【電子書籍化記念ss】俺の大切な友達であるセレステの自慢をさせてくれ
もう皆知っていると思うけど、俺は可愛いくまちゃんなんだ。
とびきり可愛くて、人の言葉も喋れて、頭も良くて、霊感もあるという、すごい万能くまちゃんなんだぜ!
それでだ――俺みたいなすごいくまちゃんは、前からスーパースターキラキラくまちゃんだったと思うかい?
それが違うんだ。
俺は今、死んでるくまちゃんなんだけど、生きてるくまちゃんだった時もある。
生きてるくまちゃんだった時の俺は、ちょいと冴えないやつだった。
母さんくまもいたんだぜ――でも母さんくまのことはあまり覚えてない。
つらい記憶だから、神様が大部分を忘れさせてくれたのかなあ……だとしたら、ありがたいや。
ぼんやり覚えているのは、俺が生きてる赤ちゃんくまちゃんだった頃、ほかの兄弟よりもだいぶ体が小っちゃかったってことだ。
こういうのってもう、運だよな。
大きく生まれたい、小さく生まれたい――そんなの自分じゃ選べないんだからさ。
体の小ささが原因で、家族の中で厄介者みたいになっちまってさあ……俺にとってさらに不運だったのは、一緒にいた兄弟の気性がえらく激しかったんだよな。何かっていうと小突かれた。
母さんくまも最後のほうは、俺を冷たい目で見ていた気がするな。『私の子じゃないわ』って目でさ。
それで俺は家族から弾かれて、ひとりぼっちになってさ――もうどうにもならねえっていうギリギリの状態で、セレステと会ったわけ。
セレステが優しくしてくれたのが、生きてるくまちゃんだった時の、最後の幸せな記憶さ。
あの日のセレステの穏やかな瞳は、はっきりと覚えているぜ。
俺は母さんくまのことをほとんど忘れちまったけれど、生きている最後に会ったセレステのことは、ずっと忘れなかったんだ。
――ビバ! ラザーニャ!
色々あって、俺は人の言葉を喋れるようになった。
それでなんか思ったのはさあ……言葉を知ると、生きるのが複雑になるよなあ……ってこと。
その時、その時、何か心が動いたら、それに『説明』がついちゃうだろ?
あ、今、冷たくされて胸がきゅっとなった……これが『悲しい』か。
夕焼けが赤いぜ、大切な人に会いたいな……これが『切ない』か。
もしも俺が生きていた時、人の言葉が喋れたら、つらくて耐えられなかっただろうな。
あ、俺、今、悲しい。
あ、俺、今、心が痛い。
あ、俺、今、愛が欲しい。
そんなふうに色々気づいちゃったら、俺、ひとりで耐えられなかった。
人間ってすげえなあ……俺みたいに死んでるくまちゃんじゃないのに、生身の体で色々な感情を溜め込んでいるんだもの。
人間じゃない、くまちゃんな俺には無理だな。
だから生きていた時、俺は冴えないベビーくまちゃんで良かったわ。賢くなくて、良かった。
あ――今は死んでるくまちゃんだからさ、頭で色々考えてもつらくないし、全然平気だぜ。
――セレステは自分を『繊細』だって言う。
そうかもな……だってセレステは優しいもの。
初めて出会った時、野良くまちゃんだった俺がラザニアを食べても、セレステは怒らなかった。だから俺、幸せに死ねたんだ。
優しいからセレステはたくさん傷つくんだよな、俺も気持ち、分かるぜ。
なんせ今の俺は万能くまちゃんだからな。
夕焼けの赤を見て、切なさを知る、詩人くまちゃんなんだぜ。
母さんくまは俺を置いて去る時、一度も振り返らなかったと思う。
だけどセレステはさ――ちょこちょこ俺を振り返るぜ。
「――くまちゃん」
セレステが俺を呼ぶ温かな声は、世界で一番優しい響きだ。
セレステ――俺の友達になってくれて、ありがとな。
俺、セレステが大好きなんだぜ。
君は俺の自慢の友達さ!
『モコモコくまちゃん』の電子書籍(小説1巻)が2024/12/27に発売します!
☆表紙
♡♡♡♡♡宵マチ先生♡♡♡♡♡
イラストが可愛すぎます♡
商業版は序盤からくまちゃんがガンガン出てきます。
面白いのでぜひよろしくお願いいたします!
あと、ものすごく素敵にコミカライズしていただきまして、そちらももうすぐ公開になります。
超絶美麗でポップでキュートなので、漫画で大暴れするワンパクくまちゃんを見ていただけますと幸いです。
あとエリシャがめちゃイケメンです♪
漫画のほうはまた公開前にご案内させていただきます。
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電子書籍化記念としてUPした上記SSはいかがだったでしょうか。
くまちゃん、セレステとずっと楽しく暮らしてね!ということで
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最後までお付き合いくださりありがとうございました!




