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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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冬の寒い日に婚約破棄されましたが、その後大成することができました! ちなみに彼らはというと……。

 ある冬の特に寒い日の朝方、婚約者である彼ルーペンダンスに「重大な話がある」と呼び出された。


 向こうから関わってくるのは珍しいことだったので驚いた。

 けれども婚約している以上無視もできなくて。

 なので私は素直に言われた通りに彼の家へと向かった。


 すると彼は告げてくる。


「君との婚約だが、破棄とすることにした」


 そんな心ない言葉を。


「え……」

「俺は真実の愛を見つけた」

「何を言っていらっしゃるのですか?」

「本当のことを言っているだけだ」


 戸惑ってしまって気の利いた言葉を返せないでいると。


「君のような無能は俺には不要だ」


 そんなことまで言われてしまう。


「知っているか? 西の屋敷のお嬢さまナタリア。彼女はどこまでも魅力的な女性だ。俺は彼女を愛してしまったし、彼女も俺を愛してしまった。だから俺たちは共に生きていくことに決めた。だから! 君には去ってもらう!」


 こうして私は何も言い返せぬまま婚約破棄されてしまったのだった。



 ◆



 あの婚約破棄の数日後、ルーペンダンスはこの世を去った。


 その日も彼はナタリアに会いに行っていたそうだ。

 しかし帰り道馬車に乗っていて事故に遭ってしまったそうで。


 それによって彼は落命することとなってしまったらしい。


 そしてその数日後、ルーペンダンスの死にショックを受けていたナタリアは自らこの世を去ることを選んだ。

 彼女の最期の言葉は「わたし、彼のもとへ行くの。何も怖くないのよ」だったらしい。


 本当に好きだったのだなぁ、とは思ったけれど。


 でも、その愛は、私という犠牲の上に成り立つものだった。


 誰かの犠牲の上に成り立つ幸福など脆いものだ。

 そういったものは大抵永遠のものとはならない。



 ◆



 私は、あの婚約破棄の後に始めた料理が武器となり、驚くくらい一気に高い社会的地位を得ることとなった。

 数々の料理大会で優勝し、国王からの表彰も受け、国民で知らない人がいないくらい有名になり……と、思わぬ形で大成することとなったのだった。



◆終わり◆

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