表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/548

とある晩餐会にて、婚約破棄宣言されました。~彼には明るい未来など訪れない~

「貴様との婚約は、本日をもって破棄とする!!」


 婚約者である彼ロビャートは、とある晩餐会にて、大勢の無関係な人もいる前でそんな宣言をいきなり行った。


 周囲の人たちはいきなりのことに驚き気まずそうな顔をしている。男性も、女性も。ある人は「何事なの……?」とこぼしながら怪訝な顔をし、複数人で会話していた婦人たちは「こんなところでそんな話をするなんてどうかしているわ。意味不明ね」「どうなってるのかしら」などと控えめな声量で言葉を交わしている。


「少しは期待していたのだが……それが悪かったな」

「どういうことですか?」

「貴様が思ったよりくだらない女だったということだ」

「そうですか」

「本当に分かっているのか? 理解できたのか? そうなら、せめて、土下座して許しを乞うくらいしろよ」


 ロビャートはそんなことを言うけれど、さすがにそこまでやる気はない。


「今までありがとうございました」


 私は彼に執着はしない。

 なぜならそこまで彼を求めてはいないから。

 この世界に愛せる人が彼しかいないわけではない。……いや、そもそも、私はそこまで彼を愛していなかった。ただ婚約者であっただけで、それ以上の感情は私の胸にはない。


 だからさよならが来るならそれはそれで仕方がないことと受け入れられる。



 ◆



 あれから数年。


 私は親の知人の紹介で知り合った広い心の持ち主と結婚した。

 今は彼に大切にされながら日々を楽しんでいる。

 どんな時も優しさで包んでくれるような彼のことを私も深く愛している。


 これからもこの幸せを守ってゆきたい。


 で、あの時私を切り捨てたロビャートはというと、あの後謎の病にかかり段々動けなくなっていったそう。

 それで、先日ついに、この世を去ることとなってしまったのだとか。

 自分勝手な生き方をしてきた心の黒い彼には光ある希望ある輝かしい未来は待っていなかったようだ。


 苦痛と絶望の中で生きる。


 そして、ただただ、転がり落ちるように終焉へと向かう。


 だがそれはある意味当然の結末。


 彼に最も相応しい終わり。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