015.あっちもこっちもぐいぐい来る!
久々の言葉攻めにございます。
物足りない場合は脳内補完をお願い致します。
今日は王城に遊びに来ている。
当たり前と言えば当たり前なんだけど、モニカのお腹はまだそんなに大きくなっていなかった。
「ジークが過保護になって、困っておりますのよ」
いや、殿下は前からモニカに対して過保護だったよ?と言うツッコミは心の中でしておく。
「それにしても、ミチルってびっくり箱みたいですわ。
転生者で、皇族の養子になって、そうかと思えば本物の皇族だったなんて」
紅茶を飲む。
お、懐かしい味ー。学生時代に飲んでいた奴だ。
「私もまだ、受け止めきれておりませんわ」
何かの間違いなんじゃないかと思うのに、間違いないという証拠?が出て来て、受け入れざるを得ないと言うか。
「ところで、ミチルはまだですの?」
「!!」
来ると思った、その質問!!
「私達と違って、毎晩同衾なさってらっしゃるのでしょう?」
「……色々あって、ルシアンも皇都におりませんでしたから」
これは本当!本当だよ!
旧アドルガッサーの宮に着いてからも離れていたしね。
そしてその後私がお預けを食らわせましたし。
「早くミチル達にも出来ないと、困りますわ」
「?」
ピンと来ない私に、モニカがうふふ、と笑う。
「私達の子と、ミチル達の子を、将来結婚させたいのです」
また、そういう事言い出して。
「モニカ、大変申し訳ないのですけれど、私とルシアンの子は、公家の人間ですから、王家とは婚姻出来ませんよ?」
皇国公家とは各国の王家の上に位置する存在で、頭一つ分以上は飛び抜けている存在らしい。そんな存在と婚姻を結べば、その国の王家の立ち位置が変わってしまう。だから王家とは婚姻出来ない。
「婿はどうですか?」
「ラルナダルト家は公家や特定の家としか婚姻を結べない家柄なのです。ごめんなさい、モニカ」
ホロホロとモニカが泣き出してしまった。
「私の夢がっ」
「親の望みを子供に押し付けるものではありませんわ」
それはそうですけれどっ、と言って泣くものだから、背中を撫でた。
大体さ、そう言う親の決めた許婚とかってさ、ロクな事にならないよ?
大体君、自由恋愛信奉者じゃなかったっけ?
「それよりも今は、御子が健やかに生まれる事をお考えになって?」
「考えてますわよ?」
口を尖らせるモニカが可愛い。相変わらず可愛いな、モニカ!
「私も祈っておきますわ」
アドルガッサーが加わった事で、カーライルは大忙しらしい。ハウミーニアの事もあり、3つの国が一つになった状態だから、まぁ、当然と言えば当然。
ステュアートとフローレスは晴れてカーライル王国の貴族となり、王室に勤務しているという。
宰相、つまりお義父様の下で働いているとの事だった。
上司になった魔王様とか、考えたくないなー。絶対ブラックだと思うんだよねー。
「そうですわ、ミチル。帝都に行かれると言うのは本当ですの?」
「その予定でおります」
「大丈夫なのですか?」
「お義父様もご一緒しますから」
モニカが何とも言えない顔になった。
王太子妃になって、接する機会も増えただろうから、思う所があるのかもシレナイ。
「それならダイジョーブそうですわね」
なんか今、片言にならなかった?
「婚姻は諦めますけれど、お互いの子供が良き友人になる事を祈っておりますわ」
「そうですわね」
「その為にもっ!」
ガシッと両手を掴まれた。顔が目の前に近付く。
ちょっとモニカ、近い近い。色々近い。
それにしても、モニカってば相変わらず美少女。美少女から美女になろうとしていると言うか。
きっと二人の子も可愛いかろう、うん。
「早くミチルも子を!」
絶対にそこに持っていくんだね…。
いつ会ってもぐいぐい来るね、モニカは……。
屋敷に戻った私を、ルシアンが笑顔で迎える。
ルシアンは基本、私に笑顔ですが、この笑顔はちょっと違和感。
「……何か良い事でもお有りだったのですか?」
そこはかとなく嫌な予感がするけど、気の所為だと思いたい。
「ミチルが帰って来て嬉しいなぁと」
「……そうですか……?」
「疲れているでしょうし、湯浴みでもしましょうか」
「?!」
ソッ、ソレはこの前シマシタよね?!
