ある日突然婚約者が姿を現しまして……? ~それでも幸せにはなれるのです~
婚約者カンーミンがある日突然私の前へ姿を現した。
「悪いが君との婚約は破棄とさせてもらう」
「えっ……」
「何を驚いているんだ、簡単なことだろう、婚約破棄すると言っているだけだ」
カンーミンは男性にしてはやや長いさらりとした髪を前から後ろへ流して、言葉を続ける。
「君は面白みのない女性だ。ゆえに共に生きることはできない。なぜなら、共にあっても良いことがないから。君のような女性と一緒にいても楽しくはなれないし幸せにもなれない」
彼はそれからも一時間近く私を否定するような言葉を並べた。
「なので、婚約は破棄ということだ。ではな。君とはここまでだ、さようなら」
そうして私はばっさりと切り捨てられてしまったのだった。
いきなりの婚約破棄。
想定外の展開。
理不尽なお別れ。
私は酷く落ち込んだ。
――が、その日からちょうど一年が過ぎた日に、私はカンーミンではない男性と結婚した。
夫になってくれたその人はとても善良な人。そして大きな愛を持っている。少々不器用なところもあるけれど、それでもいつも努力してなるべく分かりやすく愛を伝えようとしてくれるので、彼との道を選んで良かったと心の底から思っている。
彼となら幸せを掴めると確信している。
これから先もきっといろんなことがあるだろうけれど、彼となら大丈夫、二人でいればどんな困難だって乗り越えてゆけるはず。
一方カンーミンはというと。
あれからしばらくしたある日近所の人が持ってきてくれたきのこを食べて腹を下してしまい、それが原因となって亡くなってしまったそうだ。
きのこを食べて死、とは、なかなか恐ろしい……。
◆終わり◆




