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転生を希望します!  作者: 黛ちまた
イリダ編

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323/360

037.魔法使いで野獣で?

魔法使いのあたりからは暴走タイムです。

私の思考も暴走気味です。


セラから教えられた衝撃の事実に言葉が出ない。

いや、だってさ、ショロトルさんは実は解離性同一性障害だったなんて、誰が考えようか?

でもうちのルシアン様は気付いたらしいよ!凄いな?!


「ルシアンはよくその事実に気が付きましたね」


感心しながら言うと、セラが信じられない事を言う。


「ミチルちゃんが作った料理で思い付いたらしいわよ?」


「?!」


私が作った料理?そんなの作ったっけ?

え?まさか三色丼の事?あれで?あれでその可能性に気付いたの?こっちは残り物感をいかに出さないかとか考えてたって言うのに?!

すっげぇな、あのイケメン!……おっと、言葉が乱れたわー。


「では、ショロトルという王族の方は、複数の人格をお持ちで、オメテオトルと、ケツァ?はショロトルの中に存在するのですね?」


「そうみたいね」


思わず唸りそうになるのを堪える。


いやー、まさかそんな、ねぇ?

オメテオトルの大事な人はショロトルなんでしょ?

主人格であるショロトルの精神崩壊を防ぐ為に、色々と画策しているって事だよね。

私が考えていた三角関係ドロドロの愛憎劇なんかミリもなく、己を守る為だった、って言う大変シンプルかつ分かりやすい話だったなんてねー。

いやー、これは一本取られちゃったなー……って分かるか!想像もつかないよ!


……しかもですよ。

オメテオトルが私を狙う理由がまた、荒唐無稽も無稽過ぎてもー、何処からツッコんで良いのやら?!


「そこまでは理解しましたが、私に女神を呼ばせると言うのは現実的ではありませんね」


そうなのよ、とセラも頷く。

すっかりハマったらしい落雁を口にしながら、セラは話を続ける。

アフタヌーンティー用の三段ケーキスタンドには、上から落雁とあられ、中段にみたらし団子と餡団子、下段に俵型のおむすび。

ケーキスタンドにのせる必要ない気がするけど、見た目的には映えます。

最初に俵型のおむすびは全部いただいたので、次は中段です。セラはマナー無視して上段の落雁食べてるけど。


気持ちを落ち着ける為に私もお茶を飲む。はぁ、胃にしみます……。なんか疲れがキタヨ……。


「アスペルラ姫は女神と何度も対話をしていたらしくてね。それで思い付いたんだろうけど」


そんな、伝説の人物と私を同列に考えるのは無理がある。

無理があるよ!!

あのね、本当に、私は凡人なんです!由緒正しいモブなんです!!


「どなたか、その考えが間違ってるとオメテオトルに伝えて下さらないかしら……」


ため息出るよね、本当に。


いくら特殊な血筋だとは言え、そんな事出来る訳ないし、した事もないし、自分の願いを女神サマ呼び出して叶えてもらおうとか考えた事もないよ?!

自分の願いを叶えてもらえると思うその思考回路、さすが王族と言うべきか……。


「セラがロイエから教えていただいた内容からすると、戦争は不可避なのですね……」


「そうね」


もし本当に私に女神サマを呼ぶ力があるなら、イリダを滅ぼして下さいって願えば良いの?

あー、でも駄目か、そんな事したらさすがにアッチの神が許さないかな。


「……気鬱です……」


ため息を吐いた私の前に、クロエが飴を差し出して来た。

今、物凄い速さで間合いを詰めて来なかった?!なんなの?クロエもアサシンファミリーに相応しい動きが出来ちゃうの?令嬢なのに?


目の前には赤、青、黄色の包み。


「こちらの黄色い包みは愉快な気持ちになる成分が入っております。それからこの青いのは更に気持ちが落ち込むようになっておりまして、些細な気鬱さなど気にならない程には凹む仕様です。この赤い包みは何もかもどうでも良くなります」


怪しさしかない……!!

選択肢が無いではないか!

愉快な気持ちとか、何か決めちゃう系にしか思えないし、更に凹むとかどういう仕様なの?!何もかもどうでもよくなるとか、怖すぎて考えたくもない……!


