護衛3日目ー7
「確認してみるか...、翔くん、ちょっと付いて来てくれ」
ギルド長のデンシンさんは、そう言うと先に部屋を出ていってしまった。
付いていかないといけないのか?
ポーラさんの方を見ると申し訳なさそうに軽く頭を下げた。
言わなくても分かる。
悪いけど付いていって、そういう風に言っているのだろう。
『はぁ~』
とっとと話を終わらせて帰るつもりだったのだが、やはりギルド長は話が長い。
『用事があるのでまた今度』
と言って去る訳にもいかず、渋々、ギルド長の後を追う。
しかし部屋を出た時には、既にギルド長の姿はなく、何処へ行ったのか分からない。
マップ画面で確認すれば分かる事だが、そんな事、いちいちする訳ない。
ギルド長を見失った事にして、仕方なく帰れば良いだけの事。
そのまま帰ろうかとした時、ポーラが、
「こちらです」
と、わざわざ案内してくれた。
折角、しれっと帰るかと思ったのに、そうは問屋が卸さない。
諦めて付いて行くしかなかった。
ポーラが案内してくれたのは、同じ階にある6畳1間の何も無い部屋、窓もなければ飾りもない。
周りは白色で統一されて、見えるのは入ってきた扉のみ。
この部屋は一体なんだろうか?
「来たな」
「この部屋は一体?」
「直ぐに分かるさ」
そう言うと
『ガコン』
何かが外れた音がした。
次の瞬間、壁と天井の隙間から光が差し込んできた。
壁が開いたのかと思ったが、違うという事に気付くまで時間はかからなかった。
隙間が大きくなるにつれて、外の景色が見えてくる。
明らかにこの部屋が上昇している。
天井と床、扉は変わらないようだが、壁はどうやら透明なガラスで周りを覆われているようだ。
外の景色が見える分、少しずつ加速しながら上昇しているのが分かる。
これはどういう仕組みなのだろうか?
ダンジョン管理者の特権なんだろうか?
僕は小さくなっていく街の風景を、ただ呆然と見つめていた。





