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62 リベッタ

授業が終わり休憩時間に入る

僕達は、カンダスが話があるというので人気の少ない屋上へと一緒に向かった


「で、話とは何だ」


ラウドが火蓋をきった。


「実は…、すいません。

部屋に蜘蛛くも入れたり、誘拐させようとしたのは僕なんです」


「何故、そんな事した」


「…、ねたみです、いつも女の子にチヤホヤされてうらやましかった」


そこで沙羅が割り込む


「ん~、それは~、おかしいですね~

ラウドさんは、身の危険を感じて護衛を雇ったはずですよね~

それなのに、カンダスくんの話は護衛のあとの話ですね~、ちょっと食い違ってませんか~」


ホームズらしく推理しているのはいいんだけど、言い方が古畑になってるのはどういう事ですか?


「確かにそうだな、カンダスくんは護衛をする前から、嫌がらせをしたことあるか?」


「それは…」


カンダスは声を詰まらせた。

ここは一気に問い詰めるべきか、僕は確信をついてみた。


「べレストに聞いて見るか?」


「!、そ、それはやめてください、お願いします」


「それは援助金がなくなるからか?」


「ど、どうしてそれを…」


「もう、調べはついてるんだ」


「カンダス、本当にそれだけのことで僕を裏切ったのか」


「それだけ?家門がつぶれてしまうんですよ、家が潰れたらどこ行けばいいんですか?

ラウド様、貴方にわかりますか」


「バカじゃないの、家が無くてもお金が無くても生きている人、沢山いるじゃない。

このスラム街の人だって、頑張って生きている。

この国の王家の人だって貧富の差をどうにかしようと考えているだ」


「庶民には分からないさ、領主の事なんて。僕の家だって裕福な間は、領地をどうにかして豊かにしようとしていたさ。

だけど、上手くいかず逆にそれが借金となってのし掛かってきた。

その時、僕の父の親友でべレスト様の父は援助金の申し出をしてくれたんだ。

援助金がないと僕の家はなくなってしまうんだ」


「それは違うだろう。親友同士ならお互い裏切る事はしないだろう。だいたい子供のケンカに大人が出てくると思うか。

違うだろ、考えればわかるだろう」


「それじゃ、僕は…」


「べレストに踊らされていただけさ」


「!」


「すまないが裏切りは許さない、護衛は解雇だ」


カンダスは、その場で泣き崩れた。

厳しいような気もするが、もしこれがいたずら目的だとしても、ラウドに危害を加えていると考えれば仕方ないか、ラウドがラウサージュ王女だと知ったら御家を潰されないだけ、まだましかもしれない。

