【閑話】素直になって甘々したい!
ストーリーに全く関係のない、ただ甘いだけの話です。
一つ前が殺伐としていたので、差し込んでみました。
砂とか砂糖とか吐くことなりますので、ご注意下さい!
つまり、アレです。
人が恋しいというか…。
セラがいなくなって、漠然と寂しい、と感じる事が増えた。依存してるのは自覚あったけど。
こんなにも。
エマやリュドミラに甘える訳にもいかないし。
アビスにしたらルシアンに殺されそうだし、そもそもそんな事思わないし。
オリヴィエにもちょっと違う。
じゃあ、ルシアンに甘えれば良いんじゃ?となる訳ですが、それが簡単に出来てたらミチルじゃないって言うか。
前に比べればね、色々出来るようになったんだけど。
だけど、素直に甘えられないの。どうしても出来なくって。
本当は、抱きついたり、撫でてもらったり、後ろから抱きしめられたりとか、したい!
だけど、実際にされるとテンパってしまって、緊張が高まってしまって、逃げたくなって、いざという時は抵抗するんですよ。
ただ、その抵抗も本気じゃないんだけど。
素直になりたい…。
そして甘えたい!
そんな事をスムーズに出来るようになる魔法のアイテムが欲しい!
ピコーン!
あった!あったよ!
*****
こっそりドアを開けて中を覗く。ノックはしてません。
覗き見してるのは、ルシアンの書斎です。
ルシアンが机に向かっているのが見えます。絶好調にイケメンですね!
部屋には他に、誰もいなさそう。よしよし。
「ミチル?」
顔を上げてこっちを見て聞いてきた。
すっごい気配を消して開けたのに、ルシアンは気付いてたらしい。凄いな?!
肝試しでも真っ暗な中、気配感じてたみたいだし。
さすがアサシンファミリー!
私のダダ漏れな気配とか、直ぐに見抜いたに違いない。
「そっちに行っても良いですか?」
良いですよ、と言ってルシアンは立ち上がった。
私は部屋の中に入り、ドアを閉め、カギをかけた。
ルシアンがおや?という顔になる。
カギは必須ですよ!
だって、私、甘えるんです!!
駆け寄って抱きつきたいのを我慢して、ルシアンに近付いて、抱きついた。ルシアンは直ぐに抱きしめてくれた。
「お酒を飲んだの?」
…そんなに飲んでないんだけど、分かるの?
嗅覚まで超人なのか?!
思わず口を抑える。
「臭いですか?」
「いえ、そんな事はないですよ」
そう言ってルシアンは私の手を掴んで口から離すと、自分の口元にもっていき、キスをした。
はぁ…温かい。体温が気持ち良い。
ルシアンの匂いがする。当たり前だけど。
もう、ずっとこうしていたい。それぐらい安心する。
「どうしたの?」
ここで、何の用事で来たのかとか、聞かないルシアンって、本当に優しいと思う。
明らかに私、邪魔しに来たのに。
「…邪魔しに来たのです」
「邪魔?」と聞き返してルシアンは笑うと、私をひょいとお姫様抱っこして、カウチに腰掛けた。
「どうぞ、好きなだけ邪魔して下さい。邪魔とは思ってませんが」
なんて優しいんだ!
仕事を邪魔しに来た妻を叱るでもなく、ウェルカムしてくれるなんて!
ルシアンのお膝の上で、ルシアンの両腕が私の腰に回されている。つまり抱きしめられてる。
これ、好き。この状態、凄い好き。
「ルシアン」
「なんですか?」
「大好き」
頰にキスをする。
ルシアンの私を見る目が、優しい眼差しから、うっとりした目に変わる。
「もう一度」
大好きの方?キスの方?
「ルシアン大好き」と言って、頰にキスをする。
私を抱きしめるルシアンの腕に力が入る。
「もしかして、わざと、お酒を飲んだの?」
バレた。
バレるの早い。
「飲みました」
ルシアンに甘えたくって。
「どうして?」
分かってる癖に聞いてるでしょ?
前もそうだったけど、ルシアンは、私が酔ってる時、ちょっと意地悪になる気がする。
「ルシアンに甘えるのに、景気づけに」
我ながら、そうしないと甘えられないのが情けない。
「甘えたいの?」
頷く。
ふふ、とルシアンは笑うと、私にキスしてきた。
唇が離れて、おでこや瞼や頰にもキスされる。
ルシアンは私の頰を撫でる。
その手を掴んで、自分の手と大きさを比べる。私の手よりも大きい。男性らしい手だ。
ぎゅっ、と恋人繋ぎする。
顔のあちこちに落ちてくるキスの嵐に、心が満たされていくのが分かる。
分かるって事は、不足してたって事ですよ!