首を横に振るものの、軽々と抱きかかえられてしまった。
アウローラと銀さんがいたので、助けを求めようとしたら、二人とも頷いていた。
「殿下のお子なれば可愛いに違いない」
「間違いありませんね」
ちょっ?!
色々すっ飛ばし過ぎじゃアリマセンか?!
二人は「いってらっしゃいませ」と同時に言ってお辞儀をした。
ぅわぁ…一糸乱れぬ動きでしたよー…。
ルシアンに抱きかかえられたまま、浴室に向かう。
「宮と違って、ここの浴室は大きくありませんよ?!」
「だから良いのでは?」
良くない!ぜんっぜん良くないから!
「ルシアンッ」
ピタッと、その場で立ち止まるルシアン。
「そんなに嫌ですか?」
うっ?!
またそんな子犬顔して!
でも駄目!心を鬼にして…って何でよ?!私悪くないぞ?!
「嫌ですっ」
「仕方ありませんね。無理をしてミチルに嫌われたくありませんし」
方向転換して、いつもの部屋へ。
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。
何故か寝室へ?!
何で?!
「何故寝室なのですか?!」
「疲れてらっしゃるようでしたから、湯浴みをと言ったらそれは嫌だとミチルが言うので。
疲労回復には睡眠が一番ですよ?」
……寝かせてくれるならね……?
ベッドに座らされる。その場に跪いたルシアンに、靴を脱がされていく。
下から私を見上げるルシアンと目が合う。
ぅああああっ!イケメーーン!!
「顔が赤い」
「気の所為デス」
ルシアンは私の足の裏を手に乗せ、タイツ越しに口付けた。
「?!」
何かしらコレ?!いけない扉を開きそう?!
「ルシアン」
アレッ、なんかルシアンの足へのキスが、段々と上がって来てる気がする?!
「な、何を…」
「服を着たままでは寝れないでしょう?」
ドレスのスカートを手で押さえる。
「自分で脱げますっ」
「そう?」
「そうです!」
「じゃあ、脱がせて?」
何で?!
私の前に膝立ちをするルシアン。
「ルシアンはどうしてそう、破廉恥なのですかっ」
ふふっ、とルシアンは笑った。
「その言葉、久々に聞きました」
そうでしょうとも!
久々に言いましたからね!
「もっと普通に」
「普通に?」
膝立ちをしたルシアンは、私よりも目線が少し下で。
「普通の…フーフの…」
「普通の夫婦の?」
ルシアンの手が私の頰を掴み、キスをする。
「ルシアンは私をドキドキさせ過ぎです」
いつかショック死する気がしてならないヨ…。
ルシアンの口角が上がったと思った瞬間、ベッドに押し倒された。
「!」
「ミチルが可愛すぎるのがいけない」
ふぁっ?!
「未だにそうやって初心な反応を見せて。そうかと思えば凄く大胆になって」
ば…バーサク……。
「貴女の方がよっぽど私を翻弄してるのに、それを言うの?」
翻弄?!そんな高等テクニックを私が持ってる訳ないでしょーに?!
キスが降ってくる。
その甘さに、脳が溶けてしまいそうだ。
「ルシアンが破廉恥過ぎる」
耳元でふふ、とルシアンが笑う。うわっ、ぞくっとするから、それ!
「ねぇ、ミチル。本当に気が付いてないの?」
何を?
「私が、独占欲を剥き出しにしている事に」
それは知ってるけど、今の状況とどう繋がって?
「貴女が人の目に触れたのだと思うと、許せない。ミチルを目にして良いのも、ミチルが目にするのも私だけにしたいのに」
ぬぁっ!ヤンデレ来た!
「本当に、耐え難い」
首にルシアンの唇が触れ、キスマークが付けられる。
繰り返し、いくつも。
あぁ、言われてみれば、ルシアンが夜を待たずに押し倒す時って、私が外の世界と接触した時かも。
「ミチル」
耳元で名前を囁かれて、背筋がゾクゾクする。
「私のミチル。私だけのものだ」
脳が!脳がダイレクトに攻撃を受けている!