セラが笑顔でクロエの手元から全ての飴を回収してゴミ箱に叩き付けた。ぐっじょぶ、セラ!!私の色んなものが守られました、ありがとう……!

クロエはゴミ箱を前にブツブツと何か呟いてる。聞こえないけど。それを真ん前で聞いてたセラがクロエにデコピンを…!

あまりの痛さにさすがのクロエも額に手を当ててその場に座り込んだ。……ロクでも無い事を呟いてたっぽい……。


「ルシアン様に骨まで粉砕されたくなかったら、もう少し有益なもの作って来なさいよ。はい、やり直し!」


クロエは部屋から追い出された。

……うん、飴は食べてないけど、違う意味で色んな事がどうでも良くなってキタヨ。

ありがとう、クロエ……。


まったく、と言いながらセラは椅子に座る。

苦労するね、セラも。


「話は戻るけど、オメテオトルの考えは理解出来なくもないわよ」


なんですと?!

予想外のセラの言葉にびっくりする。


「ミチルちゃんが歌うたびに光が天高く昇って行く様子や、何もなかった大地に花が咲き誇るのを見たら、可能なんじゃないかって思うもの。普通の人間から見たらアレ、奇跡以外の何ものでもないわよ?」


あー……アレね。私自身は見えないんだけど、空に向かって光の渦が昇って行くらしく、感動しちゃう人続出らしいんですよ。

目の前で花が咲くのは見た事あるから、アレは我ながら凄いとは思う。某国営放送の植物の成長の軌跡を倍速で見ているような気持ちになる。


そうかー、そんな気持ちになっちゃうのかー。

でもコレは祖母だって……いや、ここまでは育ちきらないと言ってたなぁ。

偏に私が転生者で魔力の器が二つある事に起因するんであってね、理由があると申しましょうか。


「奇跡だとは思っても、オメテオトルと同じ考えに至るかは別問題ね。王族として何でも手に入るだろうショロトルの精神が崩壊しかける程の事があって、オメテオトルが彼の身体の中で誕生した。つまり、人ではどうしようもない事が発生したって事よね」


難病になったとか?いや、それならその情報が伝わってくるよね。だからそうじゃないんだよね。


それに、オメテオトルと言うか、ショロトルに何があったかとか、どうでも良い域に入ろうとしてるよね。

戦争が起きるんだから。


お義父様や皇国公家、帝国皇帝達が戦争に向けて準備をしている事は知ってる。

正直まだイリダの文明レベルが分からないから、何とも言えないけど、ミサイルとか作成出来るレベルだったらかなりヤバイと思うんですよ。

それはお義父様にも伝えたけど。

前世の私が武器製作のスペシャリストだったら話は別なんだろうけど、っていやいや、物騒過ぎる。

何とか戦争を回避して欲しい。一部の人間の欲の為に、命を落としたり怪我をするのはいつも関係ない人達だ。


「何も出来ない自分が歯痒いです」


「むしろミチルちゃんが動くと色んな人が暴れるから止めて欲しいわ」


え……っ!

そんな事する人、ルシアンしか思い付かないけど?


「……色んな方?」


「ルシアン様は言わずもがなでしょ、イルレアナ様に、ソルレ様、聖下もそうだし、ラトリア様もそうでしょうし、恩義を感じてるギウスの族長もいるし、ロイエに、レーゲンハイム一族でしょ、オリヴィエに、アビスに、大旦那様」


あー、祖父母の存在忘れてました。大変申し訳ナイ。レーゲンハイム一族もありえるね。ゼファス様とロイエとアビスはどうかなーとは思う。って言うか、災害級が最後に混じってるがな……。


「……そんな事」

「あるわよ」


被せ気味に否定されました……。


「とにかく、ミチルちゃんが狙われてるのは事実なんだから、大人しくしてちょうだい」


「私、基本引きこもりですよ?」


セラとしばし見つめ合う。

あっ、ため息吐かれた。


「……そうなのよねぇ。ミチルちゃんは自分から危険に寄ってくタイプじゃないのに、巻き込まれるのよねぇ」


……不幸体質って事……?


「引き続き引きこもっててちょうだい」


「了解です」


イエス、マム!

