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転生を希望します!  作者: 黛ちまた
イリダ編

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020.寝言は寝てから

責め(攻め)て、攻めて、攻められます。


ミチル、キレッキレ?です。

「ミチル?!」


「陛下!!」


「兄上!!」


「!!」


「ぷっ……あっはははははは!」


三者三様の反応がそこかしこ。

ま、そりゃそうでしょうとも。

帝国の太陽である皇帝陛下の頰を引っ叩いたんですからね。


それにしても、思ったよりキレイに入らないもんだな。

お義母様がルシアンとセラを叩いた時は、凄い良い音がしてたんだよね。アレをイメージしてたんだけどなー。


皇帝の周りには殿下やスタンキナ公が集まっていた。

リュドミラ、君は妻なのに何故目をキラキラさせてるんだい。また変な事を考えてるんじゃあるまいな?!

殿下とスタンキナ公は私を睨んでる。そりゃそうでしょうとも。


「ミチル、一体何故こんな事を?!」


おぉ、ルシアンがめっちゃ慌てふためいてますよー。

私の身に何かあった時ぐらいしかない、珍しい反応です。


「何故って、愚問ですわ」


「愚問?」


「ルシアンが今こうして無事でいるから、こんな風に和やかに話してますけれど、下手をすればルシアンは死んでいてもおかしくなかったのですよ?死なずとも怪我をしていたかも知れない。ルシアンが無事と言う事は、ルシアンを狙った人達は無事ではないのでしょう?

それなのに、願いを叶える?ふざけてらっしゃるの?」


寝言は寝てから言え、ですよ。


ルシアンの目がみるみる大きく見開かれていく。


「もし何かあれば、そこのお義父様に骨すら粉々にされていたとは思いますけれど、私も絶対に許しませんわ」


大変珍しい事にお義父様は、笑い過ぎてお腹が痛いらしく、屈んで床に手を付いている有り様ですよ。

いい加減笑い終えて下さいませ。

今、キリッてする所ですよ?!


「それに私、そこのスタンキナ公が作った教団のトップに襲われそうにもなったのです。

ハッキリ申し上げて、何故仲良く出来ると思ってらっしゃるのか、不思議ですわ」


いじめっこ理論だろうか?

謝れば許してもらえるとか。そんなのお父さんお母さんぐらいにしか通用しないからね!


アレクシア様の事を自分の中で抑え込んでるのだって、自分がディンブーラ皇国の人間だからで。嫌でも飲み込むしかない。それに彼女が嫌な奴じゃないって知ってるのもある。

国際問題に発展しないんだったら、生きて会う事だって本当だったらなかっただろう、海のものとも山のものとも知れない帝国皇帝との関係なんてどうでも良いよ。


皇帝の横に立っていた殿下とスタンキナ公から怒りのオーラが消える。


「その通りだ。余は、本当に愚かだな」


そう言って皇帝は俯く。


「あぁ、おかしい。ミチルの方が余程弁えているではないか」


そう言って立ち上がったお義父様は、目尻の涙を胸ポケットのチーフで拭いている。そんなに笑ったんだ…。


「この国において君達は頂点に位置する。

自国内では謝れば何でも許してもらえたんだろうけど、それは皆が我慢しているからだよ、勘違いしてはいけない。

許されてなんていないんだよ、許してる振りをしてくれているだけだ」


お義父様の言葉に、皇帝が視線を下に向ける。


「返す言葉も無い。分かったつもりで、何一つ分かっていない」


ため息を吐いた皇帝は、顔を手で覆った。

どうせ覆うなら、私に叩かれた方が良いと思うナ。


ルシアンはさっきから固まっている。

なして?


皇帝の頰を早く冷やした方が良いですよー、と言う事で謁見は巻きで終了し、屋敷に戻った。

いや、だってね。皇帝の精神状態が地面にめり込みそうなぐらい落ち込んじゃってね、話どころじゃなくなってしまったんだよね。




とは、言え、ですよ!

やりきりましたー!!

みっしょんこんぷりーと、です!!

機会があったら、絶対にやってやろう、って思ってたんだよね!

らしくないでしょう?私もそう思う!でもね、許せなかったの。

弟を助けたい。大変結構。是非頑張って下さい。

弟が死んだ事にして、弟を助けたい。ふーん?

だから、そっくりなルシアンを代わりに殺す事にしたけど、仕方ないよね。

ってそんな訳あるか!許さんよ、そんなの!

