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幕間2 胡蝶の夢

みなさんこんにちは。

前回の告知通り幕間2をお送り致します。

幕間1と同じくシリアス一色で首を捻るような回です。

変則的な回で申し訳ありませんが新しいお話をお送り致します。



 夢を見ていた。

 一人の女の子の夢。

 閉じ(こも)った女の子の夢。

 生きる意味を見失ってしまった女の子。

 始めはただ部屋に(こも)りがちだっただけ。

 それが増々(ますます)エスカレートしていき、(しま)いにはカーテンを引き、暗い部屋でただ虚空(こくう)を見つめるだけになった。

 家族ともコミュニケーションを断ちがちで、食事は部屋の前に置かれるだけ。

 気付いたら少し減っている程度で部屋に入ろうとすると激しく泣きじゃくっては拒絶(きょぜつ)する。

 次第に()せ細っていく彼女、家族の前にさえ姿を現さなくなった。

 間が悪い事にそれと共に魔力が急速に開花(かいか)していく。

 初めは(よど)んだ空気から()り、次第に部屋の中が異界(いかい)と化す程だった。


 そんな日々の中、久しく開かなかった部屋の扉が開く。

 そこに立っていたのは彼女にとって見知らぬ男だった。

 いや見知っていたのに思い出せなかったが正しかっただろう。

 (かつ)ては幼馴染として笑い合った仲の彼。


 彼女は変わり果てた自分を見られるのが嫌だった。

 彼女は(みじ)めな自分を見られるのが嫌だった。

 彼女は空っぽの伽藍洞(がらんどう)に成ってしまった自分を見て欲しく無かった。

 彼女は必死に拒絶(きょぜつ)して、彼を遠ざけようとした。


 それでも彼は荒れ狂う魔力の嵐の中、傷付きながらも彼女を抱き留めた。

 抜け殻のような彼女に笑い掛けた。

 彼女が見上げると彼は笑って口を開いた。

 何を言っているのだろうか……その言葉は遠くて聞き取る事ができない。



 まるで本当に体験しているような感覚がした。

 彼女の動かす手や足、首の曲がり具合から髪が身体を()でる感触まで。

 絶望していた彼女が彼に向けた暖かな感情、冷たい感情、そして微かな希望。

 喜怒哀楽(きどあいらく)の全ての感情が流れてくる。


 彼女は思う、こんな自分でもまだ生きていて良いのだろうか。

 彼女は思う、こんな自分でもまだ幸せになれるチャンスはあるのだろうか。

 彼女は思う―――

「暗闇の中にただ溶けるだけの私を……見つけてくれてありがとう……」


 涙で震えながら必死に紡いだその言葉。

 目の前で彼にしがみ付いた少女が泣きじゃくる。

 今までの絶望からでは無く、微かに差し伸べられた希望と言うその手に向けて、不器用なまでの痛々しい笑顔を浮かべた少女の姿。


 どうしてボクはこんな夢を見る?

 どうしてボクは彼女と感情や感覚を共有している?


「まだ、私に気付いて頂けないのですか?」


 ふいに後ろから声がかかる。小さくか細い震える声。透き通った声音なのにどこか(いびつ)な響き。

 振り向くと(うつむ)いた少女の姿。ボクと同じくらいの身長で髪が凄く長い女の子だった。

 

 近づいたその時、彼女が顔を上げた。

 真っ直ぐ視線が交差する。


 その顔は―――。






結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。

誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。



と言う訳で幕間2でした。

相変わらずのシリアス一色の幕間で困惑をさせたかもしれませんが、これも必要なお話です。

避けて通れない構成なので仕方ありません(汗)

これからも幕の間に挟まれますのでご了承ください。


さて次回から第3幕の幕開けとなります。

第3幕の1話目に当たる第28話は本日9月27日22時に更新します。

今少しお待ちください(ぺっこり

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