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転生を希望します!  作者: 黛ちまた
イリダ編

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009.家系図下さい

大分複雑になってきたので家系図を作成してみたのですが、恐ろしい事になっていました。

家系図アプリ、便利ですね。

珍しく、明け方に目が覚めた。

ルシアンは隣にいなかった。ここでも仕事してんのかな…あのワーカーホリックは…。


そっとベッドから出る。

夜着のままでいられないから、上からガウンを羽織り、更に厚手のブランケットを肩にかけ、髪を緩い三つ編みにして部屋を出た。

この宮殿には今、アルト家の人間しかいない。だからこんな風に一人で朝方に部屋を出られた訳なのだ。

屋上に向かう。


風が吹くと少し寒い。

まだ薄暗い。でも、東側に目を向けると、日が昇り始めているのか、金色の光があふれ始めていた。


ベンチに体育座りして、ゆっくりと日が昇って、星が西側に沈んでいく様を見つめる。

別にここに来た意味なんてないんだけどね。なんか少し、考え事がしたかったって言うか。


ルシアンに、強制的にアレクシア様の事について考えさせられてしまったけど、あんな事でもなければ逃げまくって答えを出さなかっただろうと思う。

我ながら残念すぎる思考回路である。


マイナスな考えが浮かんだ時は振り払ってはいたけど、あれも私の感情なんだよね。


「目が覚めてしまったんですか?」


振り返ると、ルシアンが立っていた。手には何か色々持ってる。

私の横に座ると持って来た毛布で包んだ。あったかい。毛布は偉大だ。

体育座りを止めて普通に座る。


「お仕事をなさっていたのですか?」


「少しだけ」


この人、私の所為でラルナダルト家を継ぐ事になったんだよね。更に忙しさ増すよね。


「…ルシアンは、ラルナダルト家の再建もする事になってしまったのですものね」


「ミチル、昨日の話をまだ覚えてますか?」


昨日の話?

色々話したけど、どの話をしてるんだろう?


ルシアンはバスケットからポットとカップを取り出すと、カップに紅茶を注いだ。

真っ白い湯気がゆらゆらと立ち上っていく。見てるだけで温かい気持ちになるんだから、湯気って不思議だ。


「ルシアンが淹れてくれたのですか?」


「いえ、アビスが」


アビスを起こしてしまったのかな…。申し訳ない…。


「さぁ、どうぞ。温まりますよ」


「ありがとう、ルシアン」


カップを毛布越しに持つ。

伝わる温かさに癒される。


「昨日の話は、陛下の事です」


あぁ、うん。


「もしミチルが、私が陛下に報復する事を許して下さったなら、今後の方向性が大きく変わりますから、確認しておきたかったのです」


報復…さすがアルト家は言葉のチョイスが物騒デス…。

そう言えば、"仇なす者は許してはならない"がアルト家の家訓だったような…。

ルシアンもそうあるように教育されてるって言ってた。

だから、当たり前の事なんだろうな…ハハ…。


「ですが、ミチルは現時点で求めていないと言う事でしたから、私の行動もそれに合わせて変わります」


なんだろ、ラルナダルト家としてうんぬんとかだろうか?


「公家全てが、陛下に忠誠を誓っていると思いますか?」


よっぽど私が分かっていない顔をしていたのだろう。

逆に質問をされた。


「……それは、表向きはそうだと思いますが」


公家同士の仲もあるだろうし。

当然の如くアレクシア様はバフェット家とクレッシェン家からの影響が大きい。

七公家が集まっての会議で、バフェット家はオットー家と仲良くなさそうだった。

そもそも前女帝とバフェット家が皇国をしっちゃかめっちゃかにした経緯もあるし、それを苦々しく思う公家がいても何ら不思議じゃないよね。


「バフェット家──というよりもリンデン殿下以外は、アレクシア様が女皇である必要はないんですよ」


「クレッシェン公は望んでいるのでは?」


それにバフェット公だってそうなのでは?

あ、彼は自分の息子に継がせたい?


「公は、彼女にその意志があるので手伝っているだけで、バフェット家とは犬猿の仲です。クレッシェン公は孫である彼女が幸せになるなら、女皇である必要はないと思っているんです」


あの二つの家はアレクシア様がいるから均衡を保ってるのか…。複雑だな…。


……この流れは少し危険だな、と、鈍感な私でも分かる。

昨日、皇位継承権とか、とんでもないワードが出てたからね。


「私は女皇になりたくありません」


無理!やだ!あり得ない!不可!却下!絶対ノー!!

