晩餐会
魔族領に向かうのは、ナーガ国ラウージャ王子、ムツキ国王シルバー王子、ネイロ国サフラン王子、それぞれの付き人、護衛に案内役としてネイロ国のヒューデントさんと影メイドの5人、総勢100人の少数で向かう事になっていた。
出発は一週間後、スモールデポから空中戦艦で向かう予定。
食事会はそのメンバーの顔合わせの場でもあった。
座る席も用意されていたが、ほとんどの者は立ったままグラス片手に話し込んでいた。
立食パーティーと言ったところか。
僕もそれに習い、ラウサージュと立ったままで話をしていると後ろから声をかけられた。
「翔!久しぶりだな」
「お兄様」
ラウサージュの方が反応が早かった。
「私はお邪魔かな」
「そんな事有りませんわ、お兄様」
「そうですよ、邪魔なんか有る訳ないじゃないですか」
「いや、二人を見ていると話し込んでいたから、かけづらくてな」
「もう、お兄様ったら兄弟だからそんな事、気にしなくてもいいのに」
「そうですよ、兄弟だから気兼ねしなくても良いんですよ」
「兄弟だからか…そうだな。
翔が兄弟になったから王族になってくれると、もっと話しやすくなるのかも知れないな」
「ラウージャ、僕は王族になるつもりはないよ。
国王争いに巻き込まれるのは、まっぴらゴメンだ。
気楽が一番。
次期国王はラウージャに任せるよ」
「もっと欲望を持っても良いと思うけどな」
「そうそう、私も翔様にもっと欲望を持って良いと思うわ」
そうは言ってもこんな性格だから、性格は直ぐには変えられないし、それに欲望というか、僕は自分のやりたい事はやってるつもりだけど、僕自身は今の生活に困ることは無いし納得してるんだけどな。
「失礼するよ」
そこへ現れたのはサフラン王子だった。
「翔殿の武勇は以前確認している。
翔殿が居れば、護衛に何の問題も無いだろう」
いや、僕では魔族達には太刀打ち出来ないだろう。
直ぐに否定したかったが、折角、魔族領へ同盟を結びに行くというのに、出鼻を挫きたくはなかった。
本当の事を言っても、ただ、『ご謙遜を』と言われて終わるような気はしたが、一週間はあるからその間に何か守る手立てを考えなければならなかった。





