからなかったようですが)


 アメリカの降霊術について詳しくはAmazonプライムで配信されている 「ロア~奇妙な伝説~シーズン1 Epsode4. 死者の音」(Amazonスタジオ制作)をどうぞ。


 ちなみに20-21世紀においてもマジシャンは霊能力者のトリックを暴く側に回ることが多いです。

 現代の代表例だと心理学者でマジシャンのリチャード・ワイズマン、懐疑論者の代表格であるジェームズ・ランディなどでしょうか。(日本でもナポレオンズがトリックを暴いてましたね)

 特にランディは超能力者・霊能力者のトリックを暴くのに積極的ですが、彼がそんなに熱心なのは最愛の母にもう一度会いたいから……ではなく、少年時代に宗教儀式のインチキを暴いたせいで拘置所に拘留された恨みらしいです。

 恨みの力、恐るべき。


■オカルトと科学


 金縛りは仏教用語の「金縛(きんばく)」を訓読みにしたもの。

 金縛は、悪霊などを身動きできないように抑えて鎮めることで、そこから転じて身動きが取れなくなる状態を金縛りと呼ぶようになった。

 科学的には「睡眠麻痺と入眠時幻覚」による現象。

 「体がほとんど動かない」(睡眠麻痺)、「幽霊のようなものが見える」(入眠時幻覚)は特殊なレム睡眠下で発生する現象。

 詳しくは超常現象の追及をライフワークとしているライター、本城達也さんの「超常現象の謎解き」をどうぞ。

 大変に面白いです。

 http://www.nazotoki.com/kanashibari.html


 また、「23人のうち1組の誕生日が一致する確率」ですが、これは正しく数学的な理論に基づいています。

 詳しくはサイモン・シン著『フェルマーの最終定理』をどうぞ。


 最後に、これは言うまでも無いと思いますがエピソードのタイトルは東野圭吾先生の「探偵ガリレオ」シリーズのもじりです。

 

■魔術都市プラハ


 創作ではなくマジ。

 魔術王ルドルフ二世は特に錬金術を奨励しており、プラハには錬金術博物館なんてものも存在します。

 藤田和日郎先生の大ヒットコミック『からくりサーカス』もこの時代背景を土台にしています。


 じつは去年、プラハに行ってきたんですが時間が足りなくて見たい博物館すべてを見ることができませんでした。


 プラハ城敷地内にある黄金小路が錬金術師の工房だったというのも本当。

 往時の錬金術師の工房を再現した建物まであります。

 また、黄金小路にはあのフランツ・カフカも執筆小屋を持っていたとか。


 ティコ・ブラーエ、アイザック・ニュートンが錬金術に傾倒していたのも本当。

 一般的にブラーエは「おしっこを我慢しすぎて死んじゃった笑うに笑えない人」として有名かと思いますが、錬金術による水銀中毒が死因と言う説もあるとか。

 

 知ってる人は知ってると思いますが、旧初台駅は実在します。

 テレビでも時々取り上げられてますが、取材記事があったのでこちらをどうぞ。

 https://www.huffingtonpost.jp/2017/11/24/old-hatsudai_a_23287153/

後書きの後書き。

私が制作・脚本・チョイ役で参加した低予算映画「11月19日」が2019/5/11より一週間限定で商業的に劇場公開されることになりました。東京は池袋の劇場で単館・レイトショー上映されます。


シネマトゥデイに取り上げられました

https://www.cinematoday.jp/movie/T0024121


こちらは公式サイト

https://sorekara.wixsite.com/nov19


では、また会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