111 大宴会
扉を開け中に入って来たのは、精霊達とアナンタだった。
見た瞬間、皆、素っ裸、思わず目を反らしてしまった、。
アナンタは、まだ子供だから…いやダメだ、同級生達の冷たい視線が目に浮かぶ。
僕はばれないようにお風呂に来たつもりが何故ばれたのだろうか。
「ご主人様、一緒にお風呂入りましょう」
「ダーリン、私も入りますわ」
「は~い、私も」
「わ~ん、置いてかないで下さい」
「失礼します。私もご一緒に」
それぞれ声をかけて入ってくる。
『目の前に裸が』と思ってしまうと体ごと背けてしまう。
普段、見たいと思う時は見えないから見たいのであって、裸が目の前にあると目を反らしてしまうのは何故だろう。
精霊達とアナンタが『キャッ、キャッ』言っている間に逃げ出そうと湯船を少しずつ入り口の方に移動していたら、また誰か入ってくる。
「翔くん、自分ばかりずるいでござる」
ムラサメさんが入って来た。
胸と下半身を布で覆い、見えそうで見えないのが逆に色欲をそそる。
「ミディアさんの警護はどうしたのですか」
「大丈夫でござるよ、一緒に連れてきたでござる」
「連れて来た!?」
ムラサメさんのあとを付いてくるようにミディアさんが付いてきていた。
ムラサメさんと同じ格好で、胸と下半身だけ隠している。
「ミディアさん、ここ男風呂ですけど…」
「敗戦の王女なので、何されても構いませんけど」
「そんな事言われても、僕が困ります」
「言ったでござる。翔くんはこんな人でござるよ」
「そうですね、信用はできるかと思います」
「ムラサメさん、何の話をしているのですか」
「王達を牢屋に連れていった時、頼まれたでござる。
自分はどうなってもいいが、ミディアだけは守って欲しいと言われたでござるよ。
だから、翔くんに任せれば大丈夫といったでござるよ」
「何で大丈夫何ですか、僕にそんな権限はないですよ」
「それがあるでござるよ、この戦争の第1の功労者になるはずだから、敵の装置を破壊、そして王を捕縛、これ以上の功労者はいないでござる」
「でも、ムラサメさんと二人でやったことだし」
「それを翔くんがやったことにするでござるよ。
親が子を思う気持ち分かるでござるか、自分はどうなってもいいから、子供は助けたいと思う気持ち、牢屋で泣かれた場を思い浮かべて見るでござる。
断り切れないでござるよ」
確かに、その場にいたら断り切れないだろう。
王様とミディアの情景が目に浮かぶ。
きっと二人泣いて別れたに違いない。
「分かりました。なるべく穏便にすむように動きます」
「流石が、翔くんでござる」
「で、いつまでムラサメ様とミディア様だけ見ているのですか」
精霊達の言葉に『ハッ』と思い、話に夢中になり裸であること忘れていた。
二人とも胸が大きく、スタイル抜群だ。
胸と下半身だけ布で巻いているが、見えそうで見えないところも逆に色っぽい、
「す、すいませ~ん」
僕は慌てて裸のまま逃走する
この王宮に誰も居なくて良かったと思いながら、寝室まで走り抜けた。
次の日、セレナさん達が来るまで何もすることがなかったので、王宮を見て回っていた。
案内役は、勿論ミディアだ。
いろいろな部屋を案内してくれるが、とても広いし豪華だ。
宝物庫もあったが、勝手に中に入ると後々問題になると思いそのまま通り過ぎた。
気になっていたが、ミディアは明るく振る舞っていたが何気にちょっと暗い影を落としているような感じがした。
『昨日、今日とで生活が一転したからな』
僕は、案内して回るミディアの後ろ姿を見ながら考えた。
どうしたら、喜んで貰えるだろうか。
僕は、ミディアに声をかけた。
「ミディア」
「はい?」
「えっ~と、お父さんに会いたいですか?」
「え、そ、その…」
