第22話 もうお婿に行けない!……という名の途惑い
皆さんお久しぶりです。
八月に入って暑くてダレます。正直べとべとしてて気持ち悪いです。
そんなだれ気味な季節に入った所で新しいお話をおおくりします。
(2012/11/13 体裁統一のためのチェック)
テレビも終わってなかなか良い時間になった。
父さんはまだ酔いが冷めないからってソファーで横になってる。と言うわけで僕は今2番目のお風呂をもらうことになった。
「それにしても……ホントに女の子だ……」
脱衣所の鏡に映った僕は間違いなく女の子だ。
ランジェリーショップ(あの後そうゆうお店なんだって教えてもらった)で下着姿になった時は恥ずかしかったけど、今はぜんぜん恥ずかしくない。やっぱり人前で下着姿になったのが原因なのかな?
腕を触ってみるとプニプニしてるし、胸は膨らんでるし、腰はちょっと女の子っぽくくびれてるし。なによりカワイイ顔で髪の長いのが女の子~って感じだ。
「でも、なんだろう? 違和感がない……」
そうなんだよ。全然この顔が自分じゃないなんて思えないんだ。むしろこれが当たり前のように感じるのは気のせい?
まぁいっか、さっさと入ろう。2日ぶりのお風呂だし。ゆっくり入ろう。うんそうしよう!
けっしてキャミソールとかパンツとか脱いでるのの気を紛らわせてるわけじゃないんだからね?
□◇□◇□◇□◇□◇――…
「ふにゃ~……きもちぃ~……」
久しぶりに湯船に浸かる。
因みに、かけ湯をしただけで、髪も身体も洗ってないのはマナー違反だと思うけどさ。もう心身ともに疲れちゃって? どっぷりと湯船につかってしまった。
「やっぱ日本人のココロだよね~? お風呂って~……」
この体になって困惑したけどさ、今ひとつ良いことを知った! それはお風呂に体を伸ばした状態で浮かべるってこと。小学校の高学年くらいにはもうできなくなったんだけど、あれからお風呂だけリフォームして少し大きな湯船にしたんだよね。それで身長はあの頃より少し小さいからよゆうで湯船に浮かぶことができるんだ。ちょっと得した気分だよね。
―― ガチャッ ――。
「うん?」
なんかお風呂のドアが開い……た……?
「あら? 明ちゃん、きちんと体や髪の毛洗ったの?」
そこにはすっ裸の母さんが立っていた。
「な!? なんで! 母さ……ごふぅあ! ぶぐぅ……げほっ……がばっ……」
お、おぼれるぅ! おぼれ死ぬぅ!
「あ、明!?」
母さんが急に入って来たせいでバランスを崩しておぼれてしまった……。あわてて母さんが抱き起こしてくれたけど、口の中にけっこうお湯が入った……。
「げほっ、ごほっ……」
「もう! 心配させないでよ~」
母さんが心配そうな顔で文句を言うけど、それはお門違いも良い所だよ!
「だったら、驚かせないでよ……てゆうか、母さん体隠してよ! イロイロ目の毒だよ! 僕だって男なんだからね!」
羞恥心くらい持ってほしいよ、もう。
「なに言ってるの~? 明ちゃんは女の子じゃな~い。自覚くらい持ってほしいわよ、もう」
「ええ!? ……ってそうだった……」
おぼれたせいで一瞬忘れてたけど、僕……女の子だった……。ああそうだよね、昨日から女の子だったよね、僕……。
「そうしょ気ないの。ほら、体洗ってあげるから出てきなさい」
「え……?」
この年で母さんに体を洗ってもらうとか恥ずかしいんだけど……。ただでさえ昨日体を拭いてもらうのも恥ずかしかったのに……。
「な~に? 文句あるの~? 言っておくけど、男の子と女の子じゃ体の洗いかたもぜんぜん違うんですからね?」
確かに正論で反論の余地がない気もする……。
「は~い……」
けっきょく妥協して洗ってもらうことになった。
で、湯船から出ようとしたんだけど、思いっきり髪の毛が重い……なにこれ!?