これはヤバイ!
緊急事態!!
「言って」
何を?!
もう、本当、言葉攻め勘弁して下さいっ!
泣きそうっ!
「私だけのものだと」
顔のあちこちに降るキスと、耳への攻撃とで脳が溶けそうである。もう溶けかけてるかも。
しかもこの、目から漏れすぎな色気。目が離せない。魔力か?あれか?魅了的な?
言ってしまいたい。ルシアンのものだと。
言えばきっと、この上ない笑顔を見せて、私をドロドロに甘やかしてくる。
ささやかな抵抗をして言わずにいたら、ルシアンが笑った。
「言わないんだ?」
ぞくっとした。
噛み付くようなキスから、深いキスに変わり、息が出来なくなる。
「自覚させないとね。私のモノなんだって」
コレは、明らかに私の選択ミス!
言った場合がご褒美コースなら、言わなかった今は、お仕置きコース…!
ルシアンは突然スイッチが入って、しかもそれが切り替わるのだ!
さっき絶対、鬼畜スイッチ入った!
「る、ルシアン、ごめんなさい。私はルシアンのモノですっ!」
ふふ、とルシアンは笑うと、啄むようなキスをしてきた。
「何を謝るの?」
「直ぐに、言わなかったから」
「そうじゃないでしょう?」
そう言って目を細める。
「答えを躊躇うという選択肢がある事がそもそも、私のものになりきってないって事でしょう?」
?!
違うよ?!
ルシアンのものだって自覚あるよ?!本当だよ?!
「そんな事…っ!」
指で唇を塞がれた。
「黙って。言い訳は後で聞くから」
ヤンデレは奥が深いね……?
ルシアンがベッドまで運んで来てくれたレモン水を飲んでいると、私の隣に座り、腰を抱きしめて顳顬にキスをしてくる。
驚いた事に甘々が続いてるがな…!?
「何を考えていたの?」
コップから口を離すと、すかさずコップを手から奪われる。まだ入ってるのにー。
空いた手にルシアンは恋人繋ぎをしてくる。
甘さアップ!
「ルシアンの事…です」
嘘じゃないよ。
ヤンデレはスゴイなー(棒読み)って思ってた。
ホントダヨー。
満足そうに微笑むと、ルシアンはキスをしてくる。
なんか今日、甘過ぎないか?!
何でだ?!ルシアンに一体どういう心境の変化が?!
「なんだか…ルシアンが…甘い、です…」
嫌じゃないよ?嫌じゃなくて、嬉しいんだけど、何て言うか、ルシアンの事だから裏があるんじゃないかと…。
「皇都から戻って、ミチルを怒らせて、ようやく許されたと思ったらミチルが寝込んでしまって。私がどれだけミチルに焦がれていたか…」
キュンキュンきましたー!
居酒屋的にはキュン入りましたですよ!
ちょっとちょっと、ルシアンてば…!
幸せ噛み締めてしまう。
嬉しいので、自分からルシアンの胸に抱き付く。
「ルシアン」
我ながらこんな声が出せるとは…!と、己を褒め称えたくなるような甘い声で名を呼ぶと、うっとりした顔のルシアンが私のまぶたにキスを落とす。
突然ドアの方から、コホン、と言う咳払いが聞こえて、慌ててルシアンから離れて布団を頭から被った。
「お寛ぎの所大変申し訳御座いません」
なっ、なななななななななーっ?!
寝室にルシアンと二人でいる時に入って来られたのは初めてで、動揺する。
「ロイエ、お前に早死に願望があるとは知らなかった」
隣のルシアンから冷気が出てます!業務用冷凍庫ばりの冷気が!
ってロイエ!一体いつから!何処から見てた?!
「そのような願望は御座いません。お邪魔するよりむしろ推奨したい側です。誤解なきよう申し上げますと、全く見ておりません」
推奨とな?!
「ミチルが愛を囁いてくれそうだったのを邪魔したのだから、さぞかし緊急なのだろうな?」
るるる、ルシアン、何言っちゃってんの?!
いや、確かに大好きって言いそうでしたけどね?!
「ギウスに動きがありました」




