婚約破棄された翌朝鏡を見ると鳥になっていました……って、えええ!?
婚約破棄された翌朝鏡を見ると鳥になっていた。
嘘でしょ……。
確かに人間やめたいとは思ったけど……。
明らかになった浮気、心ない言葉、そして婚約破棄。近しい人の裏切りによってこの世界に絶望した私は、人間なんてやめてしまいたい、と思っていた。けれどもそれはあくまで感じていた怒りや辛さがそういう言葉になっていたというだけ。それ以上の意味なんてなかった。
――のに、願いは叶ってしまった。
(まさか本当に鳥になるなんて……信じられない、でも、見えているのが鳥だもの勘違いではないんだわ……)
取り敢えず飛び立つことにした。
せっかく鳥になったのだから空を飛んでみたいではないか。
五百年が過ぎた。
私がなったのはただの鳥ではなく不死鳥だったようで。
結局今も鳥の形で生きている。
あの時私を傷つけた彼は結局誰とも結婚できず寂しさの中で病にかかりこの世を去った。
最期、彼は孤独だった。
毎日泣いていた。
自分を愛してくれる人がいないことを嘆いていた。
……だが自業自得だ。
彼は心ないことをした。他者を平気で傷つけて。だからどんな寂しい結末が待っていたとしても可哀想ではないのだ。それはすべて彼自身のこれまでの行いのせいでしかない。
誰からも相手にされないことも。
支えてくれるような存在がいないことも。
言うなら、自業自得、それだけ。
何も悪いことをしていないのにそんなことになったというなら同情する要素はあるだろうけれど、彼の場合はそうではないのだから――辛い思いをすればいい、勝手に嘆いていればいい、一人涙していればいい。
◆終わり◆