ルシアン不足解消中。
肝試しの後、かなりいちゃいちゃしたにも関わらず、不足してたなんて、私ってばどんだけルシアン欠乏症になってたんだろう?
どんどんワガママになってる己に不安も感じる。
「凄い可愛い」
耳元で言われると、普通に言われるよりドキドキしてしまう。可愛いって言われるの、嬉しい。
好きって言われてるみたいで。
「いっぱいキスして欲しいです」
「今日のミチルは、かなり、積極的ですね」
苦笑してルシアンは私の頰を軽く噛む。
「理性が試されてる気がします」
ルシアンの首に腕を回す。
「ルシアンこそ、いつも私の理性を刺激するのに」
「そうでしたね。
いざこうしてミチルに触れられると、理性が焼き切れそうで、困る」
理性が焼き切れそうとか、結構凄い発言だね。
卑猥だ。ルシアンが卑猥だ。破廉恥だ。大好きだ。
「ルシアンの方が刺激的です」
ルシアンは笑って啄ばむようなキスをした。
「それなら、嬉しい」
「嬉しいのですか?」
「嬉しいですよ。ミチルに影響を与えてるって事でしょう?」
「ルシアンは、私の事」
「愛してますよ」
被せ気味に言うと、またキスをした。
「自分で自分を抑えきれないぐらい、ミチルの事を愛してます」
「んー…抑えきれないと、どうなるのですか?」
「こうなる」
大人のキスをされる。
唇が離れて、近距離のルシアンの目から半端じゃない色気が出てる。
「私の事以外、何も考えられないようにしたい」
きゅんとしたけど、それはちょっとどうかと思う。
それって、私の嫌いな恋愛脳だし。
「それは嫌です」
「嫌?」
「前世の私が死ぬきっかけは、恋愛ばかりに現を抜かしていた後輩が、人の旦那様に手を出したのが問題だったのです。ですから、恋愛ばかり考えてる人間にはなりたくないです」
ルシアンが笑った。
「私の言うのとちょっと意味合いが違うけど、ミチルの考えは分かりました」
あれ?そう言う意味じゃないの?
ふふ、とルシアンが笑う。
「ミチルが一筋縄でいかない事は分かってますから、大丈夫。それに、心も体も私の物に出来ているから、まだ抑えがききます」
わぁ…ヤンデレって、凄いな?
「心と身体以外に何があるんですか?」
「さっき言ったように、私以外の事を考えられないようにしたいし、貴女が触れるものも、見るものも、私だけにしたい。貴女を目にするのも私だけにしたい」
あー…だから監禁になるんだ。
凄い納得。
「その点、ミチルはあまり外に出る事をしないので、助かってます」
ひきこもりで助かったと言われるとは。
このイケメン、斬新だ。
「交友関係が広かったら、それも制限したくなったでしょうが、それについてもあまり積極的ではありませんし」
ぼっちまではいかないけど、確かに狭く深い交友関係ではある。それすら喜ばれるとは。
貴族の妻としてはかなりマイナスなのに。転生者だから社交を頑張らなくて良いと言われた時、内心小躍りしたし。
「ルシアンこそ、私以外に目を……向けちゃ嫌です。お仕事とかは良いのですよ?異性は、嫌です」
ルシアンがアルト家の人で良かった。
一夫多妻のこの世界において、一夫一妻を貫く家だもんね。
「もう一度言って」
何を?
「私以外に目を向けるなって、もう一度聞かせて」
「私以外の女性を、見ちゃ嫌ですよ?」
言った瞬間、噛み付くようなキスをされた。
「滅茶苦茶にしたい」
また唇が重なって、耳朶を噛まれた。
ゾクゾクする。
「ミチル、私を欲しいって言って」
「…ルシアンが欲しいです」
首をルシアンに噛まれる。チリッという痛み。
あ、キスマーク付けられてる。しかも、連続で。
キスマークが二つ並んでたら、吸血鬼に噛まれたみたいだよね。
吸血鬼ルシアン。
ハロウィンとかでコスプレするなら、ルシアンには絶対に吸血鬼だな。
あー、絶対カッコいい。間違いない。黒髪だし金の瞳だし。
「何か別の事を考えてる?」
私が別の事を考えてるのが、ちょっと許せないみたいで、ルシアンは私の頰を噛んだ。
「次の感謝祭で、皆で普段しないような格好をしたいと思ってるんです。ルシアンは吸血鬼です。絶対に似合います。イケメンしか似合わないのですよ、吸血鬼」
考えていた事が自分の事だったと分かって、機嫌は回復したみたいだった。
「私の事を考えてくれてるのは嬉しいけど、その余裕はなくしますね」
意地悪な笑みを浮かべて、ルシアンは私をカウチに押し倒した。
ごふっ。