一番縁遠いって言うか、適性皆無だと思うよ!!


「ミチルならそう言うと思っていました」


なら何で聞いたし…。


「一応、念の為です」


アァ、ハイ……。


「では、ミチル、貴女がラルナダルト家の血を引く事を皇国で公開します。既に皇族として認定されている為、以前のような式典などはありませんから、安心して下さい」


それ大事!超重要!


コクコクと頷いて紅茶を飲む。温かくて甘くて美味しいっス。ホッとします。

私の頰を、微笑みながら撫でるルシアン。


「アレクシア様には引き続き女皇を務めていただきましょう。ミチルは一度オットー家から籍を抜き、私と一緒にラルナダルト家に入ります」


あぁ、なるほど。

もしまかり間違って私が女皇になりたいとかのたまったら、ラルナダルト家は継げないし、でもラルナダルト家は再建しなくちゃだし、もしアレクシア様に報復したいとなった場合、その報復の度合いによっては誰かが皇位を継ぐ事になる、って事だったのか。

察しが悪くて申し訳ない…。


「公家の方々とは、色々話し合いました。

アドルガッサー王家の代わりの王家としてラルナダルト家がそこに収まるか、ラルナダルト家を皇国に戻すのか。

王家になるのはミチルが嫌がるでしょうし、私にとってもそれは望ましい事ではありませんでしたから、皇国に戻る方向で調整しました」


何だか色んな可能性を考えてくれてたみたいで、ドウモアリガトウゴザイマス。


「どちらに決まったとしても、私がラルナダルト家を継ぐ事は決定事項でした」


そのようですね……。


「あの…私の所為で、ルシアンにばかり、負担がいってませんか?」


負担いきまくりだよね?

そもそも最初から。

私が転生者だったから、その為にルシアンは家を継ぐ決意をして、挙句皇族になっちゃって。しかも名ばかり皇族かと思ったら本当に血を引いてて。ラルナダルト家を再建する事になるし。


ふ、と柔らかく微笑むと、私のこめかみにキスをする。


「努力で何とかなる事なら、何と言う事はないですよ。それが貴女の側にいる為なら尚更。

私が嫌なのは、貴女が私の手の届かない所に行く事。貴女を、私以外の誰かがどうこうしようという事です」


愛の言葉の筈なのに、ヤンデレが混じってますね…。

ブレないなこういう所、本当に…。


「陛下にだけ、父が罰を与えていない事に、ミチルも気付いているでしょう?」


頷く。

あれだけの人数がなにがしかの罰を与えられているのに、アレクシア様にはない。


「父らしい嫌らしさです。どう言った罰が一番その人にとって苦しむのかが考えられている」


あぁ、そうか。

アレクシア様には罰を与えない事が罰なんだ。

さすがに世継ぎの御子にはそんな事出来ない、って事かと思っていたよ。


「厳しい修道院で生まれ育った陛下にとって、多少の事は苦にならない。

誰もが罰を与えられているのに、自分には無い。罪を和らげてまで人との距離を詰めたいと思っていた彼女だけを特別扱いし、己の存在が他者と違う事を嫌でも思い知らせる。

傍目には世継ぎの御子のした事はそれが過ちであっても許されているように見えます。でもそれは、ずっと残る。

蜥蜴の尻尾切りのように、何かがあれば責任を問われるのは臣下であり、世継ぎの御子である彼女は無事なまま」


それそのものは、よくある事ではある。

王族はそう言うものだと言われてしまう所以だ。


でも、アレクシア様は孤独から抜け出して、周囲に愛されたいと思っている。特別な存在になりたそうには見えない。

修道院というのは基本的に孤独になるように出来ている。己の心に目を向けるように。より神に近付くように。

罪を犯した人やそれを望んだ人が修道院にいるのとは違う。彼女はそこで生まれたから、そこにいたのであって、彼女の望みでも罪の結果でも無い。


ようやく血の繋がりを得て、自分が一人ではないという立場を得られたのに、そこにいる為には特別でいなければならない。でも特別である限り孤独が常に付き纏う。

私の事で貴族達に罰を与えるのは必要だと言う事は分かっている。でもそうすると怖がられるのではないか。かと言って罰を与えないのは侮られるのではないか。

妻のおねだりに正常な判断が出来なくなっていたキース先生の言葉に、アレクシア様は簡単にのっかってしまっただろう。その方が楽だったのだ、きっと。キースが言うんだから大丈夫よね、と思ってしまったのではないだろうか。


