表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生を希望します!  作者: 黛ちまた
皇都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

218/360

影との密約

セラフィナ・サーシス視点です。


ストーリーの舞台が雷帝国に移る為、毎話視点が変わります。

よろしくお願いします。


相当の手練れであったろうに、リオン様の影に組み伏せられた皇帝の影は、自決する事も許されず、四肢を押さえられ、猿轡を噛まされていた。

さすがに5対1では、敵わない。


見下ろすように立ち、ベネフィス様は影に話しかけた。


「私はカーライル王国宰相を務めるリオン・アルト様の執事、ベネフィス・ルフト。

皇帝の影をまとめているチエーニ殿で間違いないか?」


影の目に一瞬動揺が走るものの、直ぐに感情は消す。

影が己の名を知られるのは、本来あってはならない。

だから、この対応は正しい。呼びかけた名も正しい。揺さぶりをかける為だけに呼びかけただけなのだ。

相手の平常心に最初にヒビを入れておく。


「貴公の主人、皇帝陛下について、話がしたい」


猿轡を外す直前に、ベネフィス様は言った。


「死にたくば死ね。私自身は皇帝の影など皆殺しで良い。主人が難色を示すので仕方なく貴公を拉致しているだけに過ぎない」


そう言って猿轡を外す。

影は自決するかどうかを悩んでいるようだ。


「だが、貴公の協力次第で、皇帝は大切な物を失わずに済む」


チエーニは従来の影とは違い、皇帝とは主人と影以上の関係を構築しているとの噂だ。そんなチエーニだからこそ、こうして話を持ちかけるのだ。

ただの影であれば持ち帰り、判断を皇帝に任せてしまう。そして本来であればそれが正しい。


「……内容如何による」


結構、とベネフィス様は答えた。


「未だに皇帝は自身とレーフ殿下を狙う存在を掴み切れていないらしいな」


ベネフィス様の言葉にチエーニは僅かに眉間に皺を寄せた。その通りだからだ。


「今後その探索は不要だ。我が主人がその存在を突き止めた」


「……っ!」


チエーニはベネフィス様の顔を見上げる。


「自国内の事は自国内で完結してくれ。レーフ殿下に似ているからと嫡子のルシアン様のお命が狙われるなど、許し難い。

本来であれば、兄弟揃ってこの世から退場してもらう所だが、当家の姫がそれを望まない」


当家の姫──ミチルちゃんの事だわ。

ベネフィス様自体はミチルちゃんになんら思う所はないけど、ベネフィス様が第一にと考えているリオン様がミチルちゃんをとても大切に扱っているから、それに倣って大切にしている。


ミチルちゃんは今回の事に関して、表面的な対応を望まなかった。それは、リオン様に送られた手紙にも記載されていたらしい。

ミチルちゃんなりに色々考えたようで、その結論が、殿下を殺せなくするだけでは何も解決しない。皇帝兄弟を狙っている黒幕がいるのは分かるが、叔父親子はあからさまに怪し過ぎてむしろ怪しくない。ただ、自分の知ってる情報から、自分では分からない何かがあるかも知れない、だから役に立つかは不明だけど、知った情報を全て書いて送ります(要約)、と書かれていた。

その手紙を読んだ後、リオン様は何かに気付かれて、即座に影に調査を命じた。果たして結果はリオン様の予想通りであり、それにより黒幕の思惑が判明した。

ミチルちゃんからの手紙を読んだルシアン様も、リオン様と同じ結論に達したようだった。


新しく立てられた計画により、私達は分かれて行動している。

リオン様はスタンキナに会う為にレジスタンスへと向かい、既に掌握されて活動を始めているとの事。ロイエが付いていたけど、今はフィンに変わった。

私は修行中の身の為、ベネフィス様に付いている。

リオン様に連れて行って欲しいと嘆願した二条様は、お目付も兼ねてロイエと行動を共にする事になった。これがリオン様付きがロイエからフィンに変わった理由だ。

ルシアン様は皇弟に顔がそっくりな為、表立って行動出来ない。ゼファス様の勧めでマグダレナ教会に身を隠す事になった。

マグダレナ教会は各地の枢機卿の高齢化により、業務の遅延が問題になっていた。何故高齢の枢機卿が後進に立場を譲らないかと言えば、譲らなかったのではなく、譲れなかったのが正しい。

後続が育たない為、高齢にも関わらずその地位にいた。

それを根本から変えるには時間がかかる為、付け焼き刃ではあるものの、使える者を配置し、現状を維持する。

その為、枢機卿がいる教会に問答無用で補佐を送り込んだのだ。

マグダレナ教会は大陸中に教会が存在する。枢機卿がいる教会となると、ギウス国圏内は除かれる。

熱心なマグダレナ教信者の多い雷帝国にもいくつかカテドラルが存在し、枢機卿がいる。帝都のカテドラルもその一つだ。そこにルシアン様は入る。滅多にないとは言え、皇族も出入りするカテドラルの為、念には念をと言う事で、ルシアン様は髪の色を変えて潜入する。


「貴公に頼みたい事は一つだ。帝都における我らの行動を阻害してくれるな。皇帝に報告する事は構わん」


「それでは、陛下から直ぐに妨害するよう命が下る。意味がないのではないか?」


「直ぐに我らの事はどうでもよくなる」


意味が分からないのだろう。チエーニは眉間に皺を寄せている。


「主人の怒りを抑えてくれた姫に感謝すると良い」


そう言ってこちらの影に目配せし、チエーニの拘束を解いた。


ベネフィス様を先頭に、その場を去った。


チエーニが押さえ込んでくれるなら、ルシアン様が行動しやすくなる。もしチエーニが話を飲まないなら、ベネフィス様の命通り、皇帝の影を皆殺しにするだけだ。

ミチルちゃんの温情が伝わらないのであれば、もう良い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