不意に何かが引っかかる。


「カンダス、キミ達は呪いの魔法を使ったか?」


「いえ、僕もべレストも呪い魔法覚えてないので」


「翔くん、どうして呪い魔法」


「実は、呪いの魔法が何回か飛んできているんだ。

精霊達が防いでくれているけど」


「何故、それを早く言わない。

学園内で呪いの魔法が使えるのは、余程よほど優秀な生徒か、先生達の誰かになる」


「ん~、まだまだ事件は解決されてないようですね~」


沙羅の探偵ごっこはいつまで続くのだろうか。

僕は、それぞれ教師をメインに見張るように精霊達に指示した。


「べレストはどうするんだ」


「そうだな、アイツにもお灸を据えないと気がすまないな」


それから一周間、動きがないまま時は過ぎていった。

べレストはというと、王家直々《おうけじきじき》に悪巧みが暴露され、親から一周間の謹慎処分が言い渡された。

最初は、勘当かんどうすることになったが、カンダス家に謝りに行った際、そこまでしなくてもと両家が今まで通りにすると和解が成立して謹慎で済んだ


今日は、休講日で朝からのんびりしていた。


「マスター、兵士が動き出しました」


「兵士?…、ああ忘れてた」


そうだ、都市に行く途中で山賊に襲われ、リーダー格の男を刺した奴ね

命令違反で牢屋に入っていたはずだけど、謹慎処分が解けて牢屋から出されたようだ。

牢屋から出されて何処へ行くのかな。


スキル、遠映とうえい


精霊の力を使って遠くを映し出すからそのように名づけた。


『兵士の奴、急いでどこ行くんだろう』


辺りをキョロキョロ、後ろを振り返り、誰も付いて来ていないか確認しながら進んでいた。

あからさまに不審者だ。

これは絶対何かあると思い、兵士をつけ回して画面で見ていた。

これなら、まず付けているとばれないから安心して見ていられる。

すると裏路地うらろじにある一件のお店に入る。

兵士は、中をキョロキョロと見回していたが、奥のテーブルに着き、椅子に腰掛けて話始める


「護衛があんなに強いなんて聞いてないぞ」


テーブルの反対側にいる男性に声をかける。

あれ、この人何処かで見たことある

確かあれは…


「副園長のリベッタだ」


思わず叫んでしまった。


「リベッタがどうした?」


ラウドと沙羅が問いかけてくる。


「今、山賊を刺した兵士とリベッタが密会しているんだ」


「どうして分かるんだ」


「精霊が教えてくれるんだ」


「ふーん、興味深いな

二人は何を話している」


「ちょっと待って今聞いているから」


二人の会話に耳を傾ける。


「だから、割りに合わないからお金を増やしてくれ」


「お金を増やしても、貴方は言われたことやってないじゃないですか」


「次はうまくやるから」


「はぁ、全く…、

ん…、貴方の次は無くなりました」


「何だと!どういう事だ」


「貴方、つけられていますよ」


「俺は、そんなヘマはしない」


「現に、貴方に風精霊がついてますよ。

終わりです」


そういうと、突然、兵士は苦しみ始めその場に倒れた。

店の奥、目立たない所にある席だった為、周りの人達は気付いてないようだ。

今はテーブルの上に倒れ込んでいる状態だったが、端から見れば酔っぱらって寝ているようにしか見えないだろう。


「さて」


リベッタの体は黒い霧となってその場から消えた。


『マスター、来ます』


「ラウド、沙羅逃げろ!」


「どうした、翔」


「リベッタがこっちに向かっている」


そう言った瞬間目の前に黒い霧が現れ、人の形になっていく。


「早く逃げろ」


「残念ながら、逃がしませんよ。

ほう、ラウドくんの仕業ですか、丁度よかった手間がはぶけます」


リベッタという名前意外、何もわからなかった。

ただ、僕の直感がいう絶対勝てない逃げろと、


「呪いの魔法をかけていたのは、貴方ですね」


「その通り」


「情報をリークしていた?」


「それはちょっと違います。

最後のお土産話です。

リークしていたわけではありません。

お互いが戦争になるように仕組んでいたのです。

何故、戦争が始まったかわかりますか?」


「それは、向こうが攻めて来たから」


「はい、その通り、でも相手国もそう思っているかも知れませんね」


「まさか!」


「そのまさかです

我々が仕組んだ戦争なのです

貴方が、深く調べなければ長生きできたものを終わりです。

邪魔をするものは死になさい」


僕は剣を構える。

精霊達にもラウドと沙羅を守るように言った。

あとは、僕がどのくらい逃げる時間を稼げるか。


リベッタは、一歩一歩ゆっくりと近づいてくる。

近くなるたびに冷や汗が多く流れてくる。

リベッタの迫力に、呼吸が荒くなり心臓の鼓動が早くなってきているのを感じていた。

この感じ、何処かで感じたような。


「もしかして、タナトスの仲間か」


リベッタは、一瞬止まり驚いた顔を見せた。

そしてこちらをマジマジと見つめている。


「なるほど、タナトスが言っていた放浪者はお前か、タナトスのお気に入りと言うわけか」


俺、何か気に入られることしたかなと思う。


「運命にあらがう者よ、自分の道を切り開け、そして心せよ、我々の同士となるか、破滅を選ぶか。

他に道があるか模索しろ。

タナトスの命により、お前の命預ける。

今回は、手を引くが次は容赦しないぞ。

それまでに強くなることだ。

去らばだ」


リベッタは黒い霧となって消えていった。


「翔くん、大丈夫?」


「ああ、何とか、戦っていたら絶対死んでいた」


「俺でも分かる、名前意外何も分からなかったが半端なく強い事は分かった」


「まだ、足が震えているよ」


「もう、襲って来ないよな」


「まず学園長に報告、そして国王に報告かな」


「これでクエスト達成かな」


「ああ、報告まで終わったらな」


「あ~あ、終わっちゃうのか、もう少し魔法の勉強したかったな」


「沙羅、そう言うなら残れば」


「翔くん、それは無理でしょう」


「沙羅さん、頼んであげましようか」


「ラウドくん、そんな事出来るのか」


「王女ですから」


「でも、お金がないか」


「大丈夫ですよ、良ければこのままここに住んで学費も出します

きちんと卒業してくださいね」


「本当にありがとう、そんなにしてもらって」


「急いで報告して、隣国との戦争を止めないと」


最後の仕事として、まず学園長に成り行きを話に学園長室に行くことになった。

学園生活も長いようで短かった。

まあ、初級の回復魔法は覚えられたのでよしとしよう。

この頃鍛練がおろそかになっていたから、レベル上げもしないと今回のような強敵には勝てないだろう。

次会うときと言っていたが、その時は自分の方が強くなっていることを祈るしかなかった。















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