143 スライムゴーレム
2階層へと降りてきた。
ここからは、カラフルなスライムが出てくる。
カラフルと言っても、色で麻痺、毒、混乱、睡眠などをかけてくる。
それに数も一匹ずつではなく、集団で襲ってくる。
そんな中を進んでいくが、一人先頭に立ちスライム達を撃破していくルーク、流石、一階層のボスを一撃で倒した実力者である。
別に苦もなく五階層のボスの間まで来ている。
途中の階層のボスは居なかったが、撃破された跡だったのか、それとも元々居なかったのかは不明だが、ボスの配置を少し考えないといけないと感じた。
ここに来るまで、全滅仕掛けていたパーティーがいたので、助けてあげたがスライムで全滅仕掛かるなんて、
もう少しレベルを上げてからかパーティー編成を考えるとかすればいいのにと思ってしまう。
さて、五階層のボスはいるだろうか。
ボスの部屋に近づいていくと、部屋の奥の方に、ゴーレムらしき魔物がいる。
ゴーレムと呼んでいいのか、形はよく見る人形なのだが、体が何やらウネウネ動いて波打っている。
どうやら体はスライムで出来ているようだ。
スライムゴーレムと呼ぶべきか…。
「ルーク、こいつを倒したら今日はこの辺りで帰るぞ」
「分かった」
昼を回っていたし、帰る時間を考えるとこの辺りで引き上げないと、帰るのが夜中になってしまう。
このスライムゴーレムを倒すのに時間をかけても同じ事だけどね。
「ルーク、一人で大丈夫か」
「やってみる」
ルークという獣人の子供は、口はあまり良くないが憎めない性格の獣人だ。
なんと言っても、まるでぬいぐるみのようでフサフサの毛並み、丸くて大きい目、たまに動かす尻尾が愛らしくして可愛い。
ルークは、一階層の巨大スライムと同じように、一気に回転しながら一撃必殺技を繰り出した。
スライムゴーレムの胴体に大きな穴を開けて貫通していく。
そのまま消滅するかと思われたが、穴は徐々にふさがり元へと戻ってしまった。
唖然としているルークに向けて、スライムゴーレムは右側の腕を大きく振りかぶり殴りつける。
『キャン』
ルークは、数十メートル殴り飛ばされた。
ルークは、ヨタヨタしながら立ち上がろうとしていたが、スライムゴーレムがさらに追い討ちをかける。
スライムゴーレムは、溶けたように一度水溜まりのようになり、そのまま凄いスピードでルークの近くに移動し、そこでまたスライムゴーレムの姿に変化する。
「ルーク!」
スライムゴーレムは、左側の腕を振りかぶり殴りつける。
立ち上がろうとしていたルークは、またもや数十メートル飛ばされてしまった。
「ルーク、助太刀するぞ」
「だ、大丈夫、お、俺の…獲物…だ」
ルークはフラフラしながら、何とか立ち上がったが、いつもの必殺技が効かないなら、どうやって倒すつもりだろうか。
ルークは大きく息を吸い込み、何やら溜め込んでいるようだった。
その内、体全体の毛が逆立ち初め、毛の色が黄金に輝き始めた。
そして体の表面でバチバチと音が鳴り始める。
『あ、雷獣だから体の表面に雷を纏ったのか』
そう思った瞬間、ルークはスライムゴーレムに向かって走り出していた。
スライムゴーレムも、待ってましたとばかりに右のパンチをくり出すが、そこにルークは居なかった。
雷を纏った為なのか、動きも格段に速くなっており、パンチを交わしたあと、そのまま右腕に一撃を入れていた。
右腕はバチバチと稲妻を走らせながら、千切れて墜ちていく。
右腕は再生するかと思われたが、切れた表面を見ると黒く焼きこがれていた。
なるほど、スライムゴーレムは焼くと再生出来ないのか、と感心している間にもルークは素早い動きで翻弄し、少しずつ体を削っでいく。
頭を削った時、そこから聖霊石が出て来て、スライムゴーレムは霧散して消えていった。
凄いな獣人は、まだ子供なのにこの戦力、大人の獣人の力は、計り知り得ないものだろう。
スライムゴーレムが消えたと同時に、ルークもまた毛色が元に戻りにその場に倒れてしまった。
子供なのに、いきなり力を使いすぎた為意識を失ったようだった。
ルナにルークの傷を回復してもらい、僕達はルークを抱えて帰路についた。
途中の露払いを隼人にしてもらい、魔物や獲物を狩りながら進んでいく。
将来楽しみなルークを見ながら、というよりはルークの毛並みを撫でて萌え~となりながら街に帰還した





