502/549
懐かしい顔を街で見かけて
詩のような作品です。
懐かしい顔を街で見かけて
何とも言えない気分になった
言葉だけでは表現できない
無数の色がこの胸で朽ちていった
記憶の中に在る
あの頃のわたしたちは
いつだって輝きの中を歩んでいた
だから怖いものなんて
まったくもってなかったのだと
今になって言っても
もう遅いかもしれないけれど
それが答えで
それが確かなことだった
愛おしかった顔を街で見かけて
何も言えぬまま立ち去った
言葉だけではどうにもできない
無限の光がこの胸に影を作る
上手く生きるって難しい
そんなことを呟いたのは
きっと過去のわたしの姿を
もう目に映したくなかったから
馬鹿みたいに浮かれていたわたしを
笑みに染まりきっていたわたしを
直視することが怖くて
反対方向へ走り出したのでしょう
懐かしい顔を街で見かけて
何とも言えない気分になった
言葉だけでは表現できない
無数の色がこの胸で朽ちていった




