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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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愚かな王子のせいで国が滅んでしまいました。~それでも人々はまた立ち上がることでしょう~

 かつてこの国は穏やかな国だった。

 しかしある時王子であるアフルトレットがろくでもないことをしたために、穏やかな国は滅びへと向かうこととなってしまった。


 ――そう、彼は、隣国の姫と婚約しておきながら別の女とできていたのだ。


 その事実が明るみに出た時、隣国の王は激怒した。


 まぁ、それは、当然だろう……大切に育ててきた、自身の命よりも大事な、そんな娘の心を傷つけられたのだから。


 二人の婚約は破棄となったが、それでも隣国の王の怒りは収まらず、王はアフルトレットがいるこの国を奪い取ることを決意。侵攻を開始した。その国はかなり強大な力を持つ軍を所有していたため、ただの平凡な一国が満足に戦えるわけもなく。


 そしてこの国はあっという間に乗っ取られた。


 穏やかな日々、穏やかな暮らし、そのすべてが破壊し尽くされて――その果てに、今はまた、少しずつではあるけれど日常が戻りつつある。


 幸い隣国の王は民まで皆殺しにする気はなかったようで。そのため一般人を虐殺するようなことは率先しては行わなかった。また、戦いが終わりある程度状況が落ち着けば、一般人の最低限の生活は保証してくれた。王とて悪魔ではなかった。


 ただし、そもそもの原因であるアフルトレットと彼が可愛がっていた女は、この世界において最も残虐な方法で処刑された。

 けれどアフルトレットは元々民からもあまり良く思われていない人物だったのでその恐ろしい処刑に反発する者はそれほどいなかった。


 少しずつ、だが、この国は良い方向へと進み始めている。


 いつかはきっと元の暮らしに近い暮らしを取り戻せることだろう。


 王家はなくなるけれど。

 上に立つ者が変わるだけなら。


 それなら人は生きてゆける。


 人間とは基本的には強い生き物だ。一人一人の力は小さくて、時に無力感に苛まれることもあるけれど、それでもどんな困難も乗り越えようとするし乗り越えられるのが人間の強さという部分。苦しみ、痛み、それらを越えようとする人間の強さはどんな時代にだって存在するものだ。


 だから、たとえ一度倒れても、また立ち上がる。



◆終わり◆

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