外見はそこそこ良いけれど性格が悪い婚約者とのお別れは意外な形でやって来ました。
私には婚約者がいる。
二つ年上である彼の名はリバーツ・フォインド・ティティフォッス・ロロンガスという。
彼は外見はそこそこ良いのだが性格が悪い。
これまでにも人間関係の面でかなり問題を起こしてきていたようだし、婚約者である私に対してもたびたび嫌がらせをしてきたり失礼なことを言ってきたりといった感じであった。
しかも悪気なくそういうことをしているからなおさら厄介。
すべて悪意を自覚せずにしていること、だからこそ、彼には反省というものが一切ないのである。
――だがそんな彼はある日突然この世を去った。
その日はいたって普通の朝だった。
平凡な朝、天気は曇り。
いつもと変わらない時間に起床した彼はいつも通りの手順でうがいをしてからコーヒーを飲む。そして、丸ごとの状態で焼いたにんにくを口へ放り込んだ。
焼きにんにくは彼の好物で、彼はそれを毎日朝に食べている。
なのでそれ自体は珍しいことではない。
が、彼はそれを喉に詰まらせた。
そうしてリバーツはこの世を去ることとなった。
「まさかあんなことになるなんてねぇ……」
「でも良かったわ。彼、性格かなり悪かったし。いろんな意味で面倒臭かったし」
「いなくなってくれて助かったわね」
「それそれ!」
「けど、若いのに、にんにくを食べて亡くなるなんて……驚きよ」
「丸ごと食べるから駄目なのよ」
「それな! そうよね。丸ごとなんて、さすがに無理があるわ。若いとしてもね。明らかに危険よ」
町の人たちは彼の死についてそんな風に言葉を交わしていた。
また、私と彼の婚約は、彼の死によって破棄となった――そうして自由を得た私は後に整った顔立ちと力強くも誠実な性格を併せ持った男性と知り合いその人と結婚した。
リバーツとなら掴めなかった幸せを、私は今、確かに手にしている。
◆終わり◆




