婚約者に捨てられましたが、それとほぼ同時に別の男性に拾われました。~穏やかな幸せへと歩き出します~
私は婚約者に捨てられた。
そしてそれとほぼ同時に別の男性に拾われた。
「おはよう!」
「おはようございます」
浮気されたうえ婚約破棄され理不尽な出来事に心折れかけていた私を救ってくれた彼の名はアンドーロという。
「もぉー……どうしてそんなによそよそしいんだい」
「すみません」
「もっと親しくしてほしいよ」
「……ごめんなさい、まだ慣れなくて」
彼は陽気な人だ。なので、出会ってからそんなに時が流れていない私に対してでも、かなり親しげに声をかけてくる。望み通りになった嬉しさがあるから、というのもあるのだろうけれど。ただ、喜んでいる、というだけではないような勢いと積極性がある。
ゆえに最初はかなり戸惑った。
だが、彼はそういう人なのだと理解することができてきたため、今はもう戸惑いはそれほどなくなっている。
「とにかく! 今夜は一緒に食事しようよ!」
「あ、はい。そうですね。ありがとうございます」
まだまだ馴染めないところもある。
けれども彼の優しさが私を救ってくれたことは事実なので彼には感謝している。
だから私はこれからもアンドーロと共に道を歩いてゆこうと思う。
「君の好きなスイーツを用意しておくから!」
「あ。この前の……ですか?」
「うん! そうそう! 前気に入ってくれてたよね!」
……ちなみに。
あの時いきなり私を切り捨てた元婚約者の彼はというと。
あれから少し経ったある日、うっかり怪しいキノコを食べてしまい、その毒によって落命してしまったそうだ。
◆終わり◆




