謎の仲間 2
船は砂海を順風満帆で進んでいた。
砂海と言っても普通の海と変わらず、砂の流れがあり、それによって船が流されたり、その流れや風によって大小の起伏が生まれ、それが波のように船を上下させる。
『ウップ』
「大丈夫か?海斗」
海斗は船酔いで青ざめていた。
気分が悪そうで今にも吐きそうだった。
「海斗、別にDルームで待っていていいんだぞ」
「ゴメン、そうする」
久しぶりの初期メンバーの男性達の冒険だから、海斗は断り切れなかったのだろうか?
船酔いすると分かっているならDルームで待っていれば良かったのにと思ってしまう。
僕はDルームの扉を船の上に作り、海斗をDルームに返した。
海斗がDルームに入ると同時、1人の女性がDルームから飛び出してきた。
「潤様~」
Dルームから飛び出してきたのは、葵だった。
勢いよく飛び出し、潤に抱き付き...というかタックルをして二人で砂海に落ちそうになっている。
「おっととととととと」
潤が船の淵で何とか踏ん張り、二人は砂海に落ちずにすんだ。
「潤様~寂しかったですわ」
葵は潤に抱きついたまま、二人とも船の中に倒れていた。
はいはい、お熱いようで...。
最初は葵を避けようとしていた潤だったが、今ではそうでもないらしく、二人で出かける事が多くなったらしい。
あまり仲間の事には興味のない僕は、そんな話題をよく沙羅や空が話するのを聞いていた。
どこからそんな情報が伝わるのか、お喋り好きな女性達が広めているのか分からなかったが、僕の悪口を言われていないか、ちょっと不安になってくる。
船は何事もなく進んでいた。
まあ、僕がマップ機能を確認し、モンスターの居ない場所を選んで進んでいるので、砂海をただ滑走しているだけ、帆の扱いもガーランドさんに教えてもらったけど、今はエアルが帆に当たる風の向きを変えてくれるので、帆を操作する必要はなかった。
「あ~~~~~、暇だ!」
「うるさい、隼人」
「だってよ...」
「暇ならお前もDルームに居れば良かったんじゃないのか?」
「おいおい、折角の冒険なんだぞ。
Dルームの中に居たって面白くないだろう。
男はロマンを求めて旅をしないと」
「はいはい」
僕達は隼人の話を話半分で聞いていた。
だって下手に関わると、面倒くさいからだ。
それに暇だと言っていたけど、それは僕がなるべくモンスターと接触しないようにしているからで、そんなに暇ならモンスターがいる場所を通ろうかとも考えていた。
そんな時、隼人が急に、
「おい皆、あそこに人が立っているぞ!」
「どこどこ?」
「何処だよ、わかんねぇよ」
隼人が指差して場所を教えるが全く分からない。
スキル遠影を使い確認すると、確かに人影らしき者が見える。
あんな遠くの者を見つけるなんて、隼人はどんな目をしているんだと言いたい所だが、隼人は
「あんな所に人が居るなんておかしい。
早く助けないと、人命救助だ」
と言って船を勝手に操作して人影の方に船を向けた。
おかしいと思うなら、まず疑うべきなのではと思う。
砂海に10秒も同じ場所に立っていれば沈んで行く。
そもそもこんな誰も居ない砂海の沖合いに人がいる方がおかしい。
幽霊なのか?精霊なのか?
まずは確認したい所だが、思った事は考えずにやる直球男だから、隼人はそんな事に耳を傾ける事はないだろう。
船は人影の方に進路を変え進んでいた。





