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その『悪役令嬢』は幸せを恋い願う  作者: 玉響なつめ


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第27話 男爵家の秘密

「アトキンス嬢が襲撃されたというのは事実だ。そして殿下たちに庇われ、事なきを得たことも」


「まあ」


「彼らは暴漢に逃げられたと言うが、殿下への襲撃という可能性から見えない場所で護衛していた者たちが暴漢を捕縛、その後尋問をした」


「……? あら? では殿下はそのことを知っていたのでは?」


 あの講堂での一件ではさも私が暴漢を雇ってアトキンス嬢を襲わせたかのように言っていましたが……。


 いくら殿下でも、捕縛されて騎士たちが尋問した内容を偽ってまで私を追い詰めようなどということはしないはずです。

 そのようなことは簡単に発覚してしまうのですから。


 勿論、側近候補であったウーゴ様とエルマン様にも情報は共有されていていいはずなのです。


 この場合は殿下の襲撃者であったか否か。

 そこが争点でしょう。

 もしそうであった場合は警備を見直さねばなりませんし、あまり大勢のいる場所に行かないなど学園内での行動について考えなければなりません。

 それは側近と騎士が連携すべき話です。


 殿下でなかった場合、次の襲撃に備え殿下を遠ざける必要もありますし。


「いいや、殿下には伝えていない。そして襲撃対象は、アトキンス嬢で間違いない」


「……何故ですか」


「あの場で話をしなかったのは、アトキンス男爵に慮った結果だ」


「え?」


 お父様はこれは内々の話だ、と前置いて私たちに教えてくださいました。


 アトキンス嬢は『男爵が愛人に産ませた娘』ではなかったのです。

 正確には嫡子であった、男爵の兄が出奔後にたまたま(・・・・)お付き合いした女性との間に生まれたというものでした。


 それが何故男爵の娘ということになっているかというと、そこはまあ複雑な家庭の事情と、政治的な絡みがあったのです。


 アトキンス男爵の兄君は家を継がずに出奔したわけですが、理由は大変身勝手なもので、自由になりたいから……と書き置きだけして突然いなくなったのだとか!


「出奔後、アトキンス家でもしばらく捜索をしていたそうだが手がかりは掴めず、その後正式にアトキンス男爵が跡取りとして認定を受け、そして今に至る。彼が男爵になって三年ほど経った頃か。兄が戻り、男爵位を明け渡せと騒ぐ事態となった」


 初めは浮浪者が薬か酒に溺れてわけのわからないことを言っていると思われたそうですが、それが実の兄と知って男爵はショックを受けたそうです。

 複雑な感情はあるものの家族としての情、そして男爵家を守るために家で保護し、そしてその後病死まできちんとお世話をしたのだとか。

 ちなみに病死は彼らの責任ではなく、どのような生活を送っていたかは知りませんがそうとう体がボロボロだったそうです。


「アトキンス夫人は元々、その兄の婚約者だった女性でね。まあ……あちらの夫婦としてはとても複雑だったろうが、立派にやっていたよ」


 お父様は苦笑しながらそう仰いましたが……本当に複雑です!


 そして夫妻には男児がすでに生まれており、跡取りにも恵まれていたので兄の件も片付いてこれからは穏やかに……と思ったところで今度は『兄の子を産んだから引き取れ』と言ってくる女性、つまりこれがアトキンス嬢の母親ってことですね!!


(もうすでにこのあたりでおなかいっぱいなのだけれど)


 お父様も苦笑しっぱなしですし、レオンなんて口元がキュッとなっているので相当な話です。

 アトキンス男爵家には何かワルイモノが取り憑いていたのでしょうか?


「子供に罪はないとして、幼児であった彼女を引き取ることとなったのさ。しかし母親はそのまま金を受け取ると子供を置いて失踪、幼児であった彼女は父親のことを知らなかった」


 このままではこの子供は不幸になる……そう思ったアトキンス男爵は、出奔した男と子供を捨てた母親が両親であるよりも、愛人に子供を産ませたとして自身が本当の(・・・)父親であるとした方がまだ将来的に道が明るかろうと決めたそうなのです。

 奥様もそれに同意なさって、教育を始めたのだそうですが……。


「ことわざでも言うだろう。【ゆりかごの中で学んだことは墓場までついてくる】とね。……幼いながらにあの母親の形質を色濃く受け継いだらしい彼女はなかなか手強い子供だったようだ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] アトキンス男爵、普通に可哀想、 これは流石にもう切り捨てていいと思うけど、どうなるかな 改心する素振りもないし、男爵令嬢は監視つけないとヤバそう
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