「頭が重い~……どうして?」
下を見ると湯船の水面が僕の髪の毛を引っぱってた……。
「あらあら、明ちゃんダメよ?」
母さんが急に僕の髪の毛をさわりはじめた。
「入る時には髪の毛まとめないと。そのままお湯に入れたら髪が傷んでしまうわ」
母さんは僕の髪の毛をていねいにしぼると頭の上にまとめてタオルをかぶせてくれた。
「ほらこうすると楽でしょ?」
「ほんとだ……」
「そんな長い髪を水分のふくんだ状態で放置していると頭皮にダメージが出て髪の毛が抜けちゃうぞ?」
……それはちょっと困る。
「それじゃあ、洗ってあげるわね~」
「う……うん、お願い……」
この時僕は少しでも疑っておけば良かったんだと思う……。鏡に映った母さんの頬を赤く染めた幸せそうな笑顔に……。
□◇□◇□◇□◇□◇――…
(ここからは会話だけをお楽しみください! と思いましたが年齢制限があるので公開できません。しばらくお待ちください(笑))
□◇□◇□◇□◇□◇――…
母さんに髪の毛の洗いかたから全身の洗いかたまで全部教えてもらった。確かに男だった頃とぜんぜん洗いかたが違う。そのまま男だった頃と同じ要領で洗ってたら全身真っ赤に腫れてたかもしれない……。腫れてたかもしれないけど……。
「うう~……こんなのヒドい……僕、もうお婿に行けないよぅ……」
半泣きになりながら鼻をすすってグチる僕を、母さんは微笑ましいと言いたげな笑顔で見てた。
「なに言ってるの~? もう女の子じゃな~い? 女同士で恥ずかしがる必要も無いでしょ~?」
「母さん、笑いながら言うけど僕が男に戻ってもそんなこと言えるの?」
「あれ~? 男の子に戻りたいの~? こんなにカワイイのにもったいないわね~」
今僕は湯船のヘリにぐったり体をあずけてる。精神的にもう僕死にそう……。
なにがあったって? そんなこと口に出して言えないよ!?
強いて言うならイスが1つしかないからなぜか母さんのひざに乗せられて、ギューッてされてサワサワされてナデナデされてモミモミされてムギューッとされたと言っておく。
暴れて抵抗したのに母さんからは超怪力で逃げれなくってさ……おっとなんか母さんから殺気が……。
母さんの様子をうかがってみると超ごきげんに鼻歌うたいながら体洗ってる。
もうやだぁ……母さん怖い、母さん怖いよ……。うう~……僕もう母さんと一緒に入りたくないよ……。
「ひぅ!?」
一瞬鏡ごしに母さんの目と合ってしまった……。目がアヤシイです……すっごくアヤシイです……。
「明ちゃん? なにをそんなに縮こまってるの? お風呂は広いんだしもっとのびのびと入れば良いのに……」
カワイく口先とがらして言うのは良いよ? でもその原因は母さんだから! 間違いなく母さんなんだからね!
ああもう、1人でのんびり入って心身ともにリフレッシュしたかったのに!
もう! もう! もう! なんでこん(―― ガチャッ ――)な……?
「もう! 明もお母さんもゆっくりし過ぎよ!?」
声がした方を見たら姉さんがいた。しかもすっ裸で……。
「なっ!? なんで姉さんまで……!?」
「そりゃーあんた達が遅いからでしょ?」
目の前まで来てかけ湯をする姉さん。もちろん前は隠してません。もう全開過ぎて立派です……。
「じゃなくて! 僕、男だって言ってるでしょ!?」
「なに言ってるの――」
姉さんは滑るように湯船に入って来た。
「――こ~んなカワイイのに~」
「ふぇ? なぁ!?」
気付いたら僕に思いっきり抱き着いて来ていた。ちょっ! 柔らかいのが背中に当たってる! 当たってるよ!?