心の中でセラ軍曹に敬礼。


イリダが攻めて来るとして、それは間違いなく船な訳で。

冬の海は凍ったりはしないけど、航海するには厳しい季節。ただでさえイリダは資源がうんたら言ってるんだし。

だから、来るなら直ぐにか、春になってから。


「大丈夫。何があってもワタシ達が守るわ」


私を安心させようと、セラが微笑む。

相変わらず美しい笑顔ですね、眼福です!


「オメテオトルは私を利用したいのですから、私はむしろ安全かも知れませんよ?」


安心させようとそう言ってみると、セラは呆れたように息を吐く。


「もし、本当に女神がミチルちゃんの呼びかけに応じて願いが叶ったとして、願いは一回だと思うの?」


セラの発言に言葉を失う。


……それは、盲点。

確かに便利な存在だよね。願い叶えたい放題。

ってイヤイヤ、普通、願い事ってワンチャンじゃないの?貪欲過ぎない?


「では、願いを叶えて下さらなくて良いですと心で念じれば良いのでしょうか?」


餡団子に手を伸ばす。

一つ目を頬張る。


「その場合のミチルちゃんの価値は、魔力製造機になるわね」


「!」


ちょっ、団子が喉に詰まるから!


めっちゃエゲツない事言われたけどその通りだよね……フフ。どっちに転んでも利用価値があるから逃してくれない、って事です。

我ながら凄い。危険地帯に近付かなくても危険が向こうからやって来るスリリングな人生。

平穏……平穏が欲しい!!

そんなに無茶苦茶な事を願っている訳では無い筈なのに、平穏が縁遠い!

前はルシアンと婚約したからだと思っていたけど、今では自分の属性が呼んでるもんなー。


「私達は私達の尊厳の為にもイリダに負ける訳にはいかないの。その為に多くの犠牲を払おうとまでしているの。イリダなんかに好きにはさせないわ、絶対に。

それにもし、ミチルちゃんが真実、女神に愛された存在だったとするなら、そんな状況になったら女神は全てを許さないと思うのよね。守りきれなかった私達諸共滅ぼされる可能性だって無くはないのよ?」


えぇー……なんかそれ、責任重大過ぎて失踪したい。


「さすがにそんな事は無いと思いますけれど……」


ふた口めの団子を口にする。


「分からないわよぉ?」


何故脅す。


「ミチルちゃんはね、伝説級の八代目女皇と同じ転生者で、魔力の器を二つも持っている上に、女神に愛された稀代の皇女 アスペルラ姫の末孫なのよ」


こうして聞くと、実物とは激しく乖離した凄い人物に思える不思議。


「ミチルちゃんがどう思ったとしても、価値があるのよ、残念ながら。イリダがマグダレナを掌握する為に使うなら絶好の人材じゃない?」


「ソーデスネ……」


頭痛が痛い!危険が危ない!

その辺でお許し願いたい!!


三つ目の団子を口に入れて乱暴に噛んで飲み込み、お茶を口にする。


「散々脅した所で選手交代よ」


選手交代?


顔を上げるとドアを開けてルシアンが入って来た。

セラは立ち上がってウインクすると出て行った。


隣に腰掛けるとルシアンが顔を覗き込んでくる。


「どうかしましたか?」


その優しい眼差しに何だか泣きそうになってきて、ルシアンの胸にもたれかかった。

優しく髪を撫でてくれる。


「私の存在が一人歩きしていて、怖いです」


「父と同じですね。元のベースはあったとしても、噂が噂を呼んで広がっていく」


「お義父様は魔王様で間違いありませんよ?」


首を傾げると、ルシアンが笑った。


「父がたまに、私は魔王だからね、と言うから何かと思えば、ミチルがそう呼んでいたんですね」


面と向かっては言ってなかったような?

アレ……?


