可愛い妹との婚約を破棄さえては黙っていられません! 姉としてしっかり罰を与えますよ!
可愛がっている二つ年下の妹ミリーが婚約破棄された日の夜。
私は彼女とお茶を飲む。
静けさの中で。
「ミリー、大丈夫?」
「うん……びっくりしたけれど、でも、もう大丈夫」
「辛かったでしょう」
「驚いた……けど、そうなってしまったものはどうしようもないから、これからは未来を見るようにしようと思って」
私にとってミリーは特別な存在だ。
だからその彼女が傷つけられたというなら傍にいたいし寄り添って支えたい。
「でもまさか、ハーラージュが浮気していたとはね」
「うん……」
「ミリーみたいな可愛い妹を婚約者として貰っておいて浮気するなんて最低な男だわ!」
「お姉さま、そう言ってくれてありがとう。元気が出てきた」
もちろんミリーを傷つけるようなことをした者を許す気もない。
ハーラージュには必ず償ってもらう。
いずれはその身をもって。
そうでなければ私はこの件について納得することはできないし私の中でこの件が終わることはない。
「わたし、これからもお姉さまと一緒にいたいの」
「え」
「どんな時も寄り添ってくれる、優しいのは、お姉さまだけだもの」
「もちろん歓迎よ!」
「ありがとう」
「私だってミリーが大好きだもの、そう言ってもらえるととても嬉しいわ」
その後私は姉としてハーラージュにしっかりと罰を与えた。
特殊な仕事を請け負っている人に依頼を出し、ハーラージュの自室内に大量のバナナの皮と濡れ石鹸を置いてきてもらった。もちろんハーラージュがベッドで寝ているうちに。
そしてそれから警報ベルを大音量で鳴らしてもらう。
すると、驚いて飛び起きたハーラージュは意識がはっきりしていないままベッドから飛び出し、早速バナナの皮で滑って転倒。また、転倒したところに垂れていたぬるぬるの石鹸液によってさらに転倒し、数回目に頭を打って気を失った。
で、彼は亡くなった。
「聞いた? ハーラージュ、亡くなったんですって」
「ええ、少しだけ……聞いたの。さっき」
「悲しく思う?」
「いいえ」
「平気?」
「婚約が破棄になったことは残念だったけれど、でも、いいの。だってわたしいはお姉さまがいるもの。お姉さまがいればそれでいいの」
◆終わり◆