「は~な~せ~! 放してよ~!」
「や~だ~! こんなすべっすべのお肌しててうらやましいなぁ? ちょっとは分けなさいよ?」
ひぃっ……なにするんだよ!?
――いつ……つもわた……耐え切れ………――。
「いつもいつも僕が大人しく従ってるからって調子に乗らないで!」
「まぁ良いではないか、良いではないか」
「うが~! このっ! 絡みつくなっ! ていうかどこさわって……ちょっ……あぁ……」
姉さんオヤジ入り過ぎだよ! もう最終手段だ……母さんに助けを求めるしかない!
――こん…時はお…さ…も面…がってく……ら逃げ…く……――。
「母さん! 助けてぇ!」
「なに言ってるの~? こういう時こそ母娘水入らずのハダカで親睦を深める良い機会じゃな~い」
「え……?」
「よいしょ!」
なんかババ臭い掛け声と共に湯船に母さんが加わった……。
「なんか言った~? 明ちゃん?」
ちょっ!? 母さん心の声を読んだな!?
「明ちゃん? 明ちゃんの考えは顔に出るって言ったわよね~? えいっ!」
母さんが勢いを付けて抱きついて来た……。ああ、また柔らかいのが追加で……。
「あらあら、ホントにすべすべで気持ち良いわね~」
「そうでしょ~? 頬ずりすると気持ち良いのよね」
「ちょっ! 止めて! 僕で遊ぶの禁止~!」
ううっ……お風呂の中で2人に抱きつかれると暑くて……。
「ほんとだ~。頬ずりすると気持ち良いわね~」
「も……ダメ……」
暑くて締め付けられて頭がグラグラしてきた……。
□◇□◇□◇□◇□◇――…
「はっ!?」
母さんと姉さんに抱きつかれて押しつぶされそうになったと思ったら、胸からバスタオルを巻いて脱衣所に立ってたんです……。
なにを言ってるのか分からないと思うけど、僕もなにをされたのかさっぱり……。頭がのぼせたせいでグラグラして思い出せない……。
ただひとつ確かなことは、隣で僕に抱き付いてる母さんは鼻血をこらえて幸せそうな顔をしているということだけ……。
「うふふ~……シアワせ~……」
ちょっ……鼻血がバスタオルに垂れてるって……!
「おっといけない……」
母さんが鼻をぬぐってドライヤーを手に取ると、僕の髪を乾かし始めた。
「ねえ? 母さん僕になにをしたの……?」
恐る恐る聞いてみたけど、母さんはなにも答えてくれない……。
「うぅ~……ホントにもうお婿に行けないかも……」
がっくりと肩を落とした僕の髪を嬉しそうに乾かす母さん。
「明ちゃんは髪の毛長いからドライヤーでしっかり乾かさないとダメよ?」
「え~? そんなの面倒だよ? やっぱり髪切りたい!」
「だ~め!」
「ケチ! 姉さんだって肩までじゃん? 昔は背中まであったけど」
こうゆうの不公平だよ……。
「千夏ちゃん、高校に入った時に黙って切っちゃったからお母さん残念だったのよね~? 明ちゃんが長くて嬉しいわ~」
しばらくドライヤーのかけ方を母さんに教わってると、姉さんもお風呂から上がって来た。
「あら? お母さんも明もまだいたの? 髪が長いなんて大変ね~」
笑いながら横に来てパジャマに着替えていく姉さん。髪が多少濡れていても短いとドライヤーも後回しで良さそう。うらやましく見てるとドライヤーの音が止まった。
「ほら明ちゃん終わったからこれを着てね~?」
渡されたのは緑と白のシマシマぱんつにぱじゃま……。
「ってなにこれ!?」
渡されたのは大きなピンクの水玉模様にレースとリボンで飾られたカワイイワンピースタイプのぱじゃまだった……。
「なにって私のお下がりよ? 良いじゃん着れるんだし」
まあ、その通りだししかたないか……。
着てみるとなんだか小学校の女の子がちょっと背伸びしたぶかぶかぱじゃまを着てるような感じになってしまった……。ちょっとエリまわりが余り過ぎて開き気味なのが気になる。
