子どもの頃毎日遊んでいた幼馴染みがいたのですが婚約を機に関われないこととなり縁が切れたかに思われていたのですが……?
子どもの頃、私リリアと彼ハンドレットは仲良しで、家が近かったこともあって毎日のように遊んでいた。
まだ幼かったその頃は男女の差なんて何の意味も為さなくて。だからこそ自然なありのままの姿で接し合うことを続けられていた。私は私として、彼は彼として、ただ一人の人間として関わっていたのだ。
けれどもある程度の年齢になると私には婚約者ができてしまって。
それで異性であるハンドレットとはもう会えないこととなってしまったのだった。
……しかし私の婚約者となった男性ロバンは心ない人だった。
多少年齢が離れているというのもあるのかもしれないけれど。彼はいつも冷たかった。優しい笑顔を向けてくれることなんて一度なかったし、盛り上がるような話をしてくれたことだってなかった。もちろん、恥ずかしがりだから、とかではない。彼はそういう人ではないから。
そんなロバンはある時突然婚約破棄を告げてくる。
「君と生きてゆくのは無理だ。なぜなら俺が君を好きになれないから。あと、君には女性としての魅力がないから。君のような女性は俺にはつり合わない。俺に相応しい女性というのはな、もっと気遣いのできる素晴らしい女性なんだ。……だから、きっと、この関係は壊れる定めだったのだろう。ということで、俺は定めに従う。仕方ないんだ、これは。こういうものだから。定めは定め。だから、残念なことになってしまっても、それは仕方のないことなんだ」
こうして私は唐突に切り捨てられることとなった。
……ああ、なんて、悲しいことだろう。
だが心折れないよう努力した。
こんなところで折れていては意味がないと思ったから。
前を向いて生きようと決意した。
――と、そんな時、奇跡的にハンドレットと再会。
「実はね、婚約破棄されたの」
「うそ!?」
「だから……良かったら、だけど、また仲良くしない?」
「もちろん! ぜひぜひ! ……けど、大丈夫なのかな」
「大丈夫よ。だって私はもう一人、自由だもの。誰と関わるかだって今なら自由に選べるわ」
そこからの展開はあっという間だった。
かつての親しさはみるみる蘇り、深い絆となって、気づけば私たちは特別な二人になっていた。
「リリア……結婚してください!」
その日はやがてやって来て。
「……本気なの? ハンドレット」
「はい!」
「そう……分かった、なら、その話……受けようと思うわ」
「ホント!?」
「ええ、もちろんよ。それに。そもそも、この状況で嘘つく意味がないでしょう」
――こうして私たちは自分たちが望む未来へと歩み出す。
その先に何が待っているのかはまだ分からない。ただ、一つ確かなことは、目の前にいる人が大切な人であるということ。その一つの事実を抱き締めて、行く道を決める。
だが人生とはそういうものだろう。
未来など誰も分からないものなのだから。
ちなみにロバンはというと。
今も理想の相手を探し続けているそうだが、その性格ゆえにまともな女性からは誰からも相手にされず、相手探しは一向に進まないといった状態だそうだ。
◆終わり◆




