188 隠密部隊2
戦闘モードに切り替え、基礎力を上げる。
相手のレベルは180、僕の方が少しレベルは高かったが、そんなに差はないように思える。
一気に詰め寄り、剣で切り裂いこうとしたら、横から邪魔が入る。
クナイを投げ僕が避けた瞬間、距離を開け攻撃体制に入っている。
流石に魔物と違い仲間との連携がしっかりとれている。
敵ながら感心してしまう。
次は向こうから攻めてきた。
二人一緒に僕に向かって襲いかかってくる。
僕は両手に剣を持ち、迎え討つ構えをとった。
近くまで来たかと思ったら、二人の後ろに隠れていた二人が飛び上がり上から攻撃してきた。
正面から二人、上から二人、僕は逃げようかと思ったが背後にも隠密部隊が回って来ていたので、正面の一人に狙いを定め切り裂いて抜けた。
だがそこにも隠密部隊二人が待ち構えていた。
そこからは乱戦となっていった。
前の隠密を斬ろうとすると横から切りかかって来る。
それでも何とか斬りつけ、少しずつ手傷を増やしていった。
それと同時に僕も致命傷となる傷はなかったが、斬られたりクナイが刺さったりと痛みに耐えながら戦った。
埒があかなかったので、全方位に向けて『スキル飛剣』を飛ばす。
ほとんどの隠密は避けていたが、三人には直撃し倒れていった。
すかさず、退避行動をとっていた一人に襲いかかり切り裂き倒した。
残り六人だが、リーダーらしき人物はまだ動いていなかった。
『まずは五人か』僕はそう思いながら、剣を構え直した。
隠密は僕を囲むように五人は配置していた。
そして一斉に襲いかかってくる。
左側から来る隠密を左手の剣で受け止め、右側の隠密を右手の剣で突き刺す、右側の隠密を剣を抜きながら、背後に抜けて切り裂き倒す。
クナイが三本飛んできたが、一本は避けきれず左肩に刺さった。
激痛が走ったが、僕は四人向かって走り出し、『スキル乱撃』乱れ撃ちを与えた。
隠密達は剣で防いでいたが、お構いなしに斬りつけていく。
隠密も反撃で斬りつけてくるが、痛みに耐えながら更に切り裂いていく。
隠密は一人、また一人と倒れていき、何とか隠密の9人は倒す事が出来たが、隠密のリーダーらしき人物が残っていた。
僕の体はボロボロで刀傷が至る所にでき、かなり出血もしていた。
『あまり時間をかけると不味いな』
そう思いながら、僕はとりあえず服を破り止血の為服を巻き付け縛っていた。
隠密のリーダーらしき人物のレベルは190、剣を取り出しゆっくりと歩いてくる。
僕は前に一度、一瞬で背後をとられた記憶が甦り、得たいの知れない不安と緊張感で、冷や汗が流れ出ているのが自分でもよくわかった。
僕は一瞬で切り裂かれないように、更に『スキル疾風迅雷』をかけた。
隠密は少しずつ速さを上げ、走りながらステップを踏んでいた。
ステップを踏む度に残像が残り、隠密が何人もいるように誤認してしまう。
近くまで来ると、突如消えてしまった。
『僕はヤバイ』と感じて咄嗟に右側に転ぶように避けた。
避けたというが感でしかなかったが、先ほどまで居たところに、上空から襲いかかってくる隠密の姿が見えたが目は、こちらを見ていた。
『来る』と感じて剣を咄嗟に前に出したら『カキッン』、隠密の剣をまぐれで僕の剣で受け止めていた。
お互い離れて距離をとった。
「翔様、勝てない相手ではないですよ」
「そういっても、早すぎてよく分からないです」
「翔様は、固くなっているだけです。
いつも通りにすれば大丈夫」
『固くなっている』確かに相手の強さが分かるから、最初から逃げ腰では勝てないな、気圧されていたかもしれない、
そう思い大きく深呼吸して相手の動きを集中してよく見てみた。
先ほどと同じ感じようにステップを踏みながら近いてくる。
さっきはここからジャンプして上空から襲ってきたが、今回はそのまま、僕の回りをぐるぐると回りだした。
まるで隙を見つけたらいつでも襲いかかるぞと言っているように思えた。
いつまで回るつもりだろうか、そう思いかけたとき、背後から突如向きを変え襲ってきた。
『見えた』『ガキン』
隠密の剣を、右手の剣で防ぎ左手の剣で突き刺すが、隠密は大きくバク転して交わし、そこから勢いよく剣を突いてくる。
僕はギリギリの所で交わす、肩の部分の服が破れ、皮1枚切れたようだ。
避けたと同時に僕は、隠密に向けて斬りつけたが、隠密はなんなく交わして距離をとった。
力は拮抗していた。
何か打開作はないかと考えていたが、先に向こうが動いた。
クナイを二本同時に投げてきたので、僕は交わして隠密に走り出そうとした瞬間、突然、クナイは爆発した。
直撃は避けたが、爆風と爆音で何メートルか飛ばされ、一瞬意識が飛んでしまった。
まだ耳障りがして、意識が朦朧としていたが、そこへ隠密が追い討ちをかけてきた。
兎に角、距離を開けないと思い、その場から急いで離れたが、隠密は追いかけて来る。
『スキル飛剣』隠密は、難なく避けた。
僕は頭をフル回転させ、どうするか考えていた。
いろいろ試すしかないか。
『スキル剣戟森森』
隠密の足元から何千何万という武器が、襲いかかる。
まるで武器で出来た森のように、隠密は飛び上がり避けるが、すべてを避けきれず何本かは、体に命中したようだったがそれでも隠密は向かってくる。
『スキル剣舞』
僕は二本の剣で舞を踊るように戦った。
隠密も先程の攻撃で怪我をしたのか、動きに精細さがなくなっていた。
片方の剣で受け止め、片方で攻撃をしていった。
最後に僕は二本の剣をクロスさせて切り裂き、隠密を倒した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
何とか勝てたが息切れもひどく、かなり出血もしていた。
「ご主人様、大丈夫ですか」
「ああ、何とか生きている」
「翔様、流石です」
「今のは、死ぬかと思ったけど助けてくれないのですね」
「まだ大丈夫だからですよ、翔様」
「本当ですか、かなり死にかけたと思うのですが…」
「まだ生きてますよ。
それにしても、今回はかなり怪我をされているので、今日はここで休んで、明日、次の階層目指しますか」
「そうして頂けると助かります」
それだけ言うと僕は気を失ってしまった。
疲れた所為もあるけど、血を流しすぎた所為かも知れない。
遠くでアナンタの呼ぶ声がしていたけど、このまま眠らせてくれ。