「なんかびみょ~……」
「そう? 良くにあってるわよ?」
姉さんが満足そうに笑ってる。こんなもんなのかな? 鏡の前で1回転してみると確かにカワイイ気はする。
「待ってね」
母さんがそう言うと僕の髪を緩く2つ両わきでお下げにしてリボンを結んでくれた。どっからどうみても大人しそうな女の子でなんかちょっと照れる……。
「これでおっけーね」
「ありがと、母さん」
しっかり歯ミガキしてリビングに向かおうとしたら、
「智樹に歯ミガキするように言ってきて」
と姉さんに言われた。
姉さんはドライヤーで髪の毛乾かしてるし、母さんは父さんを起こしに行っちゃったし……。
「しかたないなぁ……」
階段を上がって僕たちの部屋に入る。因みに僕と智樹は相部屋で2人で1つの部屋を使ってる。わが家は普通の家より部屋は多いけど、特に今まで不自由を感じたことがなかったからってのが理由。
「智樹~?」
「ん~? なんだよ?」
二段ベッドの上から声が聞こえた。ま~たベッドに寝転がって漫画読んでるな!? しかたないなぁ。
ハシゴをよじ登ってのぞき込むと案の定漫画を読んでた。
「智樹ってば!」
「うわぁ!?」
「歯ミガキしなさいって! って……うわぁってなに? うわぁって」
失礼しちゃうよ……まったく。
「分かったから! 降りてくれよ! 降りれないだろ!」
まだ不機嫌なの? いいかげん機嫌直して欲しい……。同じ部屋なんだしさ~……。
智樹がハシゴからノロノロ降りてきた。まったくもう! 見上げるのって面倒くさいっていうか首が疲れる。あ、でも昔父さんを見てたころのような感じかも……。
「父さんがそろそろお風呂入るから、その間に歯ミガキしてきてね?」
「あ、ああ……」
「も~う! さっさと歯ミガキしてくるの! 智樹が行かないと僕が怒られるんだからね!」
まったくしょーがない弟だよ!
「ってなにため息ついてるの? さっさと行ってきなよ?」
「分かったよ~……」
不機嫌というよりなんか諦めてるような感じ? なんか悩みでもあるのかな?
「悩みがあるなら聞くよ? これでも僕は智樹のお兄さんなんだし」
「……お前なんかっ、お前なんかアニキじゃねぇ!」
「……え?」
ど、どーゆーこと? え?
「どうして……? どうしてそんなこと言うの?」
僕、智樹の良いお兄ちゃんになれるように努力してきたのに! なんか涙出そう……ってあれ? ホントに涙出ちゃった。
「うあっ……そんな泣かれても……俺が、俺が困るんだよぉ!」
智樹はそれだけ言って逃げるように部屋を出てってしまった……。
「智樹……」
僕は智樹を見送ることしかできなかった……。
あ~あ……ホントに泣くつもりなかったんだけどなぁ……。
― つ・づ・く ―
結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。
誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。
と言う訳で『もうお婿に行けない!』の回でした。
いやもうあなた女の子じゃないですか!というツッコミですね。分かります。
お風呂場でのお母さんとのスキンシップを読みたい人が居れば感想にでも『執筆希望!』なんて言ってください。
沢山見たいって人がいたらノクターンさんの方にでも執筆してUPするかもしれません。
でも内容はR18じゃなくてギリギリR15だとは思いますけどね。
何はともあれココで書いても大丈夫な内容に抑え切れそうにないので、まぁスキップしました。
けっして字数の問題でカットしたわけじゃないんだからね!
という訳で、気になる展開を出しつつ次回にシフトです。
また次回を宜しくお願いします~(ぺっこり




