謎の仲間 39
ゴリラの回し蹴り、隼人は蹴りには蹴りで応戦する。
『ボレーシュート』
隼人は、ちゃんと学習していた。
ゴリラの攻撃をまともに受けたら、自分が破壊されると言う事を。
なのでゴリラの攻撃の軌道を少し反らしてやるだけでいい。
次から次のに蹴りが飛んで来るが、最小限で攻撃し、腕と同様に足も疲弊するのを待っていた。
「タイガーショット」
「ドライブシュート」
「なんだい、その変な名前の蹴りは?」
いつの間にか、声に出して蹴りを出していたようで、アニメを見てサッカー部に入っただろうと言われそうで、ちょっと恥ずかしかった。
「うるせー、俺はサッカー部のエースとなる男だ。
こんな所で負ける訳にはいかないんだ!」
「そうかい、でも、あたいにも面子という物があるんだ」
「それじゃ、その面子を無くしてやろう」
ゴリラの蹴りが飛んできた時、渾身の一撃の蹴りをおみまいする。
「遥か彼方まで飛んでいけ!!」
『ボキッ』
「うっ!!!」
ゴリラは重く、遥か彼方までは飛んで行かなかったが、バランスを崩した所為か、少し宙に浮き倒れた。
ゴリラは蹴られた右足を両手で押さえ、かなり痛そうな表情をしていた。
音からして骨にヒビが入ったか、それとも折れたか。
ゴリラの右足は、みるみる内にむらさき色に、そして大きく腫れ上がっていた。
「ガハハハ、この勝負、俺様の勝ちだな」
隼人の足元で苦しがっているゴリラ、と言っても女性である。
それを見下している隼人は、なんだか悪者のように思えて来るのはなぜだろう。
「どうだ、負けを認めるか?、どうだ?どうだ?」
と言いながら隼人は、ゴリラの目の前まで近づいていく。
その姿にアマゾネスも仲間達も引いていた。
勝負はついているのだから、それで良いだろう。
やはり隼人は隼人だ。
そんな所が、皆から嫌われる原因となっているのに気付いていない。
「仕方ないね、これ以上は戦えないね」
「よし、俺の勝ち!ほれ」
そう言いながら隼人は小瓶をゴリラに渡した。
「なんだい?」
「回復薬に決まってるだろう。
飲みな」
「優しいね〜」
ゴリラは、回復薬を一気飲みする。
流石、異世界、回復薬を飲むと直ぐにその効果は現れ、紫色に肥大した足もその他のキズも薄くなり消えていってしまった。
傷も痛みも消えたゴリラは胡座をかいて座り、
「気にいったよ、隼人。
負けたからには仕方ない、あんたの嫁になるよ」
「はぁ〜?」
隼人は、一瞬、耳を疑った。
嫁?
なぜそんな話になったんだ?
「なんで、俺がお前を嫁に貰わなければならないんだ?」
「それはお前が勝ったからさ。
アマゾネスは強い子孫を残す為に、自分より強い者と結婚しないといけない決まりがあるんだ。
だから、あたいに勝ったお前となら」
「いや、こっちが遠慮します」
「もう決まった事だ。逃さないよ」
ゴリラは隼人を抱き締め、羽交い締めにした。
「離せ、俺は可愛い子が好きなんだ。
お前みたいなゴリラなんていらないんだ!」
「失礼な奴だね。
まあ、その内、諦めて夫婦になるのさ」
「いやだ、絶対に嫌だ、離せ〜〜〜!」
隼人の声は、こだまして消えていった。
そしてその話を聞いていた仲間達は、再びアマゾネス達に戦いを挑んだ。
それは勿論、勝負に勝ってアマゾネスを嫁にする為に。
「俺は、あの子」
「じゃあ、あの小さい子を狙うか?」
「あの子に決めた!」
「ゴリラが居ないから誰でも良いかな」
嫁争奪戦の火蓋は切られた。





