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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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「お前なんて価値のない女だ。よって、婚約は破棄とする」ですか? ……そんなことを平気で言うなんてどうかと思いますよ。

「お前なんて価値のない女だ。よって、婚約は破棄とする」


 婚約者だった彼がある日突然吐き出してきた言葉。

 それは鋭い刃のようにこの胸に突き刺さり、赤いものを滴らせた。


 ――ああそうか私は価値がない人間なのか。


 価値のない人間なんていないはずなのに、あそこまではっきり言われてしまうとどうしてもその言葉を信じてしまいそうになる。


 それはある意味洗脳に近い。不快な言葉ほど何度も脳内で反芻してしまうもので、そのたびに毒が心にしみついて、いつの間にかそれが事実であるかのように感じるようになっていって。気づけば悪意ある毒に染められて。そんなことない、とはっきり言ってやればいいのに、それができない状態に誘導されてしまっているのだから恐ろしい。


 ただ、それでも、夜はいつか明けて朝はやって来る。


 時は巡る。

 停止することはない。


 たとえ心が地の底にまで堕とされていても。

 たとえどうしようもない悲しみを抱えて一日中泣いていても。


 それでも世界は終わらないのだ。


 そして、人もまた、時の経過と共に移り変わる。


 傷つき。悲しみ。涙して。それでも少しずつ希望へと向かう。足を引きずりながらでも。ゆっくりと立ち上がって、懸命に前へ目をやって。折れた心はすぐに元通りにはならなくても。一歩、前へ踏み出そうと。いつかはそんな風に思うようになり。


 ――そしていつか希望の光を掴むだろう。


 他人に『価値のない女』なんて酷い言葉を平気で吐けるような人間に人生を壊されるつもりはない。


 だから必ず立ち上がる。

 今は辛くともいつかは。



◆終わり◆

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