「牢屋にいきましょうか、ミディア」
僕は、無理にというか、先頭きってあるいていく。
後ろを振り向くと、皆付いてきてくれていた。
地下にある牢屋まで来ると、中に入っている皆は隅により、暗く項垂れていた。
「お父様、お母様」
ミディアが声をかけた。
僕はお母さんもいたのか、と驚いたが同じ場所に親子でいるのが当たり前かと思った。
「ミ、ミディア」
「ミディア様」
父親の返事から、皆のざわめきに変わる。
父親と母親らしき人物が前に出てくる。
「ミディア、すまないな」
「いえ、お父様」
「ミディア、何か困ったことはありませんか」
「いえ、ありませんお母様」
ミディアは、そこまで言うと泣き出してしまった。
今まで凛とした姿で対応していたが、親に会い張り詰めていた態度が堰が切れたように泣き崩れてしまった。
「どうか、娘だけはお願いします」
「約束通り、どうぞよろしくお願いします」
王と妃は、嘆願する。
暫く、親子をそっとして置いていたが、僕は話を切り出した。
「外は、天気もいいし花も綺麗に咲いてます。
一緒に、花見をしませんか」
「翔くん、それは…」
ムラサメさんは、言いかけて言葉を詰まらせた。
王と貴族達は、呆然としていたが、僕は牢屋の鍵を開け皆を外へ連れ出した。
もし逃げ出しても、一人一人マーキングしたからマップで直ぐ分かるし、王女が居るから逃げようとはしないだろう。
「翔くん、花見って何でござるか?」
「花見を知らないのですか、花見というのは、桜の木の下で飲んだり食べたりしながら花を楽しむことです」
「桜の木?」
「あの庭に咲いてる色とりどり咲いてる花の木ですよ」
「あ、レインボーの木でござるか」
「レインボーの木と言うのですか、桜とは違う見たいですが、似ているからあの木の下でしましょう」
貴族達には、地べたに座って食事をするという習慣がないようなので、エルダに即席のテーブルと椅子を土で作って貰い、
その間にエアルとアルケーに街にあった食堂に料理とお酒を頼んだ。
お金が少なくなってきたので、足りるかどうか心配だが、自分でも料理を作り始める。
今の材料で作れるのは、カレーと焼き肉くらいか、この世界ではカレーは珍しいが、誰もが好きなはずだから大丈夫だろう。
香辛料は、似たよう物があったので香辛料から作り、カレーを煮詰めていく。
辺りにカレーの匂いが漂い始めた頃、豚の丸焼き、ご飯も炊きあがり、食堂の料理も運ばれ宴会の準備が整った。
「さあ、皆さん今日は敵も味方も忘れて、大いに笑い食べ飲み明かしましょう」
王宮、貴族達のメイド達が集まり、お酒や、料理を運ぶのを手伝ってくれた。
ミディアも親子水入らずで楽しそうにしていた。
「メイドさん達も、遠慮なく食べたり飲んだりしてくださいね」
カレーが意外と好評であっという間に無くなってしまった。
追加を作りたいが、これ以上はお金が足りなかったが、貴族達が、どうせ没収されるからといって資金を出してくれることになったので、メイドさん達に買い出しをお願いした。
ムラサメさんは、既に酔っぱらっておりいろんな人に絡んでいた。
アナンタと精霊達は、競い合うように食事を取っていた。
まるで大食い競争見たいだった。
いつの間にか、カレーの噂が広がり街の人達も回りを囲むよう待っているようだった。
僕は仕方なく、大きな鍋を何個か用意しメイドさんに手伝って貰いながらカレーを大量に作った。
その頃には街の人達も宴会に加わり、何処から集まったのだろうと思うほど多くの人で賑あっていた。
まあ、資金は貴族が出してくれるから大丈夫だろう。
その時後ろから声がかかる。
「翔くん、これはどういうことかな」
振り向くとそこには、
「セ、セ、セレナさん」