ビンタぐらいでとりあえず済んでる事に感謝して五体投地しろ、って気持ちですよ。


……ところで。

私が皇帝を引っ叩いたあたりから今に至るまでずっと、ルシアンが無言で私を見つめてるんだよね。

言いたい事があるなら言ってホシイ。


……はっ!

こんな暴力嫁要らない!とか、そういう?!

あわわ!そこまで考えてなかった!

どっ、どうしようっ!!


「あっ、あの、ルシアン」


これで離婚になったらどうしよう?!


ルシアンの服をぎゅっと握る。

逃げないでー!


「……ミチルが、こんな」


口元を手で覆う。


こんな怖い女だった、とかですかねー?!

あばばばばば!

怖くない!ほら、怖くない!!


「こんなに、思ってくれていたのが、嬉しい」


ルシアンの顔が赤くなっていく。

今赤くなんの?遅くない?!


そして、さすがのヤンデレですね!

潔いぐらいにブレません。


ぎゅむぎゅむ抱き締められる。この前のぎゅうぎゅうの上をいきますね。逝けそうです。ぅぐぅ…。


私が息も出来ずに苦しんでいる様子に気が付いたルシアンは、慌てて手を離した。


Oh……呼吸が出来るって、スバラシイ。

深呼吸深呼吸。


「あぁ、ごめんなさい、ミチル。興奮してしまって」


なるほど?ルシアンが興奮すると私は死線を彷徨うのだな?


そうかと思えば今度は頰に頬擦りされた。


「はぁ……ミチル……」


どんだけ嬉しいンダヨ……いや、喜んでもらえたのは、良かった?と思うけどさ。


「心臓が止まる程嬉しかったですが、あんな無茶はもうしないで下さいね。部屋に閉じ込めたくなってしまう」


待たれよ!

前半から後半の繋がりが一切理解出来ん!


「愛しい人……」


うっとりした顔で、甘い言葉を囁かれてますがな。

あぁ、もう、大好きだよ。


軽くキスをする。


「もっと」


もう一度する。


「もっとキスして」


このっ!イケメンだからって、何でもワガママが通ると思ったら、間違いだぞっ!

えいっと身体をルシアンにのせて押し倒す。


キスをして、キスをして、キスをする。


とろけそうな目で私を見上げるルシアンのおでこにキスをする。


「ルシアンは、私の物だと言いながら、危険な場所に飛び込んで行くんですもの。許せません」


頰を両手で包み込み、強く唇を押し付ける。


「ミチル……」


喋ろうとするのを、キスで邪魔する。


「分かっていただけました?」


「まだ少し、分からないかな…」


嬉しそうに嘘を吐いてきやがりますね。

お仕置き!といきたい所ですが、いかんせん、ミチルですからね。こっから先どうしたもんかな。

勢いで押し倒したからなー。

前も勢いで押し倒して最終的にルシアンに泣き付いた記憶が…。


えーと…こんな時、正しい肉食女子ってばどういう事してたっけ。

あ、そうそう。服を脱がす。これはやった事あるからね、任せて!


ルシアンの宮廷服の釦を外す度にキスをしてみた。

ほら、雰囲気、大事!

正直、大分いっぱいいっぱいになってきてるけども!

let's try it!


イヤリングが外され、髪を結い上げていたリボンが次々と解かれていく。

髪がルシアンの身体の上にかかる。


「ここにキスして」


言われた場所にキスをする。


「次は、ここに」


キスをする。


「……今度は、ここ」




はれーーーーんち!!


あああああああああああああ!!

一人、ベッドの上でゴロゴロ転がる。

おっと、勢いがあったから端に着いてしまった。


破廉恥過ぎた!アレは我ながら破廉恥だった!

ミチル史上最大の破廉恥極まれりですよ!!


ぅきゃあああああああ!

反対側に転がる。


枕を抱きしめてギューーッて潰す。


でも!でもでもでも!

見たか!見ちゃいましたか!!

ミチルなのにあんな!

肉食な事をしちゃったぞ!!

成長!進化!

もうね、キスなんてお手の物ですよーだ!ふふーん。

いや、ちょっと恥ずかしいけど。


「るしあーーーーん」


大好き!!


「なぁに?」


ほわっ?!


