護衛3日目ー26
「何故、兄さんなんですか?」
「それは、ミネルバ姉さんの旦那様なら私の兄さんという事でしょう」
まだ結婚はしてないけど、ミネルバとは婚約者の関係。
もう結婚は秒読み段階だから、確かに旦那様だな。
しかし、次期国王様から兄さんはないだろうと思う。
だって爵位はもらっていると言っても、国王と比べると月とスッポン、国王と言ったら雲の上の存在だ。
そんな人から兄さんだなんて、悪い気分ではないけど、あまりにも失礼でこちらが恐縮してしまう。
「まだ婚約者なので、兄さんというは早いかと...」
「そんな事ないですよ。
婚約者という事は、将来、結婚すると約束の元、交わされる約束なので、殆んどの場合取り消し等出来ません。
特にそれが王家の者だとしたら尚更」
「もし破棄した場合は、どうなるのですか?」
「王家の者が婚約破棄等した事がないので...、それを隠すために一生地下牢暮らしか、死罪になるでしょうね」
死罪とか、ごめん被りたい。
そうなったらまず僕はなりふり構わず逃げ出すだろう。
今は婚約破棄等する予定はないのだけど、逆に相手から破棄を言われた場合はどうなるのだろうか?
やはり王家の体裁を守って僕は同じ処罰になるのだろうか?
怖くて聞けなかった。
「兎に角、兄さんは止めて欲しい」
「う~ん、それなら公の場所じゃなく、家族だけの時は良いでしょう?」
何を言っても兄さんと呼びたいらしい。
公の場所じゃなかったら、周りから冷たい視線を受ける心配はなさそうだから、仕方なく了承した。
それからヒューデントさんと軽く挨拶を交わす。
どうしてここに居るのか聞きたかったけど、直ぐにデンシンさんに挨拶に行った為、聞くことが出来なかった。
それぞれに挨拶を済ませ、デンシンさんはサフラン王子達を連れ、宿へと向かった。
「それじゃ、翔兄さん、後で。
あっ、晩餐会の時はミネルバ姉さんも連れて来てよ」
「分かりました」
「私には、そんなに畏まらなくてもいいですよ」
さっき、家族だけの時とか言っていなかったか?
既に約束は守られていなかった。
「翔、後でな」
「はい」
ガクシン将軍と挨拶を交わし、サフラン王子達と兵士達は部屋を出ていく。
兵士の半分は空中戦艦に戻って行くが、当直だろうか?
何かあれば、直ぐに動けなければ意味がない。
空中戦艦に残った者は、宿でゆっくり出来なくて残念だが、近くの兵士に聞くとどうやら交代制になっているようで、要らぬ心配だったようだ。
僕は全員を見送った後、部屋を出て街の外れの森に向かった。
勿論、こっそりDルームに戻り、ミネルバと話をする為だ。