七公家はアレクシア様をそれぞれ判断しただろう。

少なくともプラスには働いていない気がする。


「今、皇位継承権を持っているのは、どなたなのですか?」


「バフェット公の次男、リンデン殿下、ゼファス様が上位に入ります」


「ゼファス様が入るのに、シミオン様は入らないのですか?」


「お二人は母が違います。オットー家第一夫人の子はゼファス様だけであり、第二夫人との間にエザスナ様とシミオン様がいます。

ゼファス様は祖母が直系皇族ですが、シミオン様とエザスナ様は曽祖母が直系皇族なんです」


複雑!!

一代変わるだけで大きな違いだね…。

…なるほど、シミオン様と私は同じ立場なのか。

んー、でも、アレクシア様を押しのける程血が濃いとも思えないんだけど、私もシミオン様も。


「ミチルの曽祖母に当たる皇女と、ゼファス様の祖母に当たる皇女は正妃の子であり、クーデンホーフ家の令嬢です。アレクシア様の高祖母は他国から入った側妃。

男子が血統を継いだ訳ですが、血統の内容を重視する公家からすると、あまり望ましくないのでしょうね」


えーと…スミマセン、もう訳が分からなくなってきました、図解して欲しい。家系図プリーズ。

頭が豆腐みたいになってきたー!


つまり、私やゼファス様の方が、血が濃い認定?血が尊い?認定されてるって事ですかね?

っていうか、ダントツでゼファス様が高貴なお血筋なんじゃないの?何であの人、教皇やってんの?!


「血を守るのは大切な事ですが、そこまでして血の濃さを守るのは何故なのでしょう?」


「普通の王家であれば、そこまで固執する必要はないのでしょうが、ディンブーラ皇室には正当な理由があります」


血の濃さを維持する理由かぁ…。


「少なくとも、絶対にオーリーの民である平民の血を入れてはいけないのです」


シンシア皇女とその弟の皇子は、それが理由で皇位継承権を剥奪されてるんだもんね。


「ルシアンはその理由が何なのか、ご存知なのですか?」


皇宮図書館で読んだのだろうか?そうならお義父様も知ってるって事になるよね?


「えぇ、知っています」


「それって…」


「まだ秘密かな」


声のした方を見ると魔王様オトーサマが立っていた。


「お義父様?!」


何故ここに?!


ふふふ、といつものように余裕たっぷりの微笑みを浮かべるお義父様。


「二人とも早起きだね」


そう言ってお義父様もベンチに腰掛けた。


「今、教えてあげても良いんだけどね」


じゃあ教えて下さいよ……勿体つけないで……。


ベネフィスまでいて、手慣れた様子で紅茶をカップに注いでいく。


もうちょっとでルシアンから教えてもらえそうだったのに。良い所で邪魔しに来て。魔王め。


「ねぇ、ミチル。旅に行かないかい?」


は?!旅?!何故に?!


お義父様はにっこり微笑んだ。

何と言う胡散臭さ!

何か企んでる!絶対何か裏があるに違いない!


「帝国の皇帝に会ってみたいと思わないかい?」


皇帝!?


「行きたいです!」


予想もしなかった私の返答に、ルシアンが慌てる。


「ミチル?本気ですか?

何故皇帝に会いたいんですか?用などないでしょう?」


「ありますよ?」


大事な用が!超!重要な用事ですよ!


「何ですか?用と言うのは?」


「秘密です」


ぷいっとルシアンに顔を背ける。


「教えて?」


背けた方に覗きこんでくる。


「駄目です」


「お願い、ミチル」


今度は反対側に顔を背ける。


「ルシアンは隠し事ばかりしていたのですから、私も秘密です。少し私の気持ちを知ると良いですわ」


「…それは…ミチルが帝都に行っている間、何処かで待っていろという事ですか…?」


いや、ついてきていいけど。ねぇ、ちょっと、顔色悪くなりかけてない?


「一緒に来ていただいて構いませんわ」


あからさまにホッとした顔をするルシアン。


「楽しい家族旅行になりそうだね」


ふふふ、と楽しそうに笑って、紅茶を口にするお義父様に、色々とはぐらかされた気もしたが、旅の途中でルシアンなりお義父様から聞き出そう、と決意した。


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