一気にふわっふわした気持ちが萎む。


振り返ったら、ルシアンが壁に寄りかかってこっちを見てた。

ふふっ、と笑いながらベッドに寄って来ると、私の顎を掴んで噛み付くようなキスをしてきた。


「もしかして、一人の時、そんな風に私の名を呼んでいたの?」


「……と、時折……」


「可愛い事を」


押し倒された。


えっ、いや、でもあの、さっきまでね?


「煽ったミチルが悪い」


「煽ってませんっ」


破廉恥過ぎるーーーーっ!!




「しばらく帝都に滞在するよ」


夕食時、お義父様が言った。

何で?皇帝には会ったでしょ?

他にも何かあるの?先帰って良い?

嫌な予感するし!


「ミチルは明日からカテドラルで祈りを捧げると良いよ」


「そろそろ」


ルシアンが言った。


「教えて下さい」


「良いよ。食後にサロンで教えてあげよう。まぁ、ルシアンが大分話してしまったろうとは思うけどね」


緊張して来て、料理の味を楽しめなかった。

ルシアンから話を聞いてはいたものの、お義父様の事だ。更に何かが隠されている可能性もある。




「何から話すのが分かり良いかな」


そう言って赤ワインを口に運ぶ。


「成り立ちから話すのが、抵抗なく入るだろうから、創世から話そうかな。

あぁ、創世と言っても、この大陸の事だよ」


私は頷いた。

図書館で読んだ本に書いてあったから大体分かってるけど、復習も兼ねて。


「女神マグダレナが世界を作った時には、兄達の作った民達は既にそれなりの文明を築いていた。

女神マグダレナは兄達をよく見ていた。兄にそっくりに作られた民達がいずれ辿るだろう道は、手に取るように分かっていた。

あぁ、これはね、初代女皇が記した日記に書かれていたんだよ」


そして、予想した通りに、オーリーの民とイリダの民は争いを始めた。

兄達が自分に答えを聞いてくる事は分かっていた。だから妹神は答えた。

"私の民は一番強い民には劣ります"

どちらの兄も、己の民が一番だと思っているから、その言葉を聞いて納得もしたが、興醒めもした。

愚かな争いが続く間に、女神の作った大陸は完成し、そこに住む民も、植物も、動物も、全てが揃っていた。

国も形成され、祈りの仕組みも完成した。

例え、兄達の民がこの大陸に来ても、マグダレナの民が生き残れるように。


空から降り注ぐ魔素を、植物、動物、人は鼻や口から吸い込み、体内で魔力へと変換していった。

その魔力を、大地に送り込む事で大地は潤い、木々も植物も生い茂る。天命を迎えた動物は地に還る。人もまた同じ。

人は、女神から魔道の術を伝授され、三つの技を覚えて行く。ただ、三つ目の錬成だけは出来る者と出来ない者の差がはっきりと出た。出来たのは何万もいる民の中で数えられるだけだった。

そこで女神は一人の女性を選んだ。それが初代女皇だ。

女皇は自分だけでは不安だからと、八人を己の支えとして選んだ。これが皇国八家の興り。

彼らが祈りを捧げ、魔力を大地に捧げると、大地は豊かになった。人々は彼らに従う事にした。

古代ディンブーラ皇国の完成だね。

血が薄まると祈りの力が弱くなる事に気が付いた彼らの行動は早かった。

決して血を薄めないように、濃くなり過ぎて起こる問題が発生しないように、細心の注意を払って血を保ち続ける。


女神は言った。

今後、オーリーの民やイリダの民がこの大陸に来る事があるだろうと。

移り住む事は許してあげなさい。ですが、血を混じらせてはなりませんよ、それは私からの加護が喪失する事を意味します、とね。


かくして、女神の言葉通りに、イリダの民に負けたオーリーの民が命からがら逃げて来た。

マグダレナの民は、オーリーの民に選択を与えた。

この大陸は我らマグダレナの為に女神マグダレナが用意して下さったもの。女神が受け入れろと命じるので受け入れるが、そなた達の血は受け入れぬし、ここでは我等よりも下の扱いになる。それでも良いか、と。

イリダの民から酷い扱いを受けていたオーリーの民は一も二もなく受け入れた。

そこでオーリーの民はマグダレナの民が持つ不思議な力を見て、貴い力を持つ者達として、貴族と敬った。

それに対して何の力も持たない彼らは平民と呼ばれるようになる。

こうして、皇国は何百年と安寧の日々を続けていく。

だが、驕れる者久しからずと言う言葉があるように、栄華は廃れるものだ。

熟れ過ぎた果実は、あっさりと枝から落ち、割れたのだよ。


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