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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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時に喧嘩してもなんだかんだ一緒にいられると思っていたのですが……?

「どうしてそんなこと言うのよ」

「だーかーらー! お前可愛くねぇって言ってんだろ! なんでそんな可愛くねぇんだよ!」

「失礼よ」

「そういう話じゃねえってば!」


 私アリスと婚約者である彼ライスは十年以上前からの友人だった。


「アリス、お前、女だろ? ならもっと可愛くしろよ! 俺に尽くせよ!」

「威張らないでちょうだい」

「違う! 威張るとか威張らないとかそんな話してねぇって」

「尽くせ、なんて、そんなことよく言えるわね」

「言うに決まってる! なぜなら本心だから! 婚約者の女が尽くしてくれねぇって状況なんだぞ? 黙ってられるわけねぇだろ!」


 けれど、そんな私たちであっても、時に喧嘩になることはある。


 付き合いが長いからといって何でも許せるわけではないのだ。


「うぜえ!」

「失礼な言葉を吐かないで」

「はあ!? そういうとこがうぜえんだよ! 自覚ねぇのか!? だとしたらなおさら悪質だな!!」


 もういい、と、アヴァべヴは呟く。


「お前との婚約なんざ破棄してやるッ!!」


 衝動的な発言であると思ったので。


「何を言うの? そんな滅茶苦茶なことを言って。悪質な冗談はやめて」


 そう返したのだけれど。


「冗談じゃねえ! 本気だ! ……お前とは終わりにする、ここまでにする」


 どうやら彼は本当に離れるつもりのようで。


「アリス、もう二度と俺の前に現れるなよ。じゃあな。さよなら」


 こうして私たち二人の関係は終わりを迎えたのだった。


 ずっと続くと思っていた。

 なんだかんだで手を取り合ってゆけると思っていた。


 ……でもそれは勘違いだったみたいだ。


 私たちに共に行く未来はなかった。



 ◆



 婚約破棄の数週間後、詐欺師に騙され借金を抱えてしまったアヴァべヴは凄まじい額の借金を返済するため内臓を売らなくてはならないこととなってしまったようだった。


 そしてその結果彼は命を落とした。


 内臓を抜かれて、まともに生きていけるわけもなかった。


 ちなみに私はというと。

 先日お見合いした男性と良い雰囲気になっている。


 アヴァべヴとは終わってしまったけれど、人生におけるすべてが終わったわけではない。


 むしろここからが新たなる始まり。


 私が今立っているのは、終着地点ではなく、出発地点だ。



◆終わり◆

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