護衛4日目ー4
「翔兄さん、紅茶は如何ですか?」
「頂きます」
サフラン王子は、近くにいたメイドに目配りするとメイドは部屋の外へと出ていってしまった。
「さあ、翔兄さん、飲み物が来る間、少しお話しましょうか?」
「そうですね、サフラン王子」
「翔兄さん、私の事はサフランと呼び捨てもらって良いですよ」
「いや、流石に王家の人間を呼び捨てなんて」
「何言っているんですか。
翔兄さんもミネルバ姉さんと結婚したら王家の人間になるのですから」
「確かにそうだけど...」
僕は王家の人間になるのか?
そうなると僕にも王位継承権が発生するのではないか?
王位継承権をめぐって争うなんて僕はごめん被りたい。
暗殺とか常に周りに気を配り、ビクビクしながら過ごさないといけない。
そんな生活は絶対嫌だ。
「それじゃ、僕はサフランと呼び捨てにさせてもらうよ。
でも、僕は王家の人間にはならないからね」
「翔兄さんは欲が無いんだね。」
「欲と言うか、ただ面倒くさいのは嫌なだけだから」
「結婚式も面倒くさいと思ってる?」
「それは...」
「翔兄さん、これでも私は人を見る目を持っていますよ。
王家の中では、誰が味方で誰が敵なのか?
裏切ったり裏切られたり、信じられるのは自分自身のみ、そういった環境で育った所為なのか、相手がどう思っているのか、ある程度は分かるんですよ」
「別に結婚式が嫌ではないんだ。
ただ異世界に残るか、それとも元の世界に帰るのか...、それで悩んでいるんだ」
僕は正直な所をサフラン王子に話した。
サフラン王子はどう思うだろうか?
「ん~、成る程。
翔兄さんは、結婚してしまったら、妻達をどうするのか、悩んでいるという事ですね?
元の世界に帰れる見込みはあるのですか?」
「今のところ、どうすれば帰れるのか、全く分からない」
「まあ、もし翔兄さんが元の世界に帰るとしたら、ミネルバ姉さんは付いていくと思いますよ」
「でも向こうの世界に行ったら、僕達みたいに帰れなくなるかもしれないんだよ」
「それでも、好きな人とはずっと一緒にいたいと思いますけど、翔兄さんはどう思いますか?」
そう言われると、確かに今まで女性達から好意を持たれているが、実際、僕はどうだろうか?
女性達とは離れたくないし、他の男性に取られるなんて考えたくもない。
それが恋なのか...、今の僕には分からなかった。
「もう少し時間をくれないか?
せめて東の大陸に渡り、帰る方法が有るのか確かめたい」
「分かりました。
国王の父には、僕から言っておきます。
婚約者達には翔兄さんからお伝えください。
多分、かなり喜んでいたので私からはちょっと...」
ハッと思い出した。
あの時の女性達の喜びようが、鮮明に脳裏に浮かび上がった。
国王様に伝えるよりハードルが高いように思える。
だけど...。
悲しませたくはないけど、僕は女性達にちょっとだけ時間を貰えるように説得するしかない。
僕の話がある程度終わったのを見計らったかのように、メイドが紅茶とお菓子を持ってきた。





