平凡な日の朝、婚約破棄されてしまいました。しかしその後より良い縁がありました。
それは平凡な日の朝だった。
婚約者である男性プッティオが珍しく自分から私の家へやって来て、何事かと思っていたら、婚約の破棄をさらりと告げられた。
彼が言うには、他の女性でもっと条件の良い女性に出会ったから私という存在はもうどうでもよくなってしまったのだそうだ。本当に、純粋に、それだけが婚約破棄の理由だったようである。
あまりにもあっさりとした関係の終焉となってしまった。
その時はそれなりにショックで、告げられた日から一週間ほどは本気で落ち込んだ。
まるでこの世の終わりみたいに。
心は折れ。
涙は溢れて。
どうしようもない夜を幾つも越えた。
だがそんな時私の前に一人の男性が現れた。その人は高貴な人だったのだが彼は昔私に助けられたことがあるらしく密かに想い続けてくれていたようで。婚約の破棄を聞きつけて私の前に現れたとのことであった。
そこから人生は大きく変わり――今では私は将来一国の頂に立つであろう位置にまで上り詰めている。
謙虚であろう、しかし、やりたいことはやってゆきたい。
人のためになることを。
民のためになることを。
小さなことからでも一つずつ積み重ねてゆくことこそが私の人生という道だと思う。
せっかくそういう機会を手に入れられたのだから、人や世に貢献しながら生きてゆきたい。
ちなみにプッティオはあの時言っていた女性にはふられたようだ。
どうやら彼は勝手に惚れて勝手に結婚すると思い込んでいたようで、いざ女性に声をかけると不快な顔をされてしまったらしく、結局その女性とは何もないまま終わったよう。
彼の夢はすぐに塵と化した。
その後彼は心を病みもう何年も実家で寝て暮らして療養しているそうだが改善の見込みはないらしい。
◆終わり◆




