無責任で身勝手な貴方には痛い目に遭っていただきますね。
私には婚約者がいる。
だが婚約者である彼ローエンは国内への持ち込みが法律で禁止されている火薬をこっそり国内に持ち込んで売りさばく仕事をしている。
それが前々から嫌だったのだけれど、指摘できる空気では到底なかったため、これまではずっと見て見ぬふり状態となってしまっていた。
――だがそれにも終わりの時がやって来る。
「君とはもう関わらない。今後はな。婚約は破棄、そういうことだから。ではさようなら」
別の女性に乗り換えたくなったローエンは急に婚約破棄してきたのだった。
「もう俺の前に現れないでくれよ」
なんという勝手な人だろう……。
違法行為を仕事にしているのみならず、少し気が変われば一方的に婚約を破棄するなんてことをして。まともな大人とは思えない。責任感があまりにもなさすぎるではないか、そんなことを平気でできるなんて。
――理不尽なことをされてじっとしているなんて不可能だ。
私はローエンの違法行為について国へ報告した。
すると彼は逮捕された。
彼はすべてを失った。
社会的にも終わった。
……もう彼が自由に生きてゆくことは不可能だろう。
それに、結婚だって、きっともう無理だ。
でもそれでいい。そのくらいでこちらとしてはようやく納得できるのだから。あんなことをしたのだから少しくらいは痛い目に遭ってもらわなくては、という思いがある。だから彼がどうなろうとも胸が痛むことはない。自業自得ですね、としか思わないのだ。
――と、そんな感じで。
ローエンはあっという間に堕ちていったのだった。
一方私はというと、後に軽い気持ちで参加した晩餐会にて良き人と知り合うことができその人と結婚した。
◆終わり◆