ふふ、と笑いながら、ルシアンは私の頰を撫でる。その触れ方に、私への気持ちが伝わってきて、胸が疼く。

甘くて、優しくて、大好き。私の中の不安な気持ちがまたしても一瞬で霧散する。


目を閉じ、キスをねだる。頰を両手で包まれて、唇に柔らかい感触がした。直ぐに離れて、また重なる。


「ルシアンは魔法使いみたいです」


「魔法使いですか?」


「そうです。さっきまでセラに怖い話を聞かされて不安でたまらなかったのに、ルシアンにこうして抱きしめられて、キスをしていただいたら不安な気持ちが何処かにいってしまいましたもの」


そう言って笑いかけると、ルシアンが真顔になる。

アレ?自分で言うのもなんですけど、今結構良い事言ったと思うんだけど?え?駄目?あざとすぎた?


「抱き締めるのと口付けただけで不安がなくなるのですか?」


……え、ナニそのひっかけみたいな言い方?


「もっと甘やかしたらどうなるの?」


蕩けた目で聞いてくる。


やはりか!


「……どうもしませんわ」


教えないよ?秘密です。言ったが最後、色んな事が加速しちゃう事請け合いですからね。


「変わらないの?」


「……変わりはしますけれど……何処がとは申し上げませんわ」


「では自分で確認するしかなさそうですね」


?!

回避した筈なのに捕まってる?!


「ルシアンのえっち!破廉恥!」


「本当にね」


認めた!

いや、前から全力で認めてた。否定された事なかった!


「でもそれは、ミチルが私にとって魅力的だからいけないんだと思います」


え。イキナリ私の所為ですか?!


困ったようにしながらも、蕩け継続中のルシアンは、私の手を取り、口付けた。どきっとする。

未だにこんなドキドキさせるんだから、このイケメンは本当に危険だ。


「ミチルが言ったのでしょう?私に口付けされると幸せになると」


不安が払拭されるとは言ったけど、幸せまでは言ってないような……?いや、幸せな気持ちになるから間違えてはいないんだけど。


「ルシアンが甘すぎます……」


「嫌いじゃないでしょう?」


ぐいぐいくる!破廉恥ルシアンがぐいぐいくるよ……!!


「心臓が持ちません」


妻になって結構経つけど、いつもこうやって過剰にドキドキさせてくる。


「可愛い事ばかり言って、私の気持ちをそうやって刺激するのはミチルなのに。いけない人ですね」


最初の魔法使いはちょっとあざとかったなって自分でも思うけど、不安がなくなるのは事実なのです。だから感謝も込めて言いました。けど!その後の展開までは予想してません!

私的にはキスあたりで終了の予定だった訳なんですよ。それがまさかの。……私の考えが浅すぎたようデス。


………いや、待てよ?

私もそろそろ次のステップに上がっても良いんじゃないの?

完全肉食女子化は無理だとしても、バーサクしないでもルシアンに甘えるとか甘えるとか甘えるとか…!

どうせこの流れは甘々コースなんだから、レッツチャレンジですよ、ミチル!


「伴侶を飽きさせない為ですもの」


次の瞬間、ルシアンの目が肉食動物のように獰猛になったのを感じて、ミチル生命の終了を確信した。

ソッコーで諸々後悔しました、えぇ……。


「後悔しても、許しませんよ?」


……ぅわぁ。

どうしよ。

いや、もう止められない。王●とルシアンは止まらないって学習しました。そして私はナウ●カにはなれないのです。いや、でもナ●シカも死亡覚悟で己の身体で止めてたよね。え?あれぐらいの覚悟が必要って事?


カウチにそのまま押し倒される。

……デキマシタラ、寝室ヲ希望シマス。

ここまで来たら悪ノリしてそれも言ってみよう。え?自棄になってないかって?よく分りましたね?


ルシアンのスイッチオーン!


「寝室に連れて行って下さいませ」


噛み付くようにキスをされる。深いキスを。呼吸も出来ないぐらい深い、深いキス。

口付けを終えたルシアンは、酸欠でぼんやりしている私を見下ろし、目を細めて微笑んだ。


私を抱き上げると、寝室に入る。

ふかふかのベッドに身体が沈む。この瞬間が好きだ。包まれるみたいな感じで。


何も言わず、笑顔だけ向けてくるのがまたね。ガチ野獣。

いつもは散々言葉攻めしてくるのにね。


肉食女子のパターンを模索する。

1、こっちも野獣になる

2、草食動物ばりに怯えて更に煽る


…………ちなみに、どちらも選択する余地が無い状況に陥った事を、現場のミチルから報告します。


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