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108 メテオール

「ご主人様」


「どうしたのですか、ご主人様」


長い時間、暗闇の中をただよっていたように思えたが、現実の僕は一瞬固まっていただけのようだった。


僕の体が突然、輝き出し光を放つ。

それと同時に僕を中心に見えない力が100メートル圏内の物を吹き飛ばす。

騎士達も、建物さえ吹き飛ばし僕の周りは更地さらちとなった。

ただ、アナンタとムラサメさんはその場に倒れたままだった。


僕は、何かの呪文なのか、ただの独り言なのか、つぶやいていた。

すると、周りの木や動物、大地や大気、すべての物から、光の球が集まってくる。

大小それぞれあるが、僕はその球を吸収して、さらに輝きが大きくなる。

100メートル圏内には、誰も近づく事ができないでいた。


「ご主人様、私達にも凄い力が流れてきます」


精霊達にも力が流れているようだ。

アナンタとムラサメさんも僕の光の中で、弓矢の傷が消滅していく。


「翔くん、その力は何でござるか」


「ご主人様、生きている?」


僕が言葉を唱え終わると、光は一筋の光となって上空へと伸びていく。

すると、雲の間から光ながら何か落ちてくる。


「あれは、隕石…、メテオでござるか」


しかしメテオより隕石も大きいし、早さが違う。


「メテオの上位、メテオールでござるか」


メテオールは青白い輝きを出して落ちてくる。

何処に落ちる?

王宮の方角に向かっているようだが、落ちていく度に少しずつ隕石の大きさは大きくなっていく。

直径100メートルはあるだろうか。

それが王宮に、いや違う。

となりのピラミッドに落ちていく。


『ドスーン』


メテオールとピラミッドの防御魔法がぶつかったようだ。

音がしたと思ったら、物凄い風圧と地震が響いてくる。

アナンタとムラサメさんは、僕が飛ばされないように押さえていてくれた。


防御魔法で止まっていたメテオールだったが、暫く経つと、メテオールの重さと勢いで防御魔法を壊し、ピラミッドを破壊していく。

最後はピラミッドを潰してしまって、メテオールが墓標のように埋まっていた。


暫くの間、ピラミッドを破壊した衝撃で砂煙が舞い、周りが見えない状態だったが、少しずつ薄れて確認出来るようになってくると、騎士達が元に戻っているのが確認できた。


「俺たちは、一体何をやっていたんだ」


ムラサメさんが、騎士達に話をしているようだったが、騎士達は自分がやったことを覚えており、自分の意思とは無関係に動き、さからえなかったということだった。


「さて、そろそろわしの出番かの。

このままでは魔人化してしまうだろうからな」


ムラサメさんは声のする方を見て驚いていた。


「まさか、その指輪は…」


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