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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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十六年上の婚約者が……? ~結局最期まで彼はよく分からない人でした~

「お主、わしとは無関係になってくれ。……ということで、婚約は破棄とする」


 十六年上で婚約者でもある彼ロージーン・ヨリトシがある日突然そんな言葉をかけてきた。


「え」

「聞こえなかったのか? 婚約は破棄、と言ったんだ」


 ロージーンは馬鹿にしたような表情を滲ませた面を見せつけてくる。


「いえ、そうではなくて、ですね……意味が分からないんです、なぜいきなりそんなことを言われるのかと」

「ほう」

「耳が遠いわけではありません」

「ほうほうほううん」


 目の前の彼は明らかに意図的に挑発的な声の出し方をしていた。


「だが、そんなことはどうでもいいこと」

「……なぜ」

「そもそも、すべての決定はわしがするもの。ゆえに、お主が理解できようがでいまいが関係ないのだ。わしが決め、わしが告げる。すべての決定はそれが正しい形なのだから」


 自分勝手の極みのような彼は。


「ではな。さようなら、ほっほほほっほ」


 一方的に別れを告げ私を切り捨てたのだった。



 ◆



 あの後少ししてロージーンは寿命を迎えたらしい。


 ……いや、本当に寿命だったのかは不明だが。


 ただ、表向きには、一応そういう発表となったようである。


 ちなみに、彼の最期の言葉は「もっと女たくさん作れば良かったな、残念。ふぉっふぉふぉふっふぉ」だったそうだ。


 それを聞いた時、最期まで意味不明な人だったな、とは思ったけれど……それ以上のことは特に何も思わなかった。


 その後、私はロージーンではない年の近い青年と結婚し、幸せになれた。



◆終わり◆

